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ジョブ型人事制度はなくても、ジョブ定義は必要不可欠!

各ポジションに求められる「役割・成果・数値目標」を明確にできているでしょうか。これらは「ジョブ」を定義する上で最低限欠かせない3要素である一方、不明確なままの企業も少なくありません。

そこで本記事では「ジョブ」について、必要性や定義しないことで生じるリスクを紹介した上で、定義することで得られるメリットや明確化に向けた手順や重要なポイントを解説します。


激動の時代を生き抜く組織に必要なのは、明確な「ジョブ」

近年、環境変化のスピードが加速するなか、組織が生き残るためには「ジョブ」を明確にすることが不可欠です。
ジョブ型人事制度の導入は必ずしも必須ではありませんが、以下3つの要素(=ジョブ)を定義することで、組織の活性化を図れます。

  • 役割: それぞれの担当者が担うべき責任と期待される行動

  • 成果: それぞれの役割を果たすことで期待される具体的な成果

  • 数値目標: 成果を定量的に表す指標

本来ジョブとは、より細かくコンピテンシーやスキルまで落とし込むのが一般的ですが、まずは最低限「役割、成果、目標」を設定することを推奨します。
これにより、多くの企業で生じがちな「従業員は数値目標は理解しているものの、自身の役割や成果を把握できていない」という課題の解消につながるのです。

ジョブが定義されていないことで発生する問題

ジョブが定義されていないことで、以下のような問題が発生するリスクが高まります。

  • 新たな戦略を構築する担当者が不明確なため、従来の戦略にしがみつき、変化に対応できない

  • ボトムアップで変革を目指すといった、上位職による責任放棄

  • 大きな戦略展開を示すのは自分の仕事ではないという決断者の不在

  • 上から降ってきた数値目標をただ分解して下へ降ろすだけの状況

部下が数字達成の目的や意義を理解できなければ、思考や行動は制限され、モチベーション低下を引き起こします。そして戦略の見直しが行われず、変化に対応できない組織は、現場の負担が大きくなり、疲弊を招いてしまうでしょう。

ジョブ定義で実現する自律的な組織

ジョブを明確にすることで、従業員一人ひとりが自身の役割と成果を理解し、自律的に行動できるようになります。
一方で、ジョブが明確でないと、昇格して満足という結果を招きかねません。つまり、自分の能力の限界まで昇格したのは良いが、成果を出せない役職で昇進がストップしてしまうといった事態です。これでは、適任でない人がそのポジションに居座ることになります。
こうした状況が続くと、組織全体としてのパフォーマンスが停滞・低下します。そこで、誰がジョブを果たしているのかを明確にするためにジョブ定義が不可欠なのです。

ジョブ定義の第一歩:役割、成果、目標を明確化

前述した通りジョブはより詳細なコンピテンシーやスキルまで定義するのが一般的ですが、まずは最低限、役割成果目標を明確化することから始めましょう。このシンプルなジョブ定義でも、組織の活性化に大きな効果を発揮することができます。

役割、成果、目標の定義

役割、成果、目標の定義は、以下の通りです。

役割、成果、目標の定義

役割:仕事(影響)の範囲

個人やチームが組織内で担う責任や仕事の影響範囲を表します。つまり役割は、取り組むべき業務領域や貢献対象(売上、利益、課題等)に対して、どのような責任を持つかを示したものです。

成果:求められる状態

ある目的に向かって取り組んで得られる結果を表します。成果は、「自組織や自分の働きかけによって、外部にいる顧客や他者がどの様な状態になってほしいのか」で定義できると望ましいです。

目標:達成すべき具体的な数値目標

特定の期間内に達成するべき成果を、定量的または定性的な数値目標にしたものです。目標は自組織や自分の仕事の達成を測るものです。測定可能な数値で定義するのが望ましいでしょう。

 

行為ではなく求める成果を伝える大切さ

ここで、求める成果を伝える大切さについて解説します。
例えば、清掃員の仕事は、「オフィスを掃除すること」という行為(=To Do)ではなく、「清潔で快適なオフィスを提供すること」という状態・結果(=To Be)が求められます。このように、仕事には行為(=To Do)と状態・結果(=To Be)の違いがあり、どちらを自分の仕事と定義しているかによって仕事に対する認識が変わります。
もし上司から「オフィスを掃除してくれ」と言われた場合、アクションに焦点が当たり、「一生懸命やれば報われるはずだ」と自分本位の甘い評価になりがちです。一方で「オフィスを清潔で快適な状態にしてほしい」と言われると、状態・結果(=To Be)に目が向くようになります。そうすると、結果に対する外部評価を意識するようになり、自己本位の思考を避けることができます。
自分の仕事がどの様な成果を期待されているのかを理解することで、自分の役割や目標が明確になり、自己評価も客観的になるでしょう。結果的に、単なる行為(=To Do)に満足することなく、結果(=To Be)にコミットできるようになるのです。

まとめ

ジョブ型人事制度の導入は必須ではありませんが、ジョブを定義することで組織の活性化を図れます。
まずは、役割、成果、目標を明確にし、従業員一人ひとりが自分の仕事にコミットできるように支援することが不可欠です。
これにより、組織全体が変化に対応できる柔軟な組織を作ることができます。


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