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おっぱい−たった1分で読める1分小説−

 男は、おっぱいを愛していた。

 物心ついた頃から女性のおっぱいに興味があり、最初に口にした言葉も『おっぱい』だった。

「君のおっぱいが見たい」
 男は女性に会うたびに、全員にそう頼んだ。それが男の口癖だった。
 拒否されたり、気味悪がられることはなかった。

 というのも男は、目を疑うほどの美男子だからだ。だから女達は、喜んでおっぱいを見せた。

 ただ彼は、性的な行為はしなかった。おっぱいに触ることもなく、美術館で絵画を鑑賞するように、静かに見つめるだけだ。

 男の脳裏には、理想のおっぱいがあった。長年そのおっぱいを追い求めてきたが、未だに出会えなかった。
「はあ……」

 男がため息をつくと、
「やっと見つけましたよ」
 何者かが男に声をかけた。
 彼はペドロ星の宇宙人、コキリ。男はペドロ星の王子で、誤って地球に放置されたそうだ。

 二人が宇宙船で帰郷すると、コキリが嬉しそうに言った。
「王子、我々の星、ペドロ星が見えてきましたよ」
 男は窓を見て、目を大きく見開いた。強い衝撃で、心の芯が痺れる。

 お椀が二つあり、その先にチョコンと、可愛らしい突起がある。
 なんて美しい星なんだ……。
 それは男が探し求めてきた、理想のおっぱいだった。

 そうか、僕はずっと、故郷の星を探していたんだ……。
 感涙の涙を流す男を見て、コキリは満足そうに説明した。
「星があの形なので、我々はこう呼ばれています。


『おっぱい星人』と」




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