放課後の思い出

私の高校の思い出を１つ、聞いてください。

私は吹奏楽部で、部活が終わった後は友人と残って好きな曲を演奏して帰るのが楽しみでした。むしろ私の中で部活より放課後の時間がメインになっていたくらい、その時間が好きでした。
だんだん空が暗くなってきて「そろそろ帰ろっか」なんて言いながら楽器を片付ける時間も、今となっては懐かしさで胸がきゅっとなる思い出です。

それで、ある日いつもと同じように部室に残って友達と楽器を吹いていたら、私達の吹いている曲と同じ曲をピアノで弾く音が聞こえてきたんです。お〜偶然かなって思ってたんですけど、よくよく聞いてたらやっぱり私達の真似をしてるみたいで。

ちょうど部室の真ん前に音楽室があって、開いてる窓から溢れるピアノの音に私と友人は「真似してる！誰だろう！」なんて言いながら楽しませてもらいました。

部活終わりの少しの間だったけれど、私達が楽器を片付ける時間まで吹いては真似っこ、吹いては真似っこの時間が続きました。
どれくらいかな。もう曖昧だけれど、何日かそんなことをする日が続いた様な気がします。

それがある日ピタッと無くなってしまって。ピアノを弾いてた子、どんな子だったのかなって時々思い出します。

放課後の、空がオレンジになる時間。友達と2人残って自由に過ごす時間。楽器とピアノの音が響く空間。やっぱり放課後って特別です。もう体験することは無いけど、今になっても大好きな時間です。


もしその時に戻れるなら今度は私達が、ピアノ弾きの子の真似っこをしてみせようと思います。