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「時薬」の効かせ方

「時薬」の効かせ方
「サイコロジー・メンタルヘルスと日々のあれこれ」

 精神科医療での経験が長い心理士です(すでに退職済み)。

 心に滞った苦しさを、時間が癒してくれることをとらまえて「時薬」ということがありますね。時間を味方にして苦しさ辛さを癒す“コツ”のようなものを、ひとつだけ提案します。

 心の苦しさ辛さに「時薬」を効かせるコツ。それは



「むやみにいじらないこと」。

 味噌を仕込んだり梅干しを漬けたりするのと一緒です。いじりすぎると、カビたり腐ってしまったりしやすくなります。こころの苦しさ辛さも、こじらせてしまうことになりかねません。

 堂々巡りにだらだら続けてしまう考え(反芻、といいます)は、一旦置いておきましょう。区切りをつける方法をいくつも持ちましょう。「よし、終わり!」と言って立ち上がってしまうも良し。日記帳に書き留めて、ページを閉じてしまうも良し。考える時間を決め、それ以外は触れないのも良し。

 気になって仕方がない人は、気を逸らす練習をするとよいです。目の前のことに集中しましょう(マインドフルネスといいます)。リラックス法を身につけ実践することが役に立ちます。

 カウンセリングで話すことは、カウンセリングの中に留めましょう。長い時間考え続けた方が解決に近づくかというと、そうではなく、「時薬」の効きが悪くなってしまう怖れがあります。カウンセリングの時間以外は、生活のあれこれに専念しましょう。

 いま辛い皆さんが、時間を味方に、いつか癒されることを願っています。

(おわり)

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