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サラリーマンの教採対策「戦略を立てる」

 この記事では、教採に勝つための戦略の描き方について、自分なりの考えややり方をまとめてみたいと思います。

 なぜこの記事を書こうと思ったのかというと、私がもう一度、教採対策を行うとしたら、まず一番最初に戦略を立てることからスタートするからです。

 私自身は、サラリーマン+通信大学生をやりながら教採対策を始めて、運良く1回目の教採で合格を頂くことができました。しかし、無駄が多かったように思います。そこで無駄のない教採対策を進めるためにも、最初に戦略を描くことが大事だと思いました。

 社会人が教採対策を行う上で、最も大事なのは効率ですよね?この記事を読んでくださっている方にも、効率的な教採対策にするために、まずは戦略を考えてみることをオススメします。


●私が教採に再チャレンジをするなら

 いきなりですが、私が試験1年前にタイムスリップして、教採に再チャレンジするならを先にまとめます。

試験1年前の状況

専門科目
 過去問の結果は30/100点と壊滅的な点数…。ヤバい。
一般教養
 良くて「中の下」レベル。内容の範囲広すぎ。対策にはかなりの時間と労力を要するが効果は薄そう。
■教職科目
 真面目に大学で勉強していたため、多少の知識はアリ。少し勉強をして、文言などを暗記すれば、わりと点数は上げられそう。
■論作文
 文章は比較的得意。論題の難易度も高いわけではない。書き方はわからないが、2・3回書いて評価してもらえればコツは掴めそう。あとは試験前に多少の知識の詰め込みは必要。
■模擬授業
 試しでやったら全然できない。ただ、感覚として何度も経験さえ積めば大丈夫そう。
■面接
 自信あり。現役の営業マンなのでと相手からの印象管理とベシャリは問題なし。本業が就職支援だったので、面接対策は自分でもそこそこにできる。

戦略(合格までのシナリオ)

■専門科目の対策に全振り作戦!
■一般教養と教職科目は社会人枠で受験すれば免除されるので捨て。(一般枠での受験よりも勝てる見込み高。)
■論作文1ヵ月前の対策で問題なし。知識の詰込みとコツを掴む。
■面接は1次試験終わった後に対策。
■模擬授業は教育実習があるので、そこで完璧に仕上げる。その前に模擬授業で求められることだけまとめておく。


 再チャレンジといっても、私の場合は最終的には割と上記の対策に近い内容で進められたように思います。「まぁ、そうだろ」と当たり前のように思える内容かもしれませんが、いざ自分の戦略を考えるとなると難しいのではないでしょうか?

 以下より、ビジネスマンのお作法を使った、大人な教採戦略の立て方をまとめていきたいと思います。大人の教採対策で、現役大学生の受験者に差をつけましょう!



●「戦略」とは

 既に社会で活躍されている皆さんには釈迦に説法ですが、改めて今回でいう「戦略」とは「勝つためのシナリオ」です。

 むやみやたらに勉強し始めても、膨大な時間を教採対策に充てられる現役の大学生に叶うはずがありません。我々は厳しい社会で揉まれながらも、新たな未来に向かって頑張っているのですから、合格まで効率の良い近道を使って、対策を進めていきましょう。

 多くのビジネス本で、「戦略」に関して語られていますが、個人的にしっくりくるのはこちら。

  1. 本当に重要なのはどれで、後回しにしてよいのはどれか見極める

  2. 手持ちのリソースで現実的に対策可能なのかを判断する

  3. リソースを集中する・配分する

 そんなわけで、この3つのパートに別けて「こうやって進めたらよかったな~」をざっくりまとめていきたいと思います。

※シナリオを実現するための具体策を「戦術」といいます。今回述べるのは「戦略」なので混同されないようにご注意ください。違いが判らない方は是非ググってみてください!


●1.本当に重要なのはどれで、後回しにしてよいのはどれか見極める


 これが1番難しい。だけど、1番重要。
 これができたら戦略の7~8割はできたようなモノです。


①可能な限り多くの情報を集めて整理する

 まずは文部科学省や教育委員会のHP、webで検索、SNS、Youtube、先輩・恩師・知人、教採対策の業者・アドバイザーの話を聞くなど、あらゆる手を使い調べましょう。

 自治体によっては公表していない情報が多いこともありますが、例えば下記のような点がわかると良いと思います。(過去数年分調べるのが◎)

  • 過去問(数年分)を解いた自分の点数、面接や実技の評価

  • 試験の内容、傾向、配点、例年の日程など

  • 受験区分とその内容(一般枠、教職経験者枠、社会人枠など)

  • 受験人数とその内訳(学生、教職経験者、社会人など)

  • 合格人数と倍率の内訳(各受験枠や各属性別の倍率)

  • 合格最低点

  • 教育委員会の採用HP・パンフレット
    (特に採用されるペルソナを明確にする!)
    …etc

【余談】
教採対策を始めたいけど何からすればいい?

 とりあえず「過去問」解いてください。
 また筆記の過去問も重要ですが、実技(模擬授業)や面接も是非やってみてください。なぜなら、自分の力量がわからなければ教採対策の全体のボリュームを知ることができないからです。

 私の場合、教採の勝因はここが大きかったと思います。「わからんけど、とりあえずやってみよう!」ということで教採試験の1年前くらいに、とにかく不格好でもやってみた自分を褒めてあげたいです。当然、出来なさ過ぎて落胆しました。しかし、自分の現在地を知ることができ、その後の対策につながりました。録画したり、X(Twitter)やYouTubeの対策のプロに依頼するなど、面接や模擬授業の実践方法もいくらでもあるはずです。

 私がもう一度、教採対策をするとしても、必ず初めにまずは全部の試験項目をやってみることからスタートします。

 そして、集めた情報から、色んな角度で考察してみましょう。
 考察の観点としてはこんな感じ。

  • 自分はどの科目(面接や実技なども含む)が得意・苦手か

  • 自分以外の受験者はどの科目が得意・苦手そうか

  • 自分はどの募集枠から受験するのが合格しやすいか

  • 自治体はどのような人を採用したいか?

    • 試験科目(面接・筆記・実技)の中で特にどれが重視されているか。

    • 教採のHPやパンフレット、各自治体の教育方針や変遷を確認し、どのような人物が求められているのか。

  • 合格最低点・目標とする点・(面接や模擬授業の)完成度はどれくらいか?
    どの程度の点数・完成度を目指せば良いかわからない場合、苦手科目は5~6割以上、得意科目は8割以上を、まずは目安の目標にするのが良いかと思います。ただし、自治体が重視している試験項目に関しては7割~8割は目指したいところです。

 他にもいろんな角度から考えられることを整理してみましょう。


②優先順位を考える

 試験の概要、自治体の重視している点、合格最低点(完成度・目標の点数)、自分のレベルが把握できたら、対策すべき内容を整理してみましょう。

 簡単にこんな感じでいいと思います。

  1. 対策すべき項目を書き出す

  2. 1.の項目に対する現在の自分のレベルを書き出す

  3. 1.の項目に対する、合格するために必要な到達目標を書き出す

  4. 2と3のギャップを書き出し整理する

  5. 項目の優先度をつける


 このとき、5.の優先順位のつけ方がポイントになります。
 優先順位のつけ方に関しても多様に語られますが、この場合は「インパクト」と「コスト」という観点で考えるのが良さそうです。

インパクト=対策したときの効果(合格にどれだけ近づけるか)です。
コスト=難易度(目標到達に要する時間や労力など)です。

つまり、簡潔にいうと
「効果が大きく、難易度が低い項目」が優先度が最も高く、
「効果が小さく、難易度が高い項目」が優先度が最も低い、
ということです。

【例えば…】
 30/100点の科目Aと、70/100の科目Bがあったとしたら、当然伸びしろが30点しかない科目Bよりも、70点も伸びしろがある科目Aを対策した方が効果が高いことになります。

 では仮に、科目Aは1点伸ばすために15時間、科目Bは1点伸ばすために7.5時間のコストがかかるとします。そうすると、例えば、同じ150時間のコストを払っても科目Aは10点、科目Bは20点伸びます。こうした場合は、科目Bを伸ばして総合得点を上げた方が得策となり得るのです。

 このように自分が講じている対策に対して、常にインパクトとコストの関係を意識して対策を進めましょう。

 とはいえ対策を進めてみないと分からないので、最初は感覚でいいと思います。ある科目に長い時間と労力を割いた末に、効果が小さくコストが高いことに気が付くこともありす。はい、実体験です。(涙)

 決めたことをやり抜くことも大切ですが、定期的に模擬試験や過去問を解き、対策の効果を検証し調整することも大切です。適度な柔軟性も持って対策をしてみてください。



●2.手持ちのリソースで現実的に対策可能なのかを判断する


①リソースを確認する

 リソースとは、つまるところ教採対策の資源です。
 そして、私が教採を経験した上で、重要だと感じたリソースはこの5つ。

  • 時間

  • 教材(お金)

  • 体力

  • 精神力

  • 協力者(受験仲間や友人など)

 詳細の説明は不要ですね。
 まずは自分がどれくらいリソースを持っているか確認してみてください。

 また、その対策を進めるためには、どの程度のリソースを消耗するか、調べたり想像したりして、やるまえに実現可能なのかを検討してから取り掛かりましょう。後になって「時間」が足りない、「お金」がない、「体力的」にキツいという状況になり、中途半端に終わると意味がありません。しっかり「やり切れる対策」を検討してみるのが良いと思います。

【手持ちのリソースだけで考えない】

 当然ですが、リソースは多ければ多いほど、対策の選択肢も広がり、より効率的に進められるはずです。「手持ちのリソース」という言葉を遣いましたが、前提として「足りないリソースは増やせるか」という発想からスタートしましょう。

 例えば、働いていても時間は増やせます。SNSやショート動画をだらだら見ている時間など、削れる時間もどこかにあるはずです。

 また協力者に関しては、知人にお願いするのもいいですが、SNSを上手く活用するのもオススメ。一緒に教採を頑張れる仲間は、刺激を与えてくれますし、SNS上でもディスカッションをすると情報収集・教材にもなり、とても重要な存在です。また模擬授業や面接を1人で対策することは絶対にできません。協力者というリソースは必ず確保することをお勧めします!

 そして、意外と蔑ろにされますが、体力と精神力も大事な資源です。勉強に要する体力や精神力が不十分なとき、しっかり休んでから、フルパワーで勉強した方が、集中できて記憶に残り効率も良いです(私の場合ですが)。ただし、休む時間は決めましょう。そして、体力と精神力というリソースが揃ったら勉強するのが良いと思います。


②リソースの観点から実現が不可能な場合

 リソースが足りなくて実現が不可能な場合は、諦めて別の実現可能な方法を考えてください。その際に必然的に次回の教採を見据えなければならない場合もあるかもしれません。その場合は、「最も合格の可能性を高める対策」をとにかくやってみましょう。

 大丈夫です。私はそれで合格しましたから。
 「今年は教育実習あるし、大学の単位もまだ必要だし、仕事は忙しいし今年は受かればラッキー」という精神の下、ただひたすらに「合格に1番近づく、今やるべき対策」を考えてそれに打ち込んでいたら、神様が味方してくれました。笑

 結局、誰かと点数を競っているわけですから、周りが休んでいるときにも、ゆっくり歩みを止めなかった者が勝つことだってあるんだと思います。



●3.リソースを集中する・配分する

①対策を進める際の注意点

 あとは実行あるのみです。決めた対策に対して、リソースを投入!
 もちろん、優先順位を変えたり、リソースの割き方を変更したりなど、やりながら「常にベストな対策」を意識しましょう。実行する際は下記のポイントで対策を進めましょう。

  • 「コスト」と「インパクト」を意識して柔軟性を持つ

  • 今、やらないと決めたことはやらない

  • 定期的にテストや実践で実力を確認

  • 足りないリソースは都度調整


 特にリソースの調整に関してですが、多くの場合、足りないリソースは、別のリソースで賄うことができます。例えば、「時間」が足りない場合は、効率のよい「教材」があれば補填できます。

②足りないリソースを補填する裏技

 課金してください。
 これを最後にいうと元も子もありませんが、お金さえあれば効率の良い教採対策は可能です。お金があれば、良い教材が手に入りますし、業者やアドバイザーに申し込めば協力者だって得られます。また、日常でも一人暮らしで自炊しているなら、お金をかけて外食をすれば時間も生み出すことができるでしょう。

 むしろ、場合によっては現役の学生受験者と最も差をつけることができるリソースなのかもしれません。フルタイムで勤務されている場合などに関しては特に、勝負をかけたいときは課金して、効率をあげることがときには重要になると思います。

 また現実的に、お金というリソースが投入可能かどうかはさておき、お金をかければ効率的に教採対策ができることは知っておいた方が良いでしょう。

【「時間が足りなかった」は、いいわけ】

 「時間が足りなかった」はいいわけだと思っています。
 大抵の場合、「取り組む前の見込みが甘かった」もしくは「時間が足りないと途中で気が付いていたが修正しなかった」からということが多いからです。また、時間がなかったを言い訳にすると、次への修正や改善がありません。

 もちろん、事実として時間が足りなかった場合もあるのだろうと思います。しかし、働きながら効率の良い教採対策を進めるためにも「別の良い方法はないのか(なかったか)?」から考えて、「時間が足りなかった」といういいわけは、最後まで取っておきましょう。



●最後に

 当たり前ですが、当然ながら楽して合格するのは無理です。合格までの「最短の対策」はありますが、何か楽で画期的な対策方法があることはないと思います。

 そのために、効率がよく出来るだけ無駄のない対策を進められるように、筋の良い戦略をしっかり立てることが大事だと思います。社会で揉まれて培った力を駆使して、現役の大学生に負けない大人の教採対策で、ぜひ合格を勝ち取ってください!

 同じ社会人から、教員になるべく頑張っている皆さんを心より尊敬し、応援しております。良い結果になりますように。

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