磁気探査での失敗「周り見ろよ!」

 磁気探査とは磁気を検知する特殊なセンサーを使用して不発弾を探していく仕事です。

 今回の失敗は「人の足をスコップで突き刺した」ことです。

 現場は海上などの場合もあるが、基本は地面を探査することが多い。
 センサーで探査を行ったあとは磁気反応を検知した場所で何が反応したのか確認するため、反応物が出てくるまで掘っていく作業がある。
 この地面を掘削していく工程は安全に作業を進めるため、基本的には人がスコップで掘っていくが、反応物の深度が深い場所にある時はショベルなどの重機を併用しながら掘り進めていく場合もある。
 
 ある日の現場、探査は終わっているのであとは反応物を掘り出せば現場の作業は終わりというところまで工程が進んでいた。
 重機で掘り起こした縦1メートル×横1メートル×高さ1メートルの穴の中に人が入り、スコップで掘削することになり、穴の中には自分ともう一人の先輩が入り、二人がかりで掘ることになった。あとの作業は少しずつ掘っていき反応物を発見すれば終わりなので現場のみんながギャラリーのように穴の中を覗き込んで見ていた。
 自分は「見てるくらいなら手伝えよ!」と最初は思ったが、実際に穴の中に入ってみると大人の男二人が作業するのがギリギリの狭さだった。
 観客のようになった皆の前で、見世物みたいになって作業することになり、ちょっとイラっとしながらも仕方なく作業を続けていた。
 その時、ギャラリーから、「早くみつけろよー!」「おい!あっちのほう掘ってみろよ!」など気まま勝手な声掛けをされてちょっとカチンときた。
 だが、みんな自分よりも上司や先輩方なので、「じゃあそっちが掘ってくださいよ!」という心の声を嚙み殺し、そのぶつけどころのない「怒りの矛先」を文字通りスコップに込めて地面に突き立てていた。その時の頭の中は体の疲労感と周りへの嫌気でいっぱいになり、穴の中にいるもう一人のことなど抜け落ちていた。

 慎重に掘ることなど忘れてスコップをひたすら地面に突き立てていた自分は一緒に作業していた先輩の足にスコップを突き立ててしまった。穴の外で見ていた皆は一瞬で青ざめ、自分も「うわ!やっちまった!終わった!」とプチパニックになったが、幸いスコップは靴の先端を突き刺しており、スレスレのところで指などは全く傷ついていなかった。

 一緒に作業していた先輩からは「お前!周り見ろよ!」と顔面スレスレまで迫られ怒鳴られた。周りで他人事みたいに見物していた先輩や上司も「おい!何やってんだ!」と烈火のごとく怒りだしていた。結局、穴を掘る作業は交代させられた。あとで一緒に作業していた先輩にだけ謝罪した。

 これから磁気探査をはじめる方だけでなく、土木や建築の現場作業に関わる方には、
 「落ち着いて作業をすること」
 「周りの状況を見ること」
 をおすすめします。
 
 
 
 

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