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2020.10.14 FC町田ゼルビア vs 京都サンガ

出し切りましたね。前節の反省を踏まえて積極的な試合運びで相手を圧倒していたと思います。ですが、90分ずっと走り続ける体力がこの連戦の中のどこに余っていたのか、どれだけアドレナリンが出ていたのかと冷静になって考えると、次の試合で全然走れなくなるのではないかと心配になってしまいます。

いや、スラムダンクの読みすぎですかね。こんな心配が杞憂に終わればいいのですが。

それでは試合内容に入っていきます。

スタメン

スタメン

町田
4-4-2
前節から3人変更
平均身長(GK除く):176.1cm
京都
3-1-4-2(3-3-2-2)
前節から4人変更
平均身長(GK除く):177.1cm

前節の反省を踏まえた前半

前節は「眠っていた」前半で2失点し、後半に追いついて同点に終わるという自作自演と言ってもいいような試合でした。

この前節の反省を踏まえ、前半から飛ばしまっくったゼルビア。この試合では前節は出場停止だった安藤がプレスのスイッチ役となり、前から積極的にボールを追ってなるべく高い位置で奪うということがチームとして共有されていました。

京都が3バックとアンカーの庄司の4人でビルドアップを進める中で、アンカーの庄司を平戸が徹底的にマークし、そこにパスを入れさせない、中央を突破させないという強い意志を感じました。

これには前節と平戸の守備の時の役割が変わったということも関係しています。前節はツートップの相方がステファンだったこともあり、平戸がプレスのスイッチ役になっていました。ですが今節の相方は安藤だったため、スイッチ役が安藤になり平戸自身は安藤と連動して庄司へのパスコースを消すといういつも通りの役割を担っていました。

庄司

ゼルビアがなかなか庄司にボールを触らせなかったこともあり、ボールに触りながら自分のリズムを作っていくタイプの庄司は、ツートップの前、すなわち3バックと同じ位置まで降りてきてボールを受けようとします。これがゼルビアには好都合で、3バック+庄司にゼルビアはツートップと両SHをぶつけて同数の状況を作れば、高い位置でボールを奪える確率が上がります。そしてIHやFWへのパスコースが限定できるため、CHの2人や最終ラインの選手たちがパスカットしやすくなるというメリットもありました。

実際に1点目の起点となったスローインまで持って行けたのは、カイナのパスカットからでした。そして酒井が高い位置まで上がってきて攻撃参加、クロスを上げて庄司のオウンゴールを誘いました。酒井にパスを出した後に中央でパスを受けようと動き出した平戸の動きがこのシーンだと効果的で、個の動きにつられた庄司がクロスに反応してしまいオウンゴールとなったので、ナイスランだったと思います。(謎のアピール)


そして得点後も引かずに攻めていくゼルビアですが、この試合では京都の形に合わせた人の配置を行っていました。

いつもならボールを持たされる展開が続くため、髙江が最終ラインに落ちてビルドアップに関わりますが、この試合だと京都のツートップが試合開始早々にプレスに来るのをやめた(李は行きたそうだったが、ウタカが連動しないのでやめたという前節のゼルビアと同じ状況)ので、簡単に第一プレッシャーラインを突破でき、髙江がわざわざ最終ラインに落ちる必要が無くなり、両CHが高い位置、FWの背後でプレーでき、髙江はこの試合だとIHの背後にポジション取りするシーンが多かったです。

いつもなら髙江がカウンターに備えて両CBと3人で自陣に残ることが多いですが、この試合ではボールサイドとは逆のSB、もしくは海舟が残ることが多かったです。

海舟と髙江の両CHが高い位置を取った時はシュートまで行けることが多く、相手のパスを引っ掛けたり、人数かけてボールを奪ってから2次攻撃3次攻撃に繋げられていたというのも普段の試合と異なる点でした。

もちろん、京都がアンカーを採用していてそのアンカーの両脇を突くという狙いもあったと思いますが、両CHが積極的に攻め上がってシュートまで持っていくシーンが多かったのは相手を敵陣に押し込み、ツートップを孤立させる狙いを遂行する上でベストな作戦だったと思います。


そして前節からの改善点を上げる上で欠かせないのが、最終ラインのラインコントロールです。京都のFWのピーターウタカはリーグの得点ランキングを快走するFWで、得点パターンも豊富です。そのため裏抜けにも警戒が必要で、ラインコントロールは必須です。

前節の反省も踏まえて、深津-水本はコミュニケーションを取りながらラインをしっかりコントロールしていました。監督からのラインについての声も中継で聞こえていたので、この問題についてはチームで共有されていたのでしょう。

ですが素直に褒められないのが、京都のツートップが駆け引きをほぼ行っていなかったため、今後も本当にラインコントロールが上手くいくのかという懸念があるからです。前節の金沢のツートップはCBとの駆け引きをずっと行っていましたが、京都のツートップはゴールを背に向けたプレーが多く、前向きでボールに触るというシーンが少なかったので、次節以降どうなるのか気になるところです。


スカウティング通りに点を取った後半

ハーフタイムに庄司と金久保を下げてビルドアップのところの改善を図ろうとしてきた京都。しかしそんな京都の出鼻をくじくようにゼルビアに追加点が入ります。

このシュート、一見するとGKのパスミスに見えますが、実はスカウティング通りのパスカットだったと思います。その根拠としては、髙江がリスクを冒してIHの谷内田の前にGKがボールを持った瞬間に入ってパスカットを狙えるポジションにいるからというのと、同じようにGKから谷内田へのパスが得点後の55分にも見られた=再現性のあるプレーのため、スカウティングでチームで共有していたのではないかということです。

2点目

髙江が直接シュートを狙うところまでがチームの狙いではなかったと思いますが、髙江のロングパスの精度が高いことを証明するような、ゴールへパスするような得点でした。

そして両チーム選手交代などを行いながらも膠着状態、いや京都の時間が続き、最終ラインのバイスが最前線まで上がってきたり、黒木のシュートがクロスバーに当たるなど我慢の時間が続いていました。

そんな中、GKを含めた京都のビルドアップのパスを狙っていた髙江がパスカット(ここのマソビッチの誘導が素晴らしかったのも強調しておきたい)、そして最終ラインは3vs3の状況、全員が裏を狙う動きを見せる中、髙江が選んだのはファーの平戸。ナイストラップからのナイスシュートで3点目。試合を決定づけました。

これも相手のパスをカットしてからの単なるカウンターですが、これは再現性のある動きから生まれた1つのチャンスに過ぎず、カウンターではここを走りなさい!とチームで決め事がありました。

その再現性のある動きというのは、プレスから高い位置でボールを奪ったら、前線の選手は相手3バックの間のスペースを走れ、パスの出し手はそこを狙えということです。

京都は大外のエリアの攻撃をWBに全振りしており、高い位置を取るため、それに従って最終ラインの3人は結構幅広くポジションを取ります。距離が空いているので、それぞれの間には広いスペースがあり、中央には実質1人=バイスしかいないのです。

そのためゼルビアにビルドアップの段階でボールを奪われると3バックの両脇が中央を固めるために中央に戻ろうとしますが、距離があるので時間がかかります。ゼルビアの狙いとしては、その隙にそこのスペースへ走り込んでカウンターを完結させてしまおうということなのです。

京都としてはIHの手前、アンカーの両脇でボールを奪われることが多かったので、ゼルビアのパスの出し手となる選手を早い段階で潰せればよかったのですが、このゼルビアのカウンターの形を把握し、それに対しての対策を講じることが試合を通してできなかったため、この3点目のように何もできずに失点してしまったのではないかと思います。


こんなに上手くスカウティング通りに行く試合は少ないと思いますが、1カ月ぶりの勝利となれば、試合後コメントでポポヴィッチ監督監督が饒舌になるのもわかる気がしますし、コーチ陣の分析を褒めるのもわかる気がしますね。


試合結果

町田 3-0 京都
得点者:4' オウンゴール
    48' 髙江 麗央
    90' 平戸 太貴


さいごに

やっぱり勝利は良いものですね。勝った試合だと書きやすいですし。

本文では、スカウティングを褒めまくっていますが、やはりプレーするのは選手ですから、このスカウティングに答えた選手たちは素晴らしいですね。どんだけ走るんだっていう感じですよね。さすがに誇張しすぎだと思いますけど、このダブルボランチならダブルヘッダーもいけると言っちゃうのはよほど信頼しているのでしょうね。

それでは今節はこんなところで失礼します。

今節もお読みいただきありがとうございました。

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