見出し画像

地域ものがたる、地域とつながる

2022年6月下旬からスタートした「地域ものがたるアンバサダー」の活動が一区切りを迎えた。

幾度も鳥取を訪れるうちに、魅力を感じるポイントが広がってきたと思う。はじめは「観光資源」や「美味しい食事」などに目が行きがちだが、水先案内人や現地で出会った人々と交流していくうちに、人の温かさやコミュニティに魅力を感じるようになってきた。

訪れた地域は全てが魅力的だったが、ここでは二つの事例を紹介したい。

鳥取市「まるにわ」とまちづくりワーケーション

10月の訪問時、まるにわにて斎藤さんに説明を受ける。
この時はこんなにどっぷり関わるとは思わなかった

まずは鳥取市の「まるにわ」について。地域のリノベーションプロジェクトで集まったメンバーが立ち上げた会社だ。彼ら自身の経験やスキルをもとに、さまざまな取り組みを行っている。アンバサダーのメンバーから3名が、まるにわが主催する「まちづくりワーケーション」に参加することになった。オンラインとオフラインをうまく組み合わせ、地域の有休資産=空き家の活用法を3ヶ月かけて考えていくプログラムだ。こうして継続して鳥取に関わる機会ができたのを非常に嬉しく思う。

そして、明日2月26日はまちづくりワーケーションの最終発表会だ。アンバサダーは二つのチームに分かれたが、それぞれのチームで、新たな鳥取との繋がりを見つけ、プロジェクトに関わってきた。アンバサダーの活動中はいわゆる「外部慣れした」方が多かったと思うが、まちづくりワーケーションでは「素の鳥取」に触れられた気がする。

提案するプロジェクトが採用されるかはわからないが、どんな結果になっても今後の鳥取×アンバサダーの関わりは続いていくだろう。本当にいいタイミングでまちづくりワーケーションに出会えたことに感謝したい。

何気なく撮られたこの写真、まちづくりワーケーションのポスターの橋だった

ユニークな人材が集うまち、八頭町

勉強会には八頭の方だけでなく鳥取の経営者も参加していた

もう一つの地域は、鳥取市から車で20分ほどで行ける八頭町エリアだ。
こちらは地域コーディネーターの永松ゆきさんや、田中里志さんをはじめとした地元コミュニティが絶妙の連携で、訪来る人たちは八頭の虜になって帰っていく。彼女たちのアンテナは広く、多方面の事例を貪欲に学び、八頭と外部との持続可能な関わりを模索し続けている。

ちなみに八頭町もいろんな意味で思い出深い。9月の訪問で皆さんにさまざまな手配をいただいたにも関わらず、台風で飛行機が当日欠航となって行けなくなってしまったのだ。
不幸中の幸い、前日に現地入りしていた二人が見学に回ることができたのだが、それでも台風でお休みの場所も多く不完全燃焼の訪問となってしまったのである。そして12月、満を持してリベンジができた形だ。
12月の訪問では「隼ラボ」を軸に開かれてい、勉強会に参加させていただいた。

ところで、なぜ私は八頭に知り合いがいるのか?というと、7月に遡る。八頭は親子ワーケーションにも力を入れていて、私と息子は永松さんたちが主催した親子ワーケーションプログラムに参加させていただいたのだ。その時の体験が素晴らしかったので、アンバサダーの皆さんにも紹介させていただいた。夜は地域の方とアンバサダーで鍋を囲んで交流会を行い、大いに盛り上がった。これでもうみんな友達だ(笑)
住んでいる場所は少し距離があるが、きっとまた八頭に集まる日も来ると思う。なんというか、八頭は「大人の夢が全部叶う隠れ家」感がしてワクワクする。

発酵がまちをつなぐ、智頭町

9月の来訪リベンジで、12月は智頭町にもお邪魔した。
パン好き界隈で有名な「タルマーリー」にもやっとお邪魔することができて大変嬉しい。ここは先述の田中農場の田中さんにお繋ぎいただけた。
美味しいものを作っている人たちはやはりつながっている。あとかなり変わっている(笑)今回、智頭ではタルマーリーの渡辺格さんにお会いし、お店の見学をさせていただいた。

あまりにもピザが美味しそうで、写真を撮り損ねるの図

恥ずかしながら、私は「タルマーリーってパンで有名なんですよね?」くらいの知識しか持ち合わせていなかったのだが、単にパン作りにこだわっているだけではなかった。タルマーリーでは酵母菌、麴菌、乳酸菌などをすべて空気中から採取し、自家培養している。
つまり「野生」の菌を使っているのだ。野生の菌は日々コンディションが変わる。渡辺さんの検証によると、例えば周辺の農家が農薬散布をした翌日は菌の状態が好ましくないものになるのだそうだ。

渡辺格(いたる)さん・語り口がユーモアがあり、引き込まれる。

少し戻り、「良い発酵のための菌を採取するには、環境の整備が必要」という話に戻る。渡辺さんは「農薬が菌によくない影響を与えるのでは」という仮説をたてただけではない。その後周囲の農家と交渉し、無農薬農法で育った野菜はタルマーリーで買い取るよう業務提携を結んだのだ。
もはや発酵がまちを作っているのではないかという錯覚すらしてきた。

渡辺さんの菌トークは一日聞いていても飽きない。特にユニークだったのが「気持ちが落ち込んでいる人がいると、降りてくる菌の状態が悪い」というもの。まるで漫画のようなことが起こるのだ。だから渡辺さんは従業員のコンディションにも注意を払い、タルマーリーに関わる皆がハッピーになる世界を目指している。

こんな未来図を聞いてしまうと、これからも智頭に関わっていきたいし、まちがどう変身していくかが楽しみで仕方ない。

さあ、次は鳥取で何をしようか?

半年の任期のうち、やり残しがまだまだある。訪ねた人がどんどん新たな繋がりを持ってきてくれて、次から次へと宿題が増えていく。いつまで経っても宿題が無くならない、やることが無くならない、といううれしい悲鳴が上がる。

でも大丈夫、私たちの第二のふるさと鳥取はいつだって歓迎してくれるし、仲間として迎えてくれる。だから、いつも「次は何をしよう」とワクワクしながら鳥取に戻ってこれるのだ。

いいなと思ったら応援しよう!