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雑記、日記、エッセイなど

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小説じゃない、雑記とか日記みたいなものです。
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#創作大賞感想

怖さとおもしろさ。#創作大賞感想

怖さとおもしろさ。#創作大賞感想

怖くておもしろいものを書かせたら最高、というとても好きなnoterさんがいる。

怖いというのは、難しい感情だと思う。怖いというのは、恐怖だ。恐怖心というのは、本来は不快だ。でも、フィクションの中では怖いものとおもしろいものは共存する。怖くておもしろい。本来なら不快なはずの感情がおもしろさに転換されるのはどうしてだろう。フィクションとわかっているからだろうか。

又吉マタキチさんは、怖くておもしろ

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まずは知ることから始まる。#創作大賞感想

まずは知ることから始まる。#創作大賞感想

世の中には知らないことが多すぎる。全てを知ることは無理がある。それは仕方がないこともある。でも、知ろうとすることは大事だと思っている。何事も、まずは知ることから始まる。

たなかともこさんの「それでも諦めない。」は、PICS(集中治療後症候群)と呼ばれる症状に苦しむサバイバーと、それを支える家族、まわりの人々、医療者の現実を書いた物語だ。
PICSと言われても、何それ?という方が多いのではないだろ

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少し不思議な未来の世界 #創作大賞感想

少し不思議な未来の世界 #創作大賞感想

ショートショートが好きだ。
特に、少し不思議な未来の話が好き。

おんさんの「博士の鈍色設計図」は、まさに不思議な世界が広がっている。でも、決してあり得ないとは思えないような、妙なリアルさがある。町はずれの丘の上でひっそりと研究にいそしむ博士が作るのは、現代の人間がほしいと思うような便利なものばかり。でも、それを使うとき、人は果たして本当に幸せなのだろうか。

ひとつひとつは短いショートショートだ

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構成力とひきこまれる文体。#創作大賞感想

構成力とひきこまれる文体。#創作大賞感想

最初は、エッセイかと思った。

結城熊雄さんの「おもんない、おもんない。」
おもんない、おもんない、といろんなものがいかにおもしろくないか、がつらつらと書かれている。小説、音楽、映画。一般的におもしろいと思われているものがいかに「おもんない」のか、関西弁の軽快な文体でユーモラスに、ときに少し斜に構えた文章で書いてある。どうしてそんなに何もかも「おもんない」のだろう、と気になってくる。

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余白の中に人の息遣いが聞こえる。#創作大賞感想

余白の中に人の息遣いが聞こえる。#創作大賞感想

説明するな、描写しろ。
小説のハウツー本などで嫌というほど見る言葉。わかっているけれど、私はいつも説明してしまう。何色の何を着て、どんな髪型で、どんな意図をもって何を言うのか、私は説明してしまう。それはただの特徴の列挙であって、それではキャラクターは立たない。キャラクターをいくら説明したところで、読者にしっくりこない。登場人物が、言うこと、すること、それを描写することで、その人のキャラクターは初め

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家事が苦手な私への応援歌みたいな小説だった。#創作大賞感想

家事が苦手な私への応援歌みたいな小説だった。#創作大賞感想

家事が苦手だ。子供の頃から身の回りのことをするのが苦手で、大人になった今でも、掃除も片付けも裁縫も人並みにできない。できるのは、猫の世話だけ。一人暮らしが長かったから、なんとか料理はする。でも、うまいわけじゃない。レトルト調味料に助けられ、冷凍食品に支えられ、何を出しても「おいしい」と言ってくれる夫に救われているだけだ。洗濯は唯一嫌いじゃない家事だけれど、得意なわけじゃない。アイロンなんかすれば余

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