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てのひら

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掌編小説集。
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2016年2月の記事一覧

階段

 他愛も無いお喋り、夢の中での思いがけない遭遇、小さな約束、そして、答えあわせのような告白。アイスクリームが溶けていく速度で、近づく身体。傷の記憶。むき出しの言葉。契約の破棄、そして訪れる終局。
 二十一歳にして女性を知らなかった僕の想像上の「恋愛」とは、そういうものだった。
 彼女との関係性にどんな名前をつけたら正解だったのか、未だに分からない。

「上った時と、下った時とで数が違うのよ」
「ど

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