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PC厭人──2024年1月14日

・日曜日の憂鬱と定期的な希死念慮とお酒による頭痛で日記を書けるモードではないので、たぶん日本語めちゃくちゃです。


・唐辺葉介『つめたいオゾン』を読んだ。氏の作品は、別名義の瀬戸口廉也としての作品も含めて4作品目だけど、いちばん救いのあるお話だった。

・プロ棋士を目指す少年と、度重なる不幸に心を喪った少女の視点から、互いの意識が同一化していく奇病『アンナ・メアリー症候群』に蝕まれていく様を描く。

・意識も感情も記憶も他人と同調するというのは、不幸のようで一種の幸福でもあるかもしれない。

・人は誰しも欠落を抱えている。性格や倫理観の欠落もあれば、家族や友人や恋人がいないという関係性の欠落もある。

・それを他人の記憶や性格で互いに補うことで、あたかも複数のレイヤーを重ね合わせてひとつの美麗なイラストになるように、より理想的な人間へと生まれ変われるかもしれない。

・また、それが拡張して、全世界の人間がひとつの意識に統合されるというのも理想の世界の形のように感じる。

・他人がいるから悲しみや寂しさを覚えるし、疑心や争いが生まれる。"他人"という概念そのものが喪失すれば、誰もツライ思いのしない本当の平和が訪れる。本作で『アンナ・メアリー症候群』の患者がみなニコニコ笑顔で暮らしているのも、彼らの中に不可侵の安寧がもたらされているからなのだろう。

・これ、まるっきり碇ゲンドウの思想だな。

・先日読んだ『おかえりアリス』といい、他者との融和をテーマにした作品に魅力を感じるようになってしまった。最近SNSやプライベートでの人付き合いに一喜一憂しすぎて、疲れているのかも知れない。元来、厭人癖のきらいはあるけど、それが悪化している気さえする。

・勘違いされたくないんだけど、誰かと話したり遊んだりするのは大好き。ただその過程で相手の顔色をうかがってしまったり、帰り道に脳内反省会をしたりしてしまうことに、もう疲れているのだ。


・『傷物語』総集編、完璧だった。

・三部作から枝葉をごっそり切り落として、阿良々木暦の狂的な"やさしさ"と、吸血鬼になることの悲劇にスポットを当てていて、これが見事だった。冒頭でも表示されたように本作は本来vampire tragédie histoireだから、この構成が理想なのだろう。

・正直、物語シリーズのギャグやエロはちょっと肌に合わなくて、それが強まったきらいのある『偽物語』以降は途中で断念してしまったのだけど、この総集編はまさにそういった「ん?」となる部分が取り除かれていたから、とても好みだった。自分の好きな物語シリーズが帰ってきたような気さえした。

・2016年の時点でこれを出していたら、評価もまた違ったんじゃないかな……。こんなこと言っても詮無いけど。


・絵コンテ集は案の定売り切れだったけどパンフレットは買ったので明日読む。

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