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摂食障害の社会生活への影響について取り上げます 【シリーズ摂食障害Ⅲ・#1】

摂食障害の社会生活への影響について取り上げます 【シリーズ摂食障害Ⅲ・#1】
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」

 しばらくお休みをいただいていた当シリーズですが、「摂食障害の社会生活への影響」というテーマで再開します。

 精神疾患全般に言えることですが、病気の影響は、身体的・精神的苦痛だけに留まるわけではなく、社会生活の広い範囲に及びます。摂食障害の場合も同様です。

 摂食障害の低体重や食行動の異常は、身体機能や体力の低下に直接つながり、社会生活のあらゆる場面に悪影響を及ぼします。摂食障害によくみられる心理的特徴も、いくつかの場面では、当事者の方の足を引っ張ることになるでしょう。治療や療養のために社会生活に支障をきたす状況も考えられます。

 「病気が社会生活に与える影響」について論じる前提として、摂食障害は慢性化・遷延化する可能性がある、ということを併せて指摘しておきます。病期が短く、治療がスムーズに進んでいれば、社会生活への影響は限定的(しばらく登校を見合わせなければならなかった、など)で済みます。けれども、治療がスムーズに進まず、再発を繰り返すなどすると、社会生活への影響は長期的かつ深いものにならざるを得ません。その場合には、摂食障害を抱えつつ、いかに社会生活への影響を最小化するか、という視点が欠かせなくなります。

 本シリーズでは、私たちの社会生活、特に「就労・就業」や「結婚・挙児・育児」などといった具体的なテーマに焦点を当て、当事者の方が直面するハンデと、できればその解決策の提案をしてみたいと思います。このテーマの論文や調査研究などもいくつか存在するので、紹介・レビューもしていきます。

 この連載記事が、摂食障害からの回復(それが、いかに時間のかかるものであったとしても)と、社会生活と、どちらも諦めない当事者の方の、そして支援者の方にも、お役に立てれば幸いです。

(つづく)

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