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短編小説🍸映画BARローマの休日(8)

ビールを一缶開け、次に何を飲もうか迷っていると、とっきーが話しかけてきた。

「たまには映画カクテルもいかがですか?」

「そうだよ、映画BARなんだから!」

彼女もやたら勧めてくる。それもそうかとメニューを開いてみると、紅の豚という文字が目に入った。ジブリの中では一番好きな作品だ。

「とっきー、じゃあ紅の豚で。」

「あ、それ私も気になってたやつー。ちょっとちょうだいね。」

と彼女がまた耳打ちしてくる。いちいち距離が近いので、人前ではやめてほしい。2人きりの時はいいのだが…。

いかん、何を思っているんだ。少し酔ってきたのかもしれない。

いつの間にかビールの缶は2本になっていた。

「ねぇ、酔ってるでしょ?」

と彼女が嬉しそうに笑う。とっきーも心なしか微笑んでいるように見える。

「写真撮っちゃお〜」

彼女がいたずらっぽくはしゃいでいる。かわいい。いかん、酔っている。かわいいなんて思っていることは決してバレてはいけない。

ふわっとしていると、1人の男が入ってきた。

(9)へつづく

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