#7 地主との借地契約
私の買った家は借地権の物件なので、地主との借地契約がある。
私が家を買ったのは年の瀬のキリストの誕生日。それで予定が立てづらく、1月分の借地料1.5万は売主さん経由で支払って貰った。
地主の息子から電話があり、「私がサラリーマンなので、土日で契約したいです。」との事だった。2月分から契約しましょうという事で、母(連帯保証人)を連れて地主さんの家にお邪魔した。
さすがに地主の家は立派だ!家の前には庭というか畑がある。大きな二階建ての家だ。
キッチンに案内され、そこのダイニングテーブルで契約開始だ。
地主は80代くらいの老婆だ。その息子(50代後半)が土地の賃貸借契約書を読み上げて説明してくれる。
どうやらこの老婆は傀儡に過ぎず、息子の方が本体のようだ。
元々の地主は老婆の夫だったようだが、亡くなり相続したようだ。不動産で残すのも考えものだなと思った。
借地には普通借地と定期借地があり、普通借地は原則更新可能だ。新規30年、その後は20年ごとに更新される。
定期借地は予め50年など期限が決められており、その期限の時には家を解体し更地にして地主に返却しなければならない。
地主にとっては土地を売らずに保有し続ける事ができ、賃借人は普通に土地を購入するよりも初期費用が安く抑えられるメリットがある。
デメリットとしては、地主は簡単に土地を返して貰えなくなる。固定資産税などの値上がりで賃料が不相応になったとしても、賃料の値上げは協議して決めなければならない。
大抵はマイホームを建てるので確率は低くなるが、借地料を滞納される恐れもある。また、土地だけを売却することもできるが、相場の半額〜7割ほどの価格になると言われている。
私は今回、家の売主さんの契約が最近更新されたばかりなのでまだ19年あり、それを引き継ぐ形で契約となった。
新規30年の方が良いのではないかと思う人もいるとは思うが、借地権には新法借地権と旧法借地権があり、旧法借地権の方が借地人の権利が強いのだ。
勉強している地主であれば、新法借地権の賃貸借契約を結んだと思うが、相続で引き継いでいるので、前代のやり方からアップデートしていない。
連帯保証人も専業主婦の母で通った。
通常は賃料の滞納に備えて保証会社を使うと思うが、保証料は賃借人持ちになるので教える義理はない。
さて、借地人は家の増改築などを行う際に地主の許可を得なければならない。今回私はそんな事は露知らず、チンピラ(義兄)にモサモサ(植栽)を切って貰っていた。
「次回からは、一言ご連絡ください。」と言われる。
これが借地のデメリットだ。
そしてさっきから会話が噛み合わない。それもこれも、私があの家に住むという感じで話が進んでいるからだ。私は投資用にあの物件を購入したのだが。
「私はあの家に住むつもりはありません。賃貸に出す事はできますよね?」と確認する。
「その場合、賃貸で入られた方と借地の契約をする事になります。」
んっ?
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ちょっと考えたが分からない。えーと、家を買ったのは私で、賃貸で貸し出したらその店子(たなこ)と地主が土地の契約をする…?
家の所有者と借地権者が分かれることなどあり得るのだろうか?
地主と私と店子が恋愛小説でいう三角関係を形成することになる。
「支払い方法はどうしますか?みなさん3ヶ月分とかまとめて持ってきますが。」
手渡しって昭和かよ…。
もしかして私、タイムスリップしてる?
「銀行振込でお願いします。」
「では、賃借人さんが決まったら連れてきて下さいね。契約しますので。」
「はぁ…。」
という会話をして地主の家を後にした。
とりあえず、購入した不動産屋に行って経緯を伝える。
「なんか三角関係的な、三つ巴的な、三位一体的なことを言われたんですけど…。」
「地主さんは自分が不利になる事を言っていると思います。家の賃借人が滞納したらどうするつもりでしょうか。
おそらく、借地料が入れば何も言わないと思います。今までも、売主の娘さんが借地料を払っていましたが、何も言われてませんでした。」
との事だった。不動産屋を非難したい気持ちもあるが、私にも落ち度はある。物件購入の際に不動産屋任せにして、自分で地主に確認しなかったからだ。
不動産屋の言葉を、長良川の鵜飼のように丸呑みしたからこうなった。結局購入したのは自分なのだから、自己責任なのだ。
これを見た読者の方は、私を反面教師にして欲しい。物件を購入する際に、不動産屋の言葉を鵜呑みにしてはいけない。
鵜呑みといえば、長良川の鵜飼が捕る鮎は宮内庁御用達で、昔から皇居や神宮に献上されているのだ。鵜が一気に魚を丸呑みするので、魚にストレスを与えず美味しいらしい。