note連続小説『むかしむかしの宇宙人』第59話
→前回の話(第58話)
→第1話
二人が話に没頭しはじめたので、わたしは周囲を散策することにした。あちこちで会員たちが双眼鏡で空を見上げている。
わたしも目を細めて空を眺めた。円盤の欠片すら見当たらない。あきらめて適当にぶらついていると、窮屈そうに身をかがめ、望遠鏡を覗き込んでいる星野さんを発見した。
「星野さん、見えますか?」
星野さんは望遠鏡から目を外し、自分の腰を軽くたたいた。
「いやあ、見えないな。幸子ちゃんはどうだい?」
小さく首をふる。「だろうな」と