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トム・クルーズと焼きビーフシチュー

今週明け、久々に映画を観に行った
何日か前に、三女が「ベイビーブローカー観て来た」とラインに上げてたのを読んで急に観たくなった
映画にはかなりシビアな目を持つあの子が観に行ったんなら、間違いなく面白いはず!

人の少なさそうなレイトショーの時間を選んで、映画館へ
マンションから徒歩3分
殆ど映画館に住んでるような距離感

時間のせいだろうか、お客さんは私の他に男性1人、女性1人、3人しかいない
どういう訳か、館内に対角線上に、三人がほぼ等間隔で並んで座ってるという、なかなかシュールな位置関係

へんなの

間もなく、照明が落とされて、上映開始
序盤は、予想通りの流れで…
で、ふと気が付いたら

寝てた

文章の引用で「中略」とあるが、まさにそんな感じ
中盤がすっぽり抜けちゃってる
GYAOだったら、いくらでも戻れるんだけど
映画館では、そういう訳にも行かない

肝心な所のストーリーが把握できていないせいか
今ひとつ感情移入も出来ぬまま
感動ポイントがあったのか、なかったのか
あやふやなままで終わってしまった

レイトショーという時間が悪かったのか
寝てしまうほどの内容だったのか
まあ…そこのところはね…

帰り着いた頃には、良い子はみんな寝る時間
「こんな遅くまでどこ行ってたんだよ~」と言いたげな顔の猫がのそっと出迎えてくれた

翌日、「ベイビーブローカー観て来たんだけどさ…」と娘に話す
三女「あら!母も見て来た?もうさあ~カン・ドンウォンめちゃくちゃカッコ良かったよね~」
私「え…カン・ドンウォン?…って、誰?」
三女「ほら、あの若い男の人いたでしょ?背の高い…」
私「あ~彼ね」
三女「あ~って、母、何観に行ったの?あの映画は、内容はさて置き、カン・ドンウォンを観るために行くんだよ」

娘よ、母は知らなかったのよ
あの映画が「カン・ドンウォン祭り」だったってことも
君が「カン・ドンウォン」をそんなにも愛してたことも

そりゃあ…寝るわ

更に、三女が「トップガンは観ないの?こっちでは、何回も観に行くほど人気で、私も駆け込みで行こうと思ってるとこ」

そう言われたら、行かないわけにはいかない
何で私は、三女の言いなりで動いてしまうんだろう

一日挟んで、再びの映画鑑賞
今回もレイトショーの時間に行くと決めたが、その前に夜ご飯を食べに行く事にした
映画館近くの、こじんまりとしたビストロ
地元紙でも紹介されててずっと気になってたワインと黒毛和牛の美味しいお店
夕食の時間帯を過ぎていたせいか、店内のお客さんの姿はなし
貸し切りでご飯…
ある意味、贅沢
言い換えるなら、孤独

とても愛想の良い奥さんが、席へ案内してくれたあと、水を運んで来てくれた
奥さん「何になさいますか?お飲み物から決められます?」
そう言いながら、見るからに高そうなワインリストを開いた
私「あ、今夜はこれから映画を観に行くので、ここで酔っ払ってる場合ではなくて…」
奥さん「まあ!失礼しました」
と、改めて食事のメニューを開く
私「ここのお店、初めてなので、何かおススメがあったら教えていただけます?」

奥さんのお勧めの一品は、長崎黒毛和牛の焼きビーフシチューとのことだったので、それを注文してみることに
待っていると、先にフランスパンが出された
パン皿の横にオリーブオイルの入った小皿が添えられてる
よく見ると、オリーブオイルの中に何か入ってる
お塩?
私「すいませーん。この中に入ってるのはお塩ですか?」
奥さん「あ、そうです。うちは塩にちょっとこだわってるんですよ!」

そうなのか、だったら…聞かずばなるまい

私「って言う事は、これ、どこかのブランド塩ですか?」
奥さん「え!?どこの…どこだったかな。えっと…確か、沖縄の何とかって言う島の塩なんですけど…」
私「なるほど。では、なんとか島のお塩という事で…」

たかが塩、されど塩
美味しいものには訳があるのだから、プロの情報はゲットしたい

店の奥から奥さんが、小振りのココットに入ったビーフシチューを運んで来た
蓋を開けると、ソースがぶくぶく音を立てていかにも熱そう
これをすぐに食べ始められる人は、人間ではないと思う

奥さんが「どうぞごゆっくり」と頭を下げながら、思い出したように「あ!さっきの塩ですけどね、石垣島でした!」
ちゃんと忘れずに教えてくれてありがとう

さすが、黒毛和牛!ニマニマがとまらない
美味しいものを食べた時、何故、人は笑ってしまうのか…

シェフ自慢の味を堪能し、お会計を待つ
厨房の中からご主人が登場し、笑顔で軽く頭を下げた
せっかく顔を見せてくれたのだし、ここで何か気の利いたことでも言った方が…良い?
何に対しての忖度なのか
すぐに、そんなどうでも良いことが頭に浮かんでしまう私

「とっても美味しかったです!ご馳走さまでした。」
だけでも良かった気がするが…

「器が平皿じゃなくてココットって言う所が良いですよね。温かいものを平皿で出すと、どうしても後半で冷めてしまうから。温かいものは最後まで温かく食べて欲しいという、ご主人の心遣いがとても素敵だなって。」
一体、私の何処から出て来るのやら、こんな話し

ご主人、驚いたような顔をして「いやあ~そんな所に気づいてくれたお客さんは、初めてですよ」と照れ笑い

この後のお会計で、通常の金額から、500円の割引を受けたことは、ここだけの秘密です

この夜観た「トップガン マーヴェリック」
ネタばれになるので、詳細は書けないけど
テンポ、ストーリー、スケール、人間模様…
ひとことで言うとすれば「U.S.A.」そのもの

「カン・ドンウォン祭り」ならぬ「トム・クルーズファンの集い」
この映画を観てる時のアメリカ人のリアクションを動画にとって、誰か私に観せて欲しい

ちなみに、今回はトム・クルーズと飛行機に、終始見とれていたので、寝る間も無し…

そう言えば、映画館に行ってお金を支払う時
いくらですか?と聞くと、通常の料金を言われるので、保険証を提示すると「はあ?」って顔で「ご本人じゃないと使えません」となる
私は運転免許もマイナンバーカードも持っていないので
身分証明は、顔写真無しの保険証

ある時は、高齢者扱いされて気分を壊し
ある時は、高齢者割引に喜ぶ
人間とは実に勝手なもの…

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