見出し画像

【春弦サビ小説】桜吹雪、忘れられない。


桜吹雪よ舞い上がれ
わたしたちを包み込むように
もう二度と離れてしまわないように

いつかいつかいつか
その日を夢に見て
今わたしたちはひとつになった

桜吹雪よ舞い上がれ
わたしたちの物語はここから新たに紡がれていくの
ふたりが空に還るまで

みゆさんの歌詞


みゆさんの歌詞から二次創作です。


1400字ほどになってしまいました🙏



「ははな〜る だいち〜の〜」
「あ、懐かしい、それ」
「だよね!合唱、なつかしいなぁ。タイトル、なんだっけ」
「なんだっけ?母なる大地?」
「いやそれ出だしじゃん!」


7年ぶりに出会っても、私たちはあの頃のまま。
他愛無い会話で空白を埋めていく。


心地良いそよ風が木々を靡かせ、校舎から生徒たちの歌声を運んでくる。まるであの窓のどこかに、あの頃の私たちが今も存在するかのようだ。


「何も変わってないなぁ」
「7年かぁ、みんなどうしてるかな」
「夏帆は今も地元にいるらしいよ」
「あ、あいつ店継いでるんだよな。意外と偉い」
「だよねー、昔は一番適当なヤツだったのに」



季節外れの帰省で健と再開して、久しぶりにやってきた中学校。もしまた会えたら、彼に言わなければいけないことがあった。


たける、あのね」
「うん?」


きょとんとした彼の目と合い、私は口をつぐんだ。彼の柔らかな髪が日差しに透けて眩しくて、あの頃と変わらない髪をかきあげる仕草をつい目で追ってしまう。

言ってしまおうか。
でも今話したらきっと、終わってしまうだろう。


「あ、敦志もこっちいるんだって。夏帆の店にみんなで呑みにいこうよ」
「あいつ、いま坊主なんだよなぁ..」
「アレがイケてるって思ってるのかねぇ」


その時、風が舞って桜が花弁を散らした。
舞っては落ちていく花びらはどこへ消えてしまうのだろう。今この時、この瞬間は二度と戻れないのだから。


「あのさ、」

と言った瞬間、桜の花びらが光に包まれて一斉に散った。桜ももう散り際で、視界は遮られて健の姿が見えなくなる。


「健?」


声を発すると花びらたちは姿を消して辺りが静まり返る。目を開けると建の姿はどこにもなかった。

振り返ると、中学生たちがお喋りをしながら楽しそうに歩いてくる。下校する彼らをすり抜けて来た道を戻るが、健の姿はどこにも見つからない。


おかしいな..
話の途中でどこかにいってしまうような人じゃないのに。


通りかかった自販機で水を買う。


ふと見上げた桜祭りのポスターに、30日土曜日開催と大きく書かれてる。あれ、30日は水曜日のはず…しかしよく見ると西暦2017年と書かれているではないか。


今年は西暦2024年のはず。

外し忘れてるのかな…?



と思い何気なくペットボトルの製造年月日を見ると、そこには2017年1月と印字されていた。


辺りを振り返ってみると、中学生の制服が皆セーラー服を着ている。中学の制服は去年ブレザーに変わったばかりなのだ。

学校の帰りにいつも寄っていた雑貨屋まで走る。
そこはいつも友達と溜まり場にいていたけれど、数年前におばあちゃんが亡くなってお店がなくなったはず。しかし、今目の前には「かどや」の看板が立ててあり、中にはいつものおばあちゃんが座っていた。

うそ…

もしかして私、タイムリープした…?


私は途方に暮れて、まだ満開の花を咲かせている大きな桜の木を見上げるしかなかった。



歌詞のようにひとつになる前のお話として、いろんなことがあったあとに2人が結ばれる、という妄想のもと書いてみました。


書いてるうちに急にタイムワープしてみたくなって(*ノωノ)この後の展開を書けなくとも出せちゃうのがサビ小説の良さ✨



『春弦サビ小説』は22日まで🎵

50〜1000字の小説

俳句、短歌、川柳もOK❗️

二次創作のもととなる作品は、
下の作品一覧よりお選びください💗


『春弦サビ小説』みんなの作品はこちら↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?