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【本のご紹介】森功 「国商 最後のフィクサー葛西敬之」

森功 「国商 最後のフィクサー葛西敬之」 (講談社 2022年)

 国鉄分割民営化を主導し、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)のトップとして労組(革マル)対策や東海道新幹線の強化、リニア中央新幹線の建設などに携わる一方で、安倍第一次・第二次政権や菅政権に裏側から食い込み、「国士」または「政商」とも言われた、葛西敬之の歩みを語る。

 筆者の筆使いは、話題に事欠かない葛西の人生を、よく言えば縦横無尽に、意地悪く言えば散漫で、何の話題でも“掘り方”が浅いのが残念な所。以前に読んだ「トラジャ」(JR東・北海道の革マルの暗躍)や、先日読んだ「『影の総理』と呼ばれた男」(野中広務の人生から見た自民党政治の推移)などと併せて読むと、理解が深まるかもしれない。個人的には、葛西を突き動かすエリート思想の由来を、もっと深堀して欲しかった。

(おわり)

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