白銀のロッジで素敵な90歳のマダムに遭遇した
「私、こう見えても90歳ですから。」
とマダムが言い放つ。
辺り一面雪が積もるなかに佇むロッジのフロント。
もし救急搬送が必要になったらどうなるのかとホテルのスタッフにたずねている模様。
「あら、そういうこと今までなかったの?私、どこも悪いところはないのだけれど、一度聞いてみようと思っていたの。」
どうも常連客ではあるが、ご自分が高齢のため、元気とはいっても急に倒れることもあろうかと、緊急の場合の体制を聞いていらしたようである。
ひとしきり話した後、そのマダムはすっと椅子から立ち上がり、スタスタと廊下に歩いていかれた。
顎が前に出ることもなく、背筋は天井から糸で引っ張られているようにピシッとしていらっしゃる。
その後、再びお見掛けしたが、雪のなかにもかかわらず、靴はコンフォートパンプス。間違っても雪靴ではない・・・
コートもひときわ目立つ白いコート。といってもダウンコートではなく、Aラインのデザインコート。遠目には皮製のように見える。
メイクもバッチリ、アクセサリーも。
コートの袖口からはブラウスのひらひらがのぞいている。
90歳といえば、100歳まで10年。
それであのように姿勢もシャンとしているということは、きっと運動で鍛えていて、そのほかにも睡眠、食事、ストレスなど、あらゆる面で気をつかって生活をしているのだと思う。
人生100年時代の生き様のお手本を見た気がする。
まったく知らない女性だけど、少なくとも見た目はあのようになりたい。
何しても映えないからとオシャレに手を抜いている場合ではない。
トシだから体が硬くなるのよね、と体を丸めている場合ではない。
億劫だからと出かけるのを控えている場合ではない。
私はアラフィフで、とうの昔に体力のピークは迎えているが、じわじわと体力を維持して、90歳のときにはあの女性のように溌剌としていたい。
そして素敵なロッジの常連客になってみたい。
知らない人を勝手にロールモデルにして目標ができた。
これからますます楽しみだ。
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