【ICL眼内レンズが知りたい】眼が見える原理から「レーシック」と「ICL」の違いを知る
眼内にレンズを埋め込む最新の視力矯正方法である「ICL」の手術を受けて1年以上が経ちました。
コロナ禍で必須となったマスク着用による最大の弊害。それは「メガネのくもり」である!というと言いすぎかもしれませんが、あの不快感が日々続いていた事を考えると、ホントにICLをやっておいて良かったなぁとしみじみ思います。
ICLの手術を受けるまでは色々な不安があったので、病院選定や手術リスクなど入念な下調べをして手術に臨みました。
残念ながらWeb記事やブログ等のネットからの情報だけでは、本当に欲しい情報を得る事が出来ず判断に困る事もありました。従って、レーシックの開発段階から関わりを持ち日本で初めてレーシック手術を行った医師が書いた書籍も購入して正しい情報を集めました。
今日から「僕自身が本当に聞きたかったICL関連情報」を複数回に渡ってシェアしていきたいと思います。
レーシックやICLなどの視力矯正を検討中の方々への参考情報になれば幸いです。
人間はどのようにものが見えるのか
僕は医者ではありませんが、曲がりなりにも某都内理系国立大の大学院まで出ている理系人間なので自分がやろうとしている手術内容について、なぜその手術をやれば目が良くなるのか原理を知りたいと思いました。
それには「人間はどのようにものが見え、どのように見えなくなるのか」の知識が必要となります。
この本に詳しい説明が記載されているので興味があれば是非買ってお読み頂きたいのですが、時間の無い方の為に一部を抜粋して要点だけをお伝え致します。
眼が見える原理
「世界最高医が教える目がよくなる32の方法」より抜粋
1.角膜による屈折
物から反射したり、その物を透過した光が並行光線で目の中に入る。目の黒目の部分の「角膜」は凸レンズ効果があり、光は内側へと曲げられる。
2.水晶体による屈折
さらに目の中のレンズに相当する「水晶体」という凸レンズで、より光が内側へ曲げられる。
3.光が集まる焦点と網膜
曲げられた光が一点に集まる場所が「焦点」。光の曲がり方の不具合である屈折異常がなく、目の長さがちょうど良い正視の目では、光の焦点はちょうど、カメラにおけるフィルムの場所に相当する「網膜」に合う。
4.網膜は光を電気信号に変える
網膜に焦点が合った光は、網膜中の錐体(すいたい)細胞の機能を主体とする視細胞中のタンパク質を光エネルギーにて分解し、このタンパク分解で電気反応が起きる。
5.網膜の視細胞は三種類の錐体細胞
長波長の赤から中波長の緑、短波長の青。異なった波長の光に反応する割合が異なる3種類の錐体細胞からこの電気反応は起きる。
6.電気信号は後脳から脳に入り分類される
電気反応信号は視神経を通して伝わり、脳の後ろにある後脳に達する。後脳に来た信号は見ている物の色、長さ、傾き等々の多くの要素に分解されて、脳細胞にいったん収まる。
7.情報を再組み立てし前頭葉で理解する
脳細胞に入った情報を惻脳で再度組み立てる。さらにこの組み立てた像のイメージを前頭葉が記憶している過去の記憶と比較して、何を見ているのかを理解する。
この過程のどこかの部分で異常があれば、見え方が悪くなります。
見え方が悪くなる理屈を知って、正しい治療をすることが大切です。
屈折の異常による視力低下
視力低下と言っても多くの原因があります。
続いて視力矯正の際に知っておくべき「屈折異常」による、原因別の視力低下について説明します。
「世界最高医が教える目がよくなる32の方法」より抜粋
1.近視
眼球が通常より「長く」なる事で起こる変化。光の焦点が網膜より内側にくる為にぼやけて見える。一般的に目が悪くなって見えなくなるのが近視によるもの。
近視化するのは目の圧力で眼球が内側から伸びて、目の長さ(=眼軸)が伸びるため。
2.遠視
眼球が通常より「短い」為に起きる。光の焦点が網膜より眼球の外に行き見えなくなる。
3.乱視
「角膜の歪み」により、焦点が一つに定まらない。通常は縦と横のカーブが違うので、一つの像の横にもう一つの像が重なって見えてしまう。
4.老眼
老化現象などが原因で水晶体が弾力を失い、水晶体の厚みを変えて「屈折力を変える力が衰える」ために、「光の曲がりが不十分」となり近くの文字が見えにくくなる。
レーシックのアプローチ
「品川近視クリニック」webサイトより抜粋
レーシックの原理は「エキシマレーザーで角膜中央部分を削り、角膜のカーブを変えて屈折率を抑える(屈折異常を矯正する)ことで近視が軽くなる」というものです。
元々エキシマレーザーはICチップの加工用に開発され、0.25ミクロン(1/1000mm)の深さの溝を切ったり削ったり出来ます。角膜の厚さが0.5mm~0.7mmなのでピンポイントで実質層だけを削れます。ちなみに、上の図の角質内皮(=角膜内皮細胞)は角膜の細胞中の水分を目の中に押し戻すポンプの作用があり、角膜の透明性を保つ為の働きをします。障害を受けると二度と再生しない為、精密なコントロールが必要となります。
「日本眼科医会」Webサイトより抜粋
中央部の青い部分が、レーザーで削られ、角膜形状が変化した部分。
周辺の緑の部分は本来の角膜形状。
削られた角膜は薄くなり、元には戻りません。
ICL眼内レンズのアプローチ
「品川近視クリニック」フェイキック手術ガイダンス資料より抜粋
ICLとはImplantable Collamer Lensの略です。
インプランタブルとは移植できるという意味で、コラマーはレンズの素材名です。専門的にはHEMA(水酸化エチルメタクリート)とコラーゲンを含む親水性の高い物質です。これは生体適合性が高く、眼内に入れても異物として認識されにくい素材で出来ています。特別なメンテナンスをしなくても長年に渡って透明な状態を保ちレンズとして機能させる事が出来ます。
この眼の中に入れっぱなしにするレンズで屈折異常を矯正するのがICLです。角膜を約3ミリ切開(この程度であれば縫合不要で自然治癒します)して、そこからレンズを挿入すると自然とゆっくり広がって固定される仕組みです。一旦、眼の中で落ち着いたら跳んでも跳ねてもズレたりしません。万が一ボールなどが眼にあたってもソフト素材の為問題ありません。私自身、1歳の息子におもいっきり眼に指を突っ込まれた事がありましたが、その時も大丈夫でした(笑)
※某サイトではCが「Contact」の略と記載されていますが正しくは「Collamer」の略なのでお間違いなく!
また、フェイキック 後方型手術(ICL)と言う呼び方もします。ややこしいのですが、フェイキック前房型(P-IOL)と言って虹彩の前にレンズを入れる術式もありますが、現在ではICLの方が一般的で、FDA(2005年)、厚労省(2010年)それぞれから承認され安全性が保証されているのもICLの方です。
と、いうことで第一回の本日は眼が見える原理からレーシックとICLがなぜ近視矯正に繋がるかを説明致しました。
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