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【シリーズ摂食障害シーズンⅡ・#1】 摂食障害に関わる心理面に注目する

【シリーズ摂食障害Ⅱ・#1】 摂食障害に関わる心理面に注目する
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」

 およそひと月の間“小休止”をいただいていた「シリーズ摂食障害」を、シーズンⅡとして再開いたします。

 これまでに23記事を投稿してきましたが、過去記事の内容は、AEDの「摂食障害の9つの真実」を手掛かりに、摂食障害の全容をできる限り医学的に正しく描く、というものでした。

 シリーズを再開するにあたり、改めて、摂食障害のどの部分に光を当てるか悩みましたが(そこまで大げさではないのですが)、摂食障害と関連する心理面の特徴をテーマに選ぶこととしました。

1.心理面の特徴は、摂食障害の背景とも結果とも考えられる


 摂食障害を精神疾患として考える時、当事者の心理面の特徴を、病因として捉えることができます。以前にご説明した、摂食障害(を含む精神疾患)の背景要因を「生物・心理・社会」の3つの視点で考える、ということを思い出していただければ幸いです。

 もう一つの視点として、当事者の心理面の特徴を、病気の結果生み出されたもの、と考えることもできます。私たちの心理機能や構造は、持って生まれた資質に、環境からの後天的な影響(学習)が加味されて創り出されるのですが、摂食障害(を含む精神疾患)を患うことは、当然、私たちの心理面に多大な影響を与えるものです。

2.どちらが鶏なのか卵なのか、実はよく分からない


 当事者の心理面の特徴が、摂食障害の原因なのか結果なのか、実はよく分かっていないのです。もちろん実臨床では、個々の事例について、生活歴・病歴を丁寧に聞き取ることで判断し、治療・対応します。一方で、科学的な手続きに基づいた一般的・客観的な知見として、心理面を語ることは難しいのです。私の記事では、できる限り“根拠”を示し、個人的見解を述べる場合はそう明示しながら、公共的かつ妥当な内容を保つよう充分に図らいますが、その内容の正確性・普遍性に一定の限界があることをお含みください。

 私の意図は、「このような性格傾向を持つ方が、摂食障害になりやすい」とか、「摂食障害を患うことは、このような心理的特徴の獲得につながる」などと、決めつけるものではありません。目の前の当事者のあり方をより深く理解する一つの視点を提供できれば嬉しく思います。

 このような言い訳めいたことを最初に申し上げるのは、心理学の専門家と称する方々が、摂食障害と心理面との関係についての理解の限界を踏まえず“不確かな”ことを“断定的に”吹聴しているのを、時に見聞きするからです。私のご説明も、何かを“断定する”ものではありません。

***

 次回から、摂食障害と関連する心理面の特徴について、具体的に解説していきます。

 シーズンⅡの連載も、それなりにボリューミーなものとなりそうです。よろしければ最後までお付き合いください。摂食障害への理解を一緒に深めていきましょう。

(おわり)

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