観戦記 ワールドカップバレーv.s.エジプト

 こんな展開は見たことない。
 簡単に2セットをとったチームが立て続けに3セット奪われて負けるという試合はそれほど珍しくはない。しかしこれが二日続けてとなると話は別だ。龍神NIPPONはまさかのフルセットにもつれたフィンランド戦から一夜明け、確かに持ち直したように見えた。だが3セット以降(相手チームもそうだが)別人のようになってしまったエジプト戦は前夜のハイライトのようだった。しかも今回は敗北のおまけつきだ。

 ネーションズリーグで結果を残すまでの日本の強さは、誰が出てきても結果を残せる層の厚さだったと思う。フィンランド戦の最後に出てきた大塚はまさにその象徴だが、なぜここまで温存していたのか疑問だった。
 これはブラン監督がワールドカップで勝ち抜くために温存していたことがインタビューから分かった。つまりその1試合を勝つためならすぐに交代をしたかもしれないが、長いリーグ戦を勝ち抜くためには中盤でサイドのスタメンを入れ替えるプランを練っていたのだ。そのためむしろ温存させたかった大塚というカードを大会序盤で切らざるをえなかった。これが最初から結果を求めて戦う難しさか。

 エジプト戦の話をすると、明らかにミドルブロッカーの存在感が攻守で足りなかった。せっかくサーブで崩せてもエジプトはあれだけ二段トスを何本も決めてくるのに、日本はセンターが絡んだコンビが機能せずに両サイドばかりが打数を重ねてはいつか崩れるのは明白だ。ブロックか速攻、どちらかが機能していれば状況は好転したはずだ。こういう具体的な課題はもうチームで話し合っているだろう。

 連続した中盤以降の失速の原因はおそらくチーム内でしか分からない。いや、もしかすると当人たちですら見当がつかないのかもしれない。それでもすぐに次の試合が始まる。中一日ですぐに試合が始まるというのは国際大会としてはいかがなものかと思うが、それでもやってくる。どうか、この困難な状況を乗り越えてこの予選で五輪の切符をつかんでほしい。

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