見出し画像

おしゃべりカラス(SSランクです)

ということは、バリアグにもステータスは自分でなら正確に分かるということか。自分で正確な数値が分かる。それがどれだけ大事なことか。バリアグは老人の見た目をしているから、ステータスは五十桁くらいかなぁ?それならあれほど強かったのも納得だ。生身であそこまで強かったのも、「限界突破」があったからなのか。あれ?「限界突破」が「限界突破イベント」を優勝して、獲れたものだとしても、生まれつきだったとしても、もう参加しなくてもいいはずだ。なのに、バリアグは「限界突破イベント」に参加した。そこには、意図的な何かがあったはずだ。もしかして、「世界樹のエリクサー」を獲得できることか?何らかしらの重い病を持ってるんじゃないか。そこまで重い病といえば、一つしか思い当たらない。「怪魔病」だ。「怪魔病」は、ステータスが恐ろしいほど上昇するが、その代わりにスキルが一つだけしか得られなくなるという、いい病か、悪い病か分からない病だった。いや、バリアグが必ずその病だとは限らない。ほかにも、「死囚病」とか、「霊旧病」とかの可能性もあるし。
ただ・・・条件が揃いすぎている。本当に「怪魔病」の可能性が高い。「怪魔病」の治療法は、今でも詳しく分かっていない。唯一の情報源分かったのは、古代からのメッセージのようなものだ。古代からのメッセージには、訳すと、こう書かれていたらしい。

死はいつも、「因果の果て」にある。「因果の果て」に辿り着けたものは、1人だけ。名を、アワレイド=メスファ。彼は、全ての因果を断ち、全てを支配した。故に、「魔王」と呼ばれた。その魔王の血肉は、万物を蘇らせる。

などと書いてあったらしい。一つだけ知っている単語があった。「因果の果て」という単語である。正確には、ダンジョンの名前だが。「因果の果て」というダンジョンは、Sランクなどと生易しいものではなく、現在で2箇所だけ確認されているSSSランクダンジョンである。SSSランクダンジョンというのは、上層でさえステータスがカンストしているものが、五万といるような、厳しい世界である。でも、カルハなら瞬殺じゃない?下層なら難しいかも。龍なんて雑魚みたいな扱いをされてるのが下層だからな。その神のようなダンジョンに向かった。バリアグの病気を治してあげたいからね。
「『加速』、『加速』。多重強化。カルハ、頼む。」
カルハの背中に乗って、「因果の果て」に向かった。


十三日後。俺たちはやっと「因果の果て」に辿り着いていた。カルハの背中に乗っていても、なかなかに行きづらかった。途中で催眠ガスとか、目潰しガスとか、とにかく色々なトラップが襲いかかってきた。おかげで、倍以上の時間がかかってしまった。そんなことを考えながら、錆びた扉の中に入った。


「因果の果て」の内部は、人間の骨でできていた。しかも、5メートルはある目がクリンとしたカラスみたいなものが、その骨をバリバリと喰っていた。グロデスクな光景を目の当たりにし、ゲ○を吐きそうになった。と、そのとき、巨大カラスがこちらに気づいたのか、ゆっくりと近づいてきた。そして持っていた人間の骨をーーーーくれた。
コトン、と綺麗な音がして、人間の骨が置かれた。もしかして、巨大カラスなりの宣戦布告か?だとしたら、早めに片付けなければ。いや。カラスからはさっきがまるで感じられない。なら、直接調べるしかない。
「ステータス鑑定」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーランク SS
名前  スケープクロウ
真名  カインドクロウ
権能  おしゃべりもの、共感
能力  打ち解ける 会話 念話 優しい
スキル 拾う 食べる 主人見つけ 限界突破
レベル 9999
物理攻撃力 999999999999999999999
物理防御力 999999999999999999999
魔法攻撃力 999999999999999999999
魔法防御力 999999999999999999999
魔力    999999999999999999999
経験値   567248
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

敵意を感じさせるようなスキルは、持っていないようだ。というか、逆に無害なスキルしか持ってない。しかも「限界突破」まで持っている。そう考えた時、頭の中に○ッキーマウスみたいな能天気な声が響いた。
(ヘイ!僕カインドクロウ!『因果の果て』の中ボスだよ!あっ、君に敵意はないからね!)
口調がミッ○ーマウスやん!思わず関西弁でツッコミそうになった。こいつ、強いけど能天気だな。なんだか、こいつ誰とでも打ち解けそう。さらに五月蝿いぐらい頭の中に声が響いた。
(『因果の果て』は、最高難易度とか言われてるだけあって、フェンリルとか、フェニックスが中層にいるんだ!ちなみにラスボスは魔王様。クリア報酬が、世界の半分だよ!)
なんか今、サラッとヤバいこと言わなかったか?ていうかこいつ、本当に敵意ない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?