躍動する
上京する前に約4年間ベリーダンスを習っていた。きっかけは本当にただただ単純。私は、「あっ!楽しそう!」というものには飛びつくタイプで、ベリーダンスをする前はマラソンにハマっていた。
そのマラソンの練習でお気に入りの公園に向かって軽くランニングしていたときだった。「ベリーダンス」の文字が私の目に飛び込んできた。地元では完全な車社会。だから、歩いたり走ったりすると普段とは違うものが目に入る。でもそのランニングコースは私にとって初めてではなかったので、おそらくふだん見ていた文字だったはず。でもその日はなぜがベリーダンスの文字が私に引っかかったのだ。
日曜日の早朝、緑が綺麗で少し肌寒い、ランニングにはもってこいの気持ちの良い日だった。
家に帰り着き、さっさとシャワーを浴びて、さっきのベリーダンス教室を検索する。わぁ〜楽しそう。腰にジャラジャラなるコインの布を巻いて躍るやつか!そもそも、ベリーダンスってどんなダンスなのか。
ダンスに縁のなかった私は、そんなこともしらず、ベリーダンスを習ってみることにしたのだ。思い立ったが吉日。即、体験レッスンを申し込んだ。
非日常
それからというもの、私はベリーダンスの世界にどっぷり浸かっていく…体験レッスンを受けて楽しすぎて即入会。週に3回のレッスンには欠かさず通った。
そのおかげで、体重はさほど変わらなかったが、身体が引き締まってメリハリが出てきた。お肌の調子も良くなった。
ベリーダンスは女性性を引き出すダンスだと思う。聴いたこともないアラビックな曲と使ったこともないいろんな身体の筋肉を動かし、自分を表現する。オシャレなレッスンウェアを着て、「非日常」を味わう。
ダンス未経験だったからこそ、練習したらしただけ上達していった。そこで、素敵な仲間もできた。年齢はバラバラだったけど、本当にみんな仲が良かった。楽しくて楽しくてしょうがなかった。
舞台
ベリーダンスを習い始めてしばらく経つと、なんと、発表会があるという。「発表会…えっ?人前で躍る?!そんなこと聞いてないよ〜」でも、この発表会がまた私を変えることになる。
発表会。広い会場に、キラキラの照明。舞台。音響。舞台裏。衣装に小道具に。なんだか芸能人にでもなった気分。ワクワクと共に緊張感が半端なかった。お気に入りの衣装を着てガッツリメイクをする。
もういつもの自分はどこにいったのだろう。いったい私は誰?そんなことを思わせる異空間。
非日常とかいうレベルではなかった。なにもかもが初めて。発表会、果たしてちゃんと踊れるのだろうか。
自分の出番を待つ。緊張がMAX。いやー、もう吐きそう…
でもいざ自分の出番。ステージに立った。観客は満員。私の友人や職場の仲間もたくさん着ていた。ラッキーだったことは、照明で観客の顔がよく見えなかったこと。踊ることことに集中できた。
何よりも照明を浴びながら、大音量の音楽と共に舞う。躍動する。たった3分の曲だったけど、この経験が私を少なからず変えてくれた。
発表会が終わると、発表会を見に来てくれた友人たちから両手に抱え切れないほどのたくさんのお花やお菓子、メッセージの数々…本当に芸能人になった気分。
躍ること
自分を表現する。
心をさらけだす。
笑顔が溢れる。
観てくれる人に何かを伝える。
知らない自分に出会う。
自分が初めて踊り手になったこと、初めて客観的に仲間の「心からの舞」を観たことでこれらのことを得た気がする。
今までに感じたことのなかった達成感や一体感を味わって、大人になって初めて私の感性が育ってきたような気がする。
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