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【連続note小説】日向食堂 小日向真司5歳

「真司、お母さんはしばらく家にいなくなるから、おじいちゃんの家に泊まって来い」
真司は子供ながら、ただならぬ空気を感じ、理由もわからず誠司の言う通りにした。
誠司の父母の家に預けられた真司は、泣き言一つ言わず、家に戻れる日を待ち望んだ。
祖父母は優しく接してくれたが、真司があまりに行儀がいいので、真司を褒めちぎった。
そのままずっと預かってもいいとさえ思った。

ある日、誠司がふらっと真司の元に現れた。
真意は誠司に飛びつき、誠司は真司をしっかりと抱きしめた。
「真司、帰るぞ」
そう言われて二人で懐かしい我が家に戻った。

アパートの一室に真司は母の姿を見て硬直した。
母・文枝の腕には新しい命が抱きかかえられていた。
「真司、弟ができたよ」
文枝は優しい口調で、弟を見せてくれた。

真司は自分の小さな手でさらに小さな赤ん坊の手を優しく握ってやった。
歳之と名付けられた赤ん坊が、にっこりと笑った。

「こんにちは」
真司は自然とその言葉を口にしていた。


真司が生まれてから人生を全うするまでを連載小説として描いていきます。

<続く……>

<前回のお話はこちら>

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