comment te dire adieu―2023年3月2日
【本日の偏見】
誰も使っていない複数並んだ小便器。
入り口から奥側を使う人は、優しい人。
手前側を使う人は自己中心的。
真ん中を使う人はサイコパス。
私が20代前半の時にハマったゲーム『さよならを教えて』が発売から22周年らしい。
昨日の日記で世紀末への羨望を語ったが、カルト的な人気を誇る本作は、まさに世紀末の混迷と退廃、アンダーグラウンドな雰囲気を落とし込んだ名作だと思っている。
よくラストのどんでん返しだけが取り沙汰されるが、教育実習生の主人公が夕暮れの校舎で徐々に正気を失っていく描写だったり、奇抜な狂気的演出(※)など、ラストに至るまでの過程も魅力に溢れている。しかも主人公の一人称視点で話が進むから、狂った人間がどのように考え、感じ、行動するのかを追体験できるという点でも、貴重な一作といえる。
個人的に好きなシーンは、やはりマリオのシーンだ(ファンならこの言い方で必ずピンとくる)。主人公が懇意にしている保険医・大森となえが、夕暮れの保健室にて、スーパーマリオがいかに狂った物語であるかを語る。
マリオは、"キノコ"を食べたら身体が大きくなり、"花"を取ったら火が吹ける。キノコは幻覚キノコ、花は大麻における最もキく部分。それらによる体躯の肥大や超能力はすべてマリオの妄想であり、だからこそ目の前に居るものが全て"敵"に見えるのだと。
そしてマリオの目的は囚われた姫を助けること。だがジャンキーの言うことは信じられない。本当に囚われた姫なんているのだろうか、と保険医は語る。
実はこんな与太話をするのにはワケがある。主人公はある理由から、一人の女生徒を自らの"天使様"と思い込み、異形の怪物に囚われている彼女を救わなければ、という執念に駆られているのだ。
だから保険医は遠回しにそれが妄想であることを伝えようと、この話をしたというわけだ。
主人公も一考の末、その意図に思い至る。だが彼は瞬間、気付く。
そして主人公は保険医に襲いかかる。しばらくして我に返り、保健室から逃げ去る彼の背後から、保険医のゲラゲラ笑う声が聞こえてくる……。
このシーンに、本作の構成のうまさと、奇抜な発想力、そして登場人物のキャラクター性がすべて詰まっている気がして、何回もリピートして見ていた。
他にも印象に残るシーンが山ほどあるので、そういう過激な作品に耐性がある人はプレイしてほしいなと思う。パッケージ版はAmazonで93,000円ととんでもないプレミア価格になってるが、お手頃なダウンロード版もあるので……。
18禁ゲームなので性行為のシーンがあったり、グロテスクな描写もあるが、それを補って余りあるストーリーの面白さをぜひ体感してほしいです。22執念、おめでとうございます。
今日の仕事で感じたことを歌にしました。聞いてください。
おあとがよろしいようで。
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