生後25年日記 22日目「どうしようもなく今を生きてる」

・「エモい」という言葉がある。

・この言葉をやり玉にあげて、若者の語彙力不足を嘆く声もある

・しかし僕は違う意見で、「エモい」という言葉は、若者の感受性が豊かになった結果として生まれた表現だと思っている。

・"悲しい"わけではない。"嬉しい"とも違う。"楽しい"もピンとこない。"寂しい"だと湿っぽくすぎる。でもそれら全てがごちゃまぜになったような複雑な感情は、辞書にある言葉では表現しきれない。

・現行の単語では表現できないなら、新しい言葉を作ってしまえばいい。

・とすれば、人間の心が捉えうる全ての感情がいっぺんに湧き上がったようなこの衝動的な感覚は、「emotion」という"感情そのもの"を表す上位概念を用いることでしか、包み込むことができないのではないか。

・かくして、「エモい」という表現は誕生したのだと思う。

・そういう意味で、無観客で行われた「にじさんじ Shout in the Rainbow! In Zepp Namba」はまさに"エモ"の塊だった。

・樋口楓、月ノ美兎、静凛、森中花咲、鈴鹿詩子、モイラ。6人がそれぞれの特色を活かし、湧き上がる感情を歌声と踊りとコールアンドレスポンスに込める。視聴者もこれに呼応して自らの熱い感情と応援の気持ちをコメントにぶつける。

・まるでサイリウムのように、コメントの色は演者に応じて変化する。樋口楓のオレンジ、月ノ美兎のレッドカラー、静凛のパープル、森中花咲のグリーン、鈴鹿詩子のピンク、モイラのライトブルー。6色ながらその鮮やかな輝きは"虹色"と呼ぶにふさわしかった。

・にじさんじは初期にJK組を、最近は御伽原江良と森中花咲を追いかけているぐらいで、熱心なファンというわけではなかった(他の演者は切り抜き動画を1,2本見るぐらい)。彼女らのオリジナル曲もあまり聴いたことはなく、今回のライブで初めて聴くという歌も多かった。

・そんな僕でも約2時間半夢中でのめり込んでしまうぐらい、素晴らしいライブだった。何より、演者の6人が本当に楽しそうに歌ったり踊ったりしている姿に、圧倒的なエモを感じて泣いてしまった。

・ネット上で人前に存在を晒す以上、皆が皆、果てしない不安や挫折や絶望を味わってきたと思う。それでも決して諦めることなく、努力を続けてきた。「ぎこちなく震えた声を一つ一つ積み重ねて」きた、その到達点のひとつがこのライブなのだと思うと、"みんなよく頑張ったね"と謎の親心めいた何かが生まれて涙が出てくる。

・モニターを通して、演者と視聴者は確かにひとつの糸に繋がれていた。演者は視聴者に「ありがとう」と言ってくれたが、僕ら視聴者も、彼ら彼女らがこうして大変な時期にも関わらず、笑いや感動や興奮を届けてくれることに、「ありがとう」という思いでいっぱいだった。

・「存在」こそ最大のファンサービスとはよく言ったもので、確かに"そこ"にいてくれるというだけで、ファンにとってはいちばんの喜びなのだ。生きていてくれてありがとう。笑顔でいてくれてありがとう。

・エモいという感情の本質は"感謝"なのかもしれないな


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・ハマーもG子のライブで「エモさ」を感じていたのだろうか

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