見出し画像

いつもの廊下 第4話


そこで、彼らは、こんな風に言ったんだ・・


時間とは、夢を見てるあいだのことなんだよ。


そんなの、本当は、はじめから、どこにもないんだよ。


僕も、何だかわくわくして・・


うんうん。

知ってる。


知っていたのか、嘘をついたのか、

それは、もう、おぼえていないんだけれど。


でも、

それはもうわくわくするから・・


ちいさかった僕は、


ただ、わくわくするから、「知ってる」って答えたんだ。


そこだけ、はっきり覚えている。



たぶん、それが真実なんだろうと思う。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





映画館に着いた。


彼女は、大学の友人らに、えらく勧められたらしく


めずらしく、この映画を見ることに情熱を向けていた。


車中、ネタバレするぐらい、

その映画のうんちくを聞かされたのだけれど


まったく、何も覚えていない・・

馬の耳に念仏?

まあいいや。


なにやら、たいそうな、恋愛ものらしいが、

当時の僕には、うるさいから、

ただ、観るのをただ付き合っただけ・・


そんなところ。


何の興味もなく、めんどくさいだけの

仕事で疲れてる日のSEXの前戯みたいなものだった。


しっかし、女性ばかり。


館内に入ると、予告の重低音と、独特の雰囲気と

良くこれだけ集まったと感心すらさせられる女の子たち・・


TITANIC デカプリオ?


てか、ちょっと前まで、「ブラピ命」って言ってたよね。





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





窓際の二段ベット


弟は下。僕は上。


兄弟のパワーバランスは、石のように固い。


と、思っていた。


まあいいや。



とにかく、その頃の僕は二段ベットの上で寝ていた。


当時の家庭では、クーラーなど贅沢品だ、窓を開けて扇風機を回す。


真夏

毎日、毎日、暑くて寝苦しかった。



その時も、そんな、真夏の熱帯夜だったと思う。


眠りに落ちる瞬間の一歩前、ほんの一瞬手前で

上がれる嬉しさがこみ上げる!


脳みその記憶と魂の記憶が切り替わるとき・・


瞬間ではあるんだけれど無時間の感覚


だから、ここで気がついた!


しっかりと気がつくんだ。



たぶん毎晩のように・・


体外離脱している事に気がついた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




カラクリは、こうだ。


ベットに入って眠りについた僕は、少しすると思い出す。


また、あそこまでいける!

やった、やった、わーい。


なぜか、このタイミングでしか思い出せない。

毎晩の事なのに・・

さっきまで夜更しをしていた僕は、大馬鹿者だ!


あったかい、わくわく感に包み込まれながら・・とでも表現すれば良いのか?

分からないけど、とにかくめちゃくちゃ嬉しくなる。



窓際の二段ベットの上段から、ポンと、前にとびだす。


家の外に出る。僕と弟の部屋は2階。


もちろん、そこは、空中だ。


今日も普通に体外離脱成功!


当時の僕は、変身して空を飛んでいくイメージ!



すぐ下には、僕んちの庭の風景が、ありありと見えている。

だから、すぐに、これが、ただの夢では無いと分かる。


今思えば、これが、この世である保証はどこにもなかった。



何故か下にだけは向かえない。

いや、向かおうと思えば、可能だったのかも知れないが・・



上に、在るんだ。


それは、すっごく上にあるんだ。



だからいつも上昇する。


ワクワクして上がってく。


はやく、会いたくてスピードが上がってく・・




地球のある銀河すら見えなくなって、少ししてそれは現れる。




信じられないくらいにギラギラとした広大な宇宙空間の中で・・



胸が痛むほど、申し訳の無いくらい、小さな一点にそれは存在していた。



魂の時間はこれからだ





つづく・・



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?