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ポメラDM250を買った話

ポメラを買った。

私は特に小説もブログも書かない。詳しく言うと挫折している。あえて言うならばTwitterに常駐している位の、特に強く文章を書くことを欲していない、ごく普通のついったらーである。
特に長文も書かず、時々書いては挫折して、やめとこ……と思いながら生活してきていた。
なぜポメラDM250を買ったのかというと、4年使っていたスマホを変えたからだ。
話がつながっていないと感じたと思うのだが、少し聞いてほしい。

私は、スマホを変えることで、フリック入力ができなくなってしまったのだ。



私はスマホにこだわりがない。
4年前に型落ちで購入したスマホを使い続けた結果、1日に3回くらいフル充電しても持たなくなってきた上に、何度もフリーズして異様に発熱しまくるようになってきてしまったので、しぶしぶ交換サービスに出した。あんまり古かったせいで同機種の交換が叶わなかった。
まあいいやとそのまま強制選択になっていた次の機種(と言っても3年前のものだ)で交換したら、アスペクト比21:9のモデルだったのだ。

私が長年愛用してきたのはアスペクト比16:9、横幅は少し大きめのモデル。
手に対しては少し大きいのだけど、キーボードは片手モードにして楽しく使っていた。
いかんせんついったらーだし、実況が好きなこともあって、文字打ちにはそれなりのスピードを求めていた。

アスペクト比21:9の問題は、バランス感の悪さだと思う。
指が上まで届かない。そのために横端メニューバーがある。それはいい。問題はキーボードの位置が定まらないということだ。それから、縦に長くてなんか重い。

何か恨み事のようにつらつらと書き立ててしまったが、それは機種変をすれば良いので置いておこう。今回のことで、私は「入力機器」の存在の大きさに気がついてしまったのだ。そして、それが奪われた時の無力感も。



ポメラのことは知ってはいた。

私はスマホにこだわりはないが、ガジェットは好きである。時計は長年Fitbitだし、PDF専用電子ペーパー端末(QUADERNO)は愛用しているし、電子書籍用にKindle Paperwhiteはどこにでも持ち運んでいるし、……と思っていたが、よくよく考えると、アナログちっくなデジタル製品が好きなだけらしい。
ポメラもおそらくこの琴線に触れてしまったのだ。

ポメラは、入力しかできない。しかし、入力に特化している。
この、「特定のことしかできない」電子機器を、私は愛してしまうのである。

ポメラに興味を持ったのは、「日常使いできる、脳みそからシームレスな文章作成機器」を求めたからだ。

前述のとおり、私はフリック入力に絶望していた。
私は文章を介して考えることが好きで、Twitterを半分は自問自答ツールとして使っている。脳内で整理して完結させることが苦手で、客観的に読める文章に落とすことで自分としても考えとして昇華できるように思うからだ。本質的には必要ないけれど、過程を重視するタイプでもあるので、その考えの軌跡が全部残ってしまうこのスタイルは、私にとって居心地の良いものだったのだ。

それが上手くできなくなって数日。気がついたのは、インプットが増えすぎてしまうこと。その焦燥感だった。

私のTLには常時2000人程度がひしめいている。つまるところ、基本的に供給過多である。どうやら今までの私は、これに対し自分が反応を残していくことで対応していたらしい。

インプットが増えすぎると、自分以外からの感情で脳内が占拠されてしまう。
考えながら文字を打つのでは遅すぎて、負けてしまう。スマートフォンは今後も形が変わることが前提だろうなあと考えながら、ポメラのことを思い出したのだった。



ポメラを使ってみて思うことだけど、これは自分の経験のせいか、物理キーの持つ力なのか、文字盤のことをあまり考えずに打つことができる。これは本当に期待通りであった。意図しない間違いがない。キーの配列も細部は違えど、イメージしているものと大体一緒。スマホは「持つ+入力する」を同時にしなければいけない関係で、どうしても制約が大きいんだなあと改めて思う。

それから、入力時の気持ちよさ。フリック入力にも触感が加わればいいのかもと思いつつ、いちいち音や振動がくるといらいらすると言ってサイレントモードにしているのだった。

文字を出したいと思うときに、それを自然にやれることは大きい。
私の母親はスマホで文字を打つのが苦手だから音声入力を多用してLINEを返していて、変換違いも多いのでなんて面倒なことをするのだろうと思っていたけれど、この気持ちだったのかと実感した。

何かを打ちたいと思うときに、表現したい内容以外のことを考えるのは大変だ。
でも、これなら必要ない。このポメラならね。



ポメラDM250の欠点は、なんと言っても値段だと思う。
通常価格5万オーバー。どんな高級機器かと思うが、この機械のニッチさを思うと納得せざるを得ない。
この機械をわざわざ買って文字を打とうとする人は、今の時代には相当珍しいだろう。広くマルチに活用できる小型電子機器を持ち歩くことが当たり前になっている時代だ。PCも小型化が進んで、どんどん軽くなっている。しかし、小さなタブレットなんかのおまけでで小さなキーボードを持ったことがある人は知っていると思う。あの限りなく打ちづらいぺったんこのキーボード。持ち運びの利便性と天秤にかける当たり前。その中でポメラのキーボードは、非常に打ちやすいと思う。



ポメラDM250を買う前に、手当たり次第にレビューを読んでいた。長年使い込んでいそうな文筆業の方が話し込んでいた。その時点でニッチ機器好きには致命傷だったかもしれない。ポメラDM250は、「書きたいという気持ちになる」しかし「この価格を出して買うことに見合うのは長文作家のみであろう」というのがざっくりした総評であった。


本当はDM200と打ち比べてみてから買おうと思っていたのだが、Amazonのセールで予想外に値引かれていたのでうっかり買ってしまった。よって私にとってポメラはこの最新機種だけである。
以下、私の所感。

  • 静音性が上がったらしい打ち心地は、気分に合っている

  • 手の小さな人間にとっては、少し大きいくらいにすら感じる

  • キーの中央を押さないと入力されなかったり二重打ちされることがあるのが気になる

  • グレーの少しマットな表面は、Kindleに似て指紋汚れがつきやすいが、グレーなので許せる

  • サイズは思っていたよりも大きい(というか、箱が大きくてびっくりした)

  • 使っていると小さく感じる

  • 持ち運びが不安&SDカード挿入口が開いたままなのはちょっと気になる

  • しかし純正カバーは気に入らないので、何か探すか作るかしようかと思っている(欲を言えば、すこし厚めの合皮製の薄い袋型のカバーが良い。とりあえず薄い方の純正ケースを買うべきだろうか)

  • 画面にはブルーライトカット+低反射の画面保護シートを貼った。黒背景にしたかったので、映り込みがなくなって満足。デフォルトでこうしてほしい

  • じゃあ、何か打とうかな、と思える感覚は、新しいノートとか万年筆を買ったときに似ている

  • Bluetoothキーボードモードを使ってツイートしてみた。なるほど面白い。一部記号がうまく入力できないのは設定を変えればいいのだろうか。

  • 電子ペーパー使いに慣れていると、電池の減りが早くて驚いてしまう(当たり前)

  • 4年後くらいでいいから、電子ペーパーモデル出ないだろうか。使いづらいって言われそうw

  • (追記)既にあったんですね!折りたたみじゃなくてバックライトありのモデルがいいなあ

私が思う、ポメラを買うのにおすすめの人。

  • 文字を介して考える人

  • ガジェットが好きな人

  • 文字を書かなければならない人

  • 型から入るのが好きな人

上記の方は、多分満足できるのではと思う。


さあ、何を書くか、どうしようかな。

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