見出し画像

【シリーズ摂食障害Ⅱ・#10】 「自己評価の低さ」と摂食障害

【シリーズ摂食障害Ⅱ・#10】 「自己評価の低さ」と摂食障害
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」

 摂食障害への理解を深めていく連載・シーズンⅡでは、摂食障害と関連する心理面の特徴について、理解を深めています。今回は、EDI(質問紙)にも取り上げられていた、「自己評価の低さ」についてです。ここでのご説明には私見を含んでいることをご承知おきください。短めです。

1.「自己評価の低さ」について


 自己評価の低さは、さまざまなメンタル不調(特に抑うつ気分)と関連します。自己評価の低さがメンタル不調の原因となるだけでなく、メンタル不調がさらなる自尊心低下につながり、悪循環のような慢性状態を作り出してしまうのです。近ごろ、メンタルヘルス界隈で「自己肯定感を高めるには」という話題がもてはやされていますが、それだけ自己評価の低さが注目されているということでしょう。

2.摂食障害と「自己評価の低さ」


 摂食障害でも「自己評価の低さ」が指摘されるのは、やせを追究することにはきりがなく不全感を抱えざるを得ないこと、またはストレス対処としての過食を続けたところで問題が解決されるわけではなく、ここでも不全感を持たざるを得ないこと、などの事情が考えられるでしょう。そしてこの不全感がさらに摂食障害の症状を強化してしまうのです。

 摂食障害では、自己評価の体重・体形への過度の依存が見られる、とされます。体重や体形で一喜一憂することが、(ほかの領域よりもはるかに強く)自己評価に強く影響し、そのことばかりにとらわれてしまうのです。言葉を換えれば、摂食障害では、体重や体形に関心や心配を全振りし、そのことばかりに注目することで、現実場面における真のストレスから目を逸らしている、ということになるでしょう。

(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?