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デッサン力を仕事で使う

制作部のTです。ある日、生まれたばかりの子どもに、スポーツさせようか、プログラミングさせようか、英会話させようか。と考えているうち、デッサンがうまく描けるようになってほしいなと思いつきました。私と妻は、美大卒です。

それは絵描きになってほしい、デザイナーになってほしいということではなく、デッサンを通して、物をよく観察し、気づきにあふれ、計画を立て、意志を持った答えを出すことが上手い人になってほしいなという思いからです。

デッサン力を仕事で使う

私は美大を出たからといってデッサン力を駆使して、絵を描いたりする仕事をしているわけではありません。
私が取り組んでいるディレクションという仕事は、全体と細部を把握しながら、なんとかまとめ上げる仕事です。とかく理論や数値だけでは片付かない、複雑な要件(人間関係など・・・)をも巻き込まないと前へ進みません。
そこで私は、デッサン力(受験デッサン力)を投入しています。

デッサンのコツ

さて、デッサン(素描)には全ての人が応用できる描き方はありません。絵心は不要です。向いていない人はいるかもしれないが、それは絵心がない人ではありません。

もちろんパースの概念とか、構図のパターンなど、うまく描く近道はありますが、それこそ、本に書いてある、言語化できるような入り口の領域です。

物をよく観察する

うまくデッサンするには、描きながら、描いている絵のほうばかり見ていてはいけません。チラッとだけみて、ガーーっと描きこんではだめです。ジーーっとみてチラッとだけ描かないといけません。
りんごは丸い?石膏像は白いから黒く描けない?自分が決めつけていては、新しい発見は生まれません。俯瞰し、そのモチーフからの気づきを人に伝えます。

気づきを得る

有機物、工業製品・・・パーツや構造は、なんらかの理由があって、その形や質量で存在しています。観察を通して、知らなかった裏事情に気づく必要があります。
私は小学生の時、公園の木を描いているときに、木の幹が絵の具そのままの茶色ではなく、どちらかというと灰色であることに気づきました。固定概念にとらわれて、見もせずに木の幹が茶色とおもいこんでいたわけです。
思い込みや、表層的な写し取りではその周辺の空間の意識や、強い理由づけはかなわないでしょう。

計画する

完成のイメージを持つことが大切です。今の自分のスキルで、目の前のモチーフを描きあげようとすると、何から手を付けて、どういう手順でやらないといけないかを組み立てなければいけません。また、こういう風にできたらいいな、という目標を持つことも大事です。

意志のある答えを持つ

デッサンの答えは目の前にあり、写すだけでもあります。でも、気づきから得られた意志を声高に表現すれば、人に伝わり、同意や共感が得られます。歌や、スポーツ、文章でも同じことが言えそうです。

デッサン

受験デッサン

特に受験デッサンにおいては完成しないということを避けなければなりません。完成しないと、受験に失敗します。下手だとしても?デッサンが完成しており、その中に強い意思表示があれば、未完成のものより高い評価が得られます。

さて。いつまでも時間があればそれなりにいい仕事ができそうなものですが、そんな仕事はなく、だいたい期限があります。その時間内に、できるだけ(たとえば美しく)、関わる人の合意を得て着地させなければいけません。なんとかする力が必要です。

ちなみにデッサンは美大受験を介さずとも触れる機会はありますが、それなりに経験を積まないとなかなか上達しないと思います。たった一度のデッサン体験では、自分にも絵が描けた!くらいで、うまくはならないと思います。

浪人生のデッサン

デッサンがうまい≠絵がうまい

絵が上手いという意味ではないデッサン力は、プロダクトやプロジェクトをデザインする時に必要な意志伝達や、合意を得るためのコミュニケーション術に活かすことができます。
デザインやディレクションの仕事は、コピペやソフトウェアのスキルだけではなんともなりません。

当たり前ですが、デザイナーやディレクターで、デッサン以外を通してそうしたスキルを身につけている人もたくさんいます。
ということは、絵心がなくてもデッサンがうまい人もいるはずです。
デザインやディレクションをする際に活きるスキルの一つなので、経験のある人は自信を持ってほしいと思います。


プロジェクト完成のイメージを思い浮かべるのを「絵を描く」
とも言いますので通じる物は多いのかもしれません!
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※記事内デッサンは筆者及び筆者家族の作品です。

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