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【レビュー】2020.08.09 FC町田ゼルビア vs ジェフユナイテッド千葉

「リアクション」はまあまあできるけど「アクション」は全くできないというのを、J2全チームに知らしめた試合だったなというのがこの試合を観た最初の感想です。

負けているのにずっと最終ラインでボールを回し続け、前線にはボールを供給することができず、枠内に飛んだシュートはほぼなし。観ている側にとってもフラストレーションが溜まる試合だったのではないでしょうか。

しかしこの負け方は必然であったと思います。

現状、ゼルビアはセットプレー以外には再現性のあるチャンスシーンは作れていません。というわけで前からプレスに来ないジェフ相手に先制されれば終わりに近いことは、試合前から予想することは難しくありませんでした。

ではなぜゼルビアは何もできなかったのか。そして負けの中に見える一筋の光について書いていければと思います。

スタメン

スタメン

ゼルビア
4-4-2
安藤→中島のみ変更
平均身長(GK除く):176.4
ジェフ
4-4-2
前節から6人変更
平均身長(GK除く):179.2

必然だった2失点目

1失点目はFKが平戸に当たり失点するという不運な失点だったと言えるでしょう。ああいうボールに足を出してしまうのは選手の性というものです。

ですが2失点目は不運だとか事故というものでは片づけることはできません。失点の直後で集中が途切れたとかそういうものでもありません。この試合を通じた欠陥が失点に繋がっていたのです。

この欠陥というのは最終ラインの高さです。失点の場面では最終ラインが低かったことで、中盤とディフェンス陣の間に広いスペースが生まれ、ロングボールのセカンドボールを奪われたことが失点に結びついています。

ではなぜ中盤とディフェンス陣の間に広いスペースが生まれてしまったのか。

原因は最終ラインが低いことに尽きるのです。試合を通して、プレスのために前へ出たCHが空けたスペースを最終ラインを上げることで圧縮することができていなかったのです。チームの決め事なのか疲れなのか、それとも怠慢なのかは現場のみ知ることですが。もちろん、CHの戻りが遅く、スペースを消せていないのも原因の一つですが、最終ラインが低ければ戻らなければならない距離も長くなるので、やはり最終ラインの責任と言えるでしょう。

スペース

そのため、そのスペースをビルドアップの出口として使われたり、ロングボールの競り合いで生まれたセカンドボールを奪われることになります。

失点の場面はGKのロングボールを警戒するあまり、ラインが低くなりすぎたため、例のスペースが生まれてしまい、中央に走り込んできた米倉に対応する選手がいませんでした。

2失点目#2

スカウティングでSHが中央に走り込んでくるのはわかっていたと思うのですが、それに付いていかなかった奥山も謎ですが。

ということで試合を通して最終ラインが低かったことが、主導権を握られ続けた原因であり、2失点目が必然である理由です。


入口も出口もないビルドアップ

失点してからというもの、ボールを持たされ続けたゼルビア。コロナ禍でなければ、スタジアムで「負けてるのに後ろでパスを繋ぐな!」的なヤジが飛んでいたことでしょう。

ですがあの光景は必然だったのです。ジェフのユン・ジョンファン監督の術中にはまったとも言えるでしょう。また、ゼルビアが確定未来を覆せなかったとも言えます。

今のゼルビアには相手の守備ブロックを崩す手段がないのです。ゴールまでの設計図が存在しておらず、属人的・即興的な攻撃でどれも単発で終わってしまうのです。

この試合でゼルビアにとって嫌だったのが、ジェフが前からプレスに来ないということです。しかも綺麗に4-4-2のブロックを維持し、90分を通してそのブロックを保ち続けたのがゼルビアとしては最悪でした。

ビルドアップの入口である中央は1対4の圧倒的数的不利。サイドもSBは相手SHの後ろに位置取りをしているため、入口にはなることができませんでした。

ビルドアップ

ビルドアップの出口も同様に、前線の4枚は一列になり、完全に噛み合った状況で、後半途中にようやく安藤が降りてきたり、森村が大外で受けたりできるようになったくらいで、そこからゴールまでの道が見えるかと言われれば難しかったですね。

また、ガラスの膝に悩まされるステファンにロングボールを競り合えというのも京都戦を見れば無理な要求であることがわかると思います。ステファンに地上戦をさせようにも中央に使えるスペースが無かった。これはゼルビアの守備と違う点ですね。


19年のゼルビアに逆戻り

この試合で再現性のあった攻撃が去年のゼルビアそっくりそのままでした。悲しくなりますね。ゴールまでの設計図が無い中で、選手たちにできることがそれしか無かったのかもしれないと考えると虚しかったです。

この再現性のある攻撃というのがペナ角に侵入してニアにクロスという流れですね。ニアで合わせるのが得意な裕希さんがいたのもあると思いますが、選手が入れ替わっても結局これかと思ってしましました。

海舟クロス


一筋の光~深津康太~

ボールを持たされる時間が長かった中で、積極的に中央にゾーン2飛ばした縦パスが2本程度あったのが良かったなと思います。

深津が髙江に次ぐパスの出し手になれれば、相手にマークを絞らせない、パスコースを限定させないことに繋がると思うので、今後に期待したいと思います。


試合結果

町田 0-2 千葉
得点者:41' 田口泰士
    43' 米倉恒貴


さいごに

ジェフの思うつぼだったような試合でしたね。先制したら自陣に構えてカウンターというゲームプランを見事に遂行された試合でした。

ゼルビアも後半途中からサイドでワンツーで背後を取るような動きも見られましたが、ゴールに繋がるかと言われたら首を傾げざるを得ず、ゾーン2の段階で裏を狙う動き、斜めに走るようなシーンが増えたらもっと面白い試合になるだろうなと思います。

上位陣との連戦が続きますが、なんとか勝ってほしいものです。2試合無得点なので、まずは得点からといったところですかね。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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