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指導者の価値向上を目指す”日本サッカー指導者協会”ってどんな団体? YFFFとのコラボについても聞いてみた

10月9日(土)〜15日(金)に開催するヨコハマ・フットボール映画祭2021は、初の試みとしてサッカー指導者向けの講習会を開催予定です。この講習会は、サッカー指導者の資質や社会的地位の向上などを目的に作られたNPO法人 日本サッカー指導者協会(Japan Football Coaches’ Association / 以下:JFCA)のご協力により実現しました。


ヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジン、第17回となる今回は、JFCAにおいてセミナーダイレクターを務め、今回の講習会を開催するにあたってのキーマンでもある藤原明夫さんにインタビューを敢行!JFCAについてや、YFFFとのコラボレーションについてなどを語っていただきました!
(2021年6月25日 東京都内にて取材)

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指導者講習会だけではない!JFCAの活動とは?

ーーJFCAとはどのような活動を行なっている団体なのですか?

藤原 主に日本サッカー協会(以下:JFA)と連携して、彼らがカバーしきれない幅広い内容の講習会を行っています。またその他では、海外との繋がりを作ったり、指導者の紹介、保険や法務など指導者が抱える困りごとの相談を受けたりしています。

講習会に関しては、これまでは全国各地の必要な地域に足を運んで実施していましたが、新型コロナの流行もあり昨年の6月からはオンラインで月2回講習会を実施しています。

ーー講習会ですが、私も先日オンラインで行った際の模様を拝見させていただきました。講師の方の話を聞くだけではなく、参加者から意見や質問をどんどん引き出していてとても活発な会だなという印象を受けました。

藤原 JFCAの講習会は、参加者からの質問を気軽に受けながらそれに対して講師の方も一緒に考えるものが多いですね。今は子どもたちが主体性や自主性を持ち、のびのびとサッカーができる環境をどう作っていくのかということに主眼を置いて展開しています。

ーーオンライン講習会には毎回どれくらいの参加者がいるのですか?

藤原 JFAが主導で行っている講習会は一度に450人くらいが参加していますが、JFCAが担当しているものは50人定員を目処に開催しています。このくらいの人数であれば双方向でコミュニケーションが取れて良いかなと思います。

JFCAで行う講習会も、今後はたくさんの人に来てもらってJFCAの活動そのものを知ってもらうためのものと、現在行っている講習会のように少人数で内容が濃いものと二つに分けてやっていこうかなとは考えていますね。

ーーなるほど。コロナの影響でスタートしたオンライン講習会ですが、実際にリアルでの開催との違いや、逆にオンラインにして良かったと思う部分はありますか?

藤原 リアルで開催する方が臨場感がありますし、繋がりもたくさん生まれることがすごく良いです。ただオンライン講習会を始めたことによって、日本全国からだけでなく、海外からも参加できるようになったという良い面があります。それに伴い海外にいる指導者の方にも講師を依頼できるようになりました。

ーーちなみに海外にいらっしゃる方はどれくらいの割合で講師を務められているのですか?

藤原 今まで実施した26回のオンライン講習会のうち5回ですね。スペイン、オランダ、ドイツ、メキシコ、アメリカにいる指導者の方に講師をしてもらいました。

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オンライン講習会の様子(JFCA提供)

FIFAの通達で誕生!?JFCA誕生の経緯と活動をする中での苦労

ーーJFCAはどのような経緯があって誕生したのでしょうか?

藤原 以前にも現在のJFCAと似た団体が存在したのですが、その団体が担っていた役割がJFAに吸収されたということがありました。以降、講習会など指導者に関する業務は全てJFAが行っていましたが、FIFAから「指導者や審判たちの組合がない日本の体制は間違っている」という通達があり、2015年に誕生しました。

ーー誕生から6年が経ち、オンライン講習会のように思わぬ収穫など良かったこともあった一方、活動を行う中で苦労されたこともあったかと思います。活動において一番苦労されたことについて聞かせてください。

藤原 JFAの加盟団体になるまでに時間がかかったことですかね。JFAで育成担当技術委員長をしていた山口隆文さん(現:JFAアカデミー福島 女子統括ダイレクター・チーフコーチ)や、今JFAの副会長を務めている林義規先生が色々な人たちを集めてJFAとのコンタクトを取ってくれたことに加え、現在のJFCA事務局長である石川慎之助さん(つくばFC代表)たちも様々な方面で努力しました。そのおかげで、設立から4年後の2019年に晴れてJFAの加盟団体になることができました。

藤原さんのJFCAでの役割は?

ーー藤原さんはJFCAの中でセミナーダイレクターを務められているとのことですが、セミナーダイレクターとはどのような役割ですか?

藤原 JFCAで開催する指導者講習会やセミナーを企画する役割です。自分で講師をやることもありますが、基本的には多方面の方に講師になってもらい、みんなで勉強するというプラットフォームを作っています。

ーーどんなきっかけがあり、藤原さんはJFCAに参加することになったのでしょうか?

藤原 先ほども名前が出た山口さんから、JFCA設立に向けたワーキンググループへの召集を受けたことがきっかけです。それから何年か時間をかけて設立に向けた準備をしていきました。

ーー藤原さんは千葉県の高校の先生をされていたとのことですが、その中でサッカーとの関わりはどのようにあったのでしょうか?

藤原 2年前に定年退職するまでサッカー部の顧問を30年間務め、同時に千葉県サッカー協会でユースダイレクターや技術担当理事、技術委員長を約10年ずつ、そして高体連専門部の委員長も10年やりました。また強化の方では、国体少年の部の千葉代表の強化部長を務めさせていただきました。

ーー定年退職されたのが2年前ということは、教員や県協会の仕事をしながら、JFCAのお仕事もされていたということですか?

藤原 そうですね。教員をやりながら講習会を年に4回くらいやっていました。

ーーJFCA以外のお仕事は、定年退職後はどのようなものをされているのですか?

藤原 定年後は、サッカー協会に関する仕事はC級コーチライセンスのインストラクターのみにしました。今はJFCAのセミナーダイレクター以外には、JFA夢フィールドのラボ担当、大学の非常勤講師、つくばFC(関東1部)のクラブアドバイザーを務めており、つくばFCではU-6、U-9、Jr.ユースの選手を指導する楽しい日々を送っています。

戸隠合宿

教員時代、夏合宿にて教え子であるサッカー部の選手たちと(本人提供)

YFFFとのコラボはなぜ生まれたのか?

ーーJFCAさんとYFFFのコラボレーションは、藤原さんから声をかけていただいたことから動き始めました。今回、YFFFにお声がけいただいたきっかけは何だったのでしょうか?

藤原 僕自身、これまで映画や舞台からもスポーツの素晴らしさをたくさん感じ取ってきたからです。特にそれを感じたのは『コッホ先生と僕らの革命』(’12)でした。この作品が公開された際、僕はすぐに有楽町の映画館に見に行き「これだ!」と感じるものがあり、DVDが発売された際はすぐに購入して、高校の授業で使うようになりました。

ーー高校の授業というのは保健体育の授業でということですか?



藤原 そうですね。生徒たちは最初は乗り気ではないですけれども、見始めたらみんな夢中になります。ここからスポーツの話をするにあたっては、これが導入としてすごく良く、最終的にはみんなが文化という面を考える姿勢になります。

サッカー界の中でもこうした映画を見ながら文化を知っていくことや、色々なことを広めていくことはとても大事なことです。本当にこれは感性を広げていくものだと思っています。

ーー今まで指導者をテーマにした作品の上映ありましたが、本格的に指導者に向けてたイベントは今回が初めてです。なのでこれをきっかけに、私たちも継続的してJFCAさんと一緒に活動できればと思っています。

藤原 是非よろしくお願いします。やはり映像の文化から学ぶことはたくさんあると思うので、皆さんがそういうことに興味を持ってもらうことはすごく大事なことだと思います。映画祭当日は他の作品もたくさん見れればと思いますので、楽しみにしております。

ーー最後にJFCAを藤原さんの中でどういう組織にしていきたいということや、JFCAとしてどういう組織を目指していくのかということがあれば教えてください。

藤原 みんなが本当にサッカーを楽しめる環境、子どもたちがすくすくと伸びていく環境、それを摘み取ってしまうのではなくてそういう指導ができる環境を作っていくことが大事だと思います。それを実現するには、コーチたちも安心安全で、何より子どもたちも安心安全であるということが重要です。


そのためにはどうしたら良いかということを考えていきながら、コーチングの部分も、環境の部分もJFAと一緒に作っていけたらなと思います。

ジョイアバルシューレ

様々な人たちと一緒に楽しみながら指導する藤原さん(本人提供)


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「映画祭とJFCAで何かできないかな?」

私の元に藤原さんからこのような相談があり、そこから指導者講習会のプロジェクトがスタートしました。それからYFFF2021の準備と並行して藤原さんとディスカッションを重ね、昨年の11月に講習会の開催が決まりました。

皆さんもご存知かと思いますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もありYFFF2021は当初予定していた1月から延期となってしまい、同時に指導者講習会も仕切り直しとなりました。そんな中、今回のインタビューで藤原さんの熱い想いを聞き、イベントの成功に向けて改めて背筋が伸びる思いになりました。10月の開催に向け、藤原さんをはじめJFCAの皆さん協力しながら、参加者の皆さんにとって実りある会にできるように準備を進めて参ります!

講習会だけではなく、その他のイベントも1月に予定していたものよりパワーアップしたものにできるようYFFFスタッフ一同燃えております。皆さんお誘い合わせの上、10月9日、10日は是非ともかなっくホールにお越しください!

そしてJFCAでは、毎月第1・第3金曜日を中心にオンライン講習会を実施しています。今回の記事を読んで「講習会に参加してみたい!」と思った方は、是非ともJFCAのホームページをご覧ください!
http://www.jfca.jp.net/

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