タイプ6の囚われの『不安』について解説
タイプ6の囚われである「不安」とは何か?どのようにして生じるか?
防衛機制「投影」
タイプ6の「不安」は防衛機制の「投影」と関連している。
※ 投影…… 自分の中で発生しているものが「外にある」と思い込んでしまうこと。
タイプ6は自分の「不安」を他人に「投影」するのが囚われ。
どういう事かというと、タイプ6は自分が「怖い」と感じるのではなく、「外で何か怖いことが起きそう(この人は危険だ、これをやるのは危険だ など)」になる。外の何かが「危険(ヤバい、怪しい など)」と見えることによって、あらゆる悪い可能性が浮かんでくる。
自分が「不安だ」と感じるのではなく、他人や出来事が「危険」に思える。自分が「疑う」のではく、他人が「怪しい」ように見える。
↑これが「投影」。
タイプ6が客観的視点から物事を見る(自分視点ではなく、他人の受け取り方視点で語る)のも、この「投影」という思考回路に関連すると考えられる。外から見てどうか、というのがタイプ6の認識である。
投影の具体例
意識:「あの人は私を裏切った。」→ あの人は私を騙した。人を騙すような人なんだ。そして騙される私がバカだと知らしめようとしているんだ。……(ネガティブな想像が広がる)
無意識:「私はあの人に嫌われることをして見捨てられたのかもしれない。それが分からなかった自分はバカなのかもしれない。」
意識:「あの人は遠回しな態度で私がおかしいと言っている。」→ 自分を良く見せるために私に悪意を向けていることが他の人に気付かれないように隠しているなんて、性格の悪い人だ。外面だけ良い顔をして、周りは皆あの人に騙されている。……(ネガティブな想像が広がる)
無意識:「私はおかしい事をしたかもしれない。非難されているのかもしれない。」
無意識にある「もしも…」が、意識には「〜に違いない」という断定の形として現れる。
意識上では「〜に違いない」と確信を持ちながら、自分を信じるのに抵抗があり、本当かどうか確かめたい。→ これには無意識の「もしも…」が現れている。
投影は不安を引き起こすものだけでなく、コミュニケーションの際には常に行われているというのがタイプ6。
例えばこの文章はタイプ6っぽい。
この表現をするのはタイプ6っぽい。
相手から受け取った情報は “表情” であるが、そこに「この人は自分の国で学校に行けなかったんだ」というメッセージが付け足されて知覚される。この文章を組み立てているのは受け取る側の脳内であるが、受け取る側はその文章を「自分で考えている」という事に無自覚であり、あたかも相手が自分にそのメッセージを与えたかのように思える。
タイプ6はこのようにして、常に他者からのメッセージを受け取り、拠り所にしているのだ。
他の例を挙げると、動物の動画に人間が言葉を付け足した動画もそれっぽい。動物は人間の言語を話せないが、人間が「解釈」することにより動物の発するメッセージを人間に理解しやすい形で伝えている。
これをタイプ6の「不安」に関連付けると、「動物は何を言っているか分からなくて怖い(不安)」に陥らないようにするために、動物からのメッセージを理解することによって「この動物は〇〇と言っているのだから△△しておけば大丈夫だ(ペットが「ご飯食べたい」と言っているので餌を与えないと 等)」になる。
「教えてほしい」より「何を伝えようとしているか全部解釈したい」に近い。
「拠り所」というと「誰かの意見を鵜呑みにする」という解釈がされがちだけど、鵜呑みにするというのはどちらかといえばタイプ9の「他人との一体化」に近い。タイプ6が人を頼りにするというのは、他人から受け取るメッセージを自分の頭で補充することによって漏れが無いようにするというのが近い。ヘッドセンターであるので、常に思考が働き、自分の頭での解釈がされる。
二面性
「良いことが起きる」と感じた時に、万能感を感じ、近付く。(ベクトル外・タイプ7の方向へと寄る)
「悪いことが起きる」と感じた時に、無力感を感じ、遠ざかる。(ベクトル内・タイプ5の方向へと寄る)
タイプ6は良いことが起きるのか悪いことが起きるのかの確信がつかないまま、近付いたり離れたり、信じたり不信になったり、自信に満ちていたり怖がったりする。
「〇〇な事態を引き起こしそう」という “おそれ” が思い浮かんだとする。そうするとタイプ6は、その事態を起こす原因が外にある前提で考えを進める。行動にストップがかかり、頭の中で色々な事態を想定することで備える。
その反面、「そんなに悪い事は起きないかもしれない」という安心感や「今動かないと」という焦燥感もある。そうした時、近付くことで安心しようとする。しかし近付くほど不安になる。
この「良い結果」と「悪い結果」の両方の間で “揺れ動いている” のがタイプ6だ。
「望む結果を得たい(7)が、傷つきたくない(5)」「攻撃されない場所で(5)、自由でありたい(7)」
→これが根源的欲求である「安全でありたい」になる。
「忠実」と「反抗」
リソによると、ヘッドセンターのタイプは『行動の三つ組』と呼ばれる。
タイプ5:行動する能力がもっとも発達していないタイプ →行動に移さず頭の中に溜め込む
タイプ7:行動する能力が過度に発達したタイプ →欲しい物を得るために行動に移す
タイプ6:行動する能力から離れているタイプ →外の意見により行動選択をする
安全を得る手段として、タイプ5は行動を控え戦略を立てることに専念し(防御)、タイプ7は上手い所を取りながら次々と行動を変え(逃避)、タイプ6は「こうしておけば大丈夫」というガイドラインを見つけようとする。
ガイドラインを見失ってしまうことが「支えや導きを失う恐れ」に該当する。
恐れに直面しないように、何かしらのメッセージを外から得ようとする。その結果、「投影」が起きる。
「この人は影響をもたらす」と思った人を気にし、その人の意図を推測した上で確認を取り、そこから外れないようにすることによって安全を確保する。
これはタイプ6が受け取ったメッセージである「期待されることをすれば大丈夫だ」に該当する。
しかしこれには落とし穴がある。
タイプ6は自分の頭の中に浮かんだ考えを他人からのメッセージとして見なしてしまう。頭の中に浮かんだ「これは〇〇ということだ」「〇〇と伝えようとしている」という解釈は、他人に確認を取る行為を通じて、他人の意見になるのだ。他人の提供する少しの情報と自分の頭の中で広がる考えが一つになり、他人が実際に思っていない事まで想像でワンセットになってしまう。
これは「投影」が起きた結果だ。タイプ6がよく陥りがちなものとして、他人の顔色をうかがう。他人のことで頭がいっぱいになる。人間観察が得意だが、自分の観察が自分の意見である事には気付かない。他人の意図には敏感だが、自分の意図には気付かない。
タイプ6は、外に存在するものの本質を「見抜く」という観点を持つ。この人を信頼して大丈夫なのか、この情報は安全性が確保されているのか、権威に従えば守られるのか……などを見抜こうとする。そして恐れが表面化した場合にどう対処しようか頭の中で準備する。
不安と入り混じった思考だというのがポイント。安全を感じると忠実になり、危険を感じると不信・反抗的になる。
「自分は正解に辿り着けたかどうか」を他人と照らし合わせる事により安全や不安を感じるのと同時に、他人が信頼できる人になったり信頼できない人になったりする。常に他人の反応を先取りして予測し、現実と照らし合わせることで安心したり混乱したりする。
「信頼できる」→ 理解しやすい。ガイドラインが掴みやすく、それに沿って考えていれば正確に予測でき、安全でいられる。
「信頼できない」→ 理解しにくい。予測困難である。複雑で混乱を引き起こす。ガイドラインを読み解けないのだから、当てにならない。
恐怖対向
「信頼できない」と感じた時に、信頼できる指針を見つけるために、様々な方向から働きかけて反応を見るのが “恐怖対向”。ガイドラインに足りない部分があったら不安だから、その部分をハッキリとさせるために「知りたい」「明確にさせなければ」という欲求に突き動かされる。
具体的には試し行為などがそう。普段とは違う行動を取り、反応を見ることにより「もし私がこうしたら、こうなる」というのを学習する。「もし私がいなくなったら呼び戻してくれるか(支えが失われないか)」の答えを知るために別れを警告したり、「私が極端な行動をしたら止めてくれるか(導きを与えてくれるか)」の答えを知るために攻撃的な行動を一人では止められない人のように振る舞うなど。側にいてほしいと感じた時に別れを切り出したり、守ってほしいと感じた時に危機感を味わせたりなど、あえて本心とは反対の事を意図していると伝える事により相手に自分を止めさせる。見捨てられるのを恐れ、他人が見捨てるであろう自分の最も極端な状態を見せることにより、拠り所が安定しているかどうかを確認する。
タイプ6は何より自分を信じることを恐れているので、自分のしようとしている事が間違いだと教えられることで安心感を得る。大丈夫だと言われると「大丈夫なはずないでしょ」と疑い始める。安全な状況は不安を引き起こし、自ら現状を崩すことにより安全でないことを証明する。
これには統合先がタイプ9であることにも関連する。(現状は安定していて、これからも安定しているという安心感を持つことが課題)
根源
「答えを “知りたい”、真実を “知りたい”、方法を “知りたい”」
『知・情・意』でいうところの『知』に該当するタイプ。(ヘッドセンターは「知」、ハートセンターは「情」、ガッツセンターは「意」)なので根源は「知りたい」となる。
「嘘を見破り、真相を知り、全ての成り行きを正確に予測しておきたい。そうすれば安全だ(根源)」→間違った情報に振り回されたくない、見せかけやうまい話に騙されたくない→これは正しいのかと何度も疑う→「これなら大丈夫か」と仮定する→支えになるものを持つ→支えは仮置きとしてなので不安定→異なる意見を排除することで支えが崩れないように支持する→ある信念やカテゴリや権威に「忠実な人」に見える
ありがちな誤解
自認を何度も再考したり、優柔不断であること自体はタイプ6の囚われではない。
タイプ6は『不安』に囚われている。ここで言われる「不安」とは「怖いと感じる気持ち」というより「危険が潜んでいることを考慮に入れること」を指す。
タイプ6の囚われとしては、見かけ上安全なものが恐ろしい可能性を秘めていて危害を加えるかもしれないと受け取り、実際に恐ろしい結果が起きるまで確認しないと落ち着かない、といったものである。恐ろしい事に直面したくない(恐怖)けれど、恐ろしい事に直面しないと疑わしさが強まる(恐怖対向)という反対の性質を兼ねている。
「油断は禁物」という考えに囚われ、石橋を叩いても不十分な気がして渡れないというのがタイプ6の囚われの『不安』。
まとめ
囚われの『不安』:危険が潜んでいるという考えに囚われ、「隠れた危険」があることを証明しようとする→ 危険性の説得
投影:他人が何かを企んでいるように見える→ 実際には自分が不安に駆られてその人を怖がっている
「恐怖」と「恐怖対向」:危険なものの実態を掴むことで安心したいが、危険なものに直面するのは怖い
二面性:離れて観察したり(5)、近付いて試したり(7)
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