埼京線逆走妄想日記 序章

『次は〜赤羽〜赤羽〜』

すっかり帳が降りきった都心の線路を、今日も緑の車体が駆け抜けていく。

ここはJR埼京線、20時大宮発新快速の社内。

埼京線と言えば言わずとしれた痴漢発生件数日本一を誇る超混雑電車である。

朝の通勤ラッシュ時の上り電車と夜の帰宅ラッシュ時の下り電車は常に日本トップクラスの満員電車っぷりだ。

しかし何事にも逆の事柄は付き物で、つまり埼京線にも朝の下り電車と夜の上り電車はあり、利用してる人間もいるということ。

大方の埼玉県民が都内に出稼ぎに出るために使われているであろう埼京線で、その逆を行っている人たちは一体どんな人生を歩んでいるのか。

これは、そんな下らない妄想を纏めた雑記である。

第一弾は、真夜中の埼京線で新宿へ向かう疲れたサラリーマン、私の話、かもしれない。

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