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2021.04.11 FC町田ゼルビア vs 京都サンガF.C. J2第7節マッチレビュー

ホーム2連戦で2連敗、さらには無得点と現場もそうですが、ただでさえ観客動員数に悩むフロントの方々を心配したくなる成績です。まだ始まったばかりだけれども早めに残留決めたい。

ということで今節は昇格候補の京都をホームに迎えた。ホーム京都戦はいい印象で昨シーズンまではアンカーの庄司のところで奪って得点みたいな試合ばっかりしていた記憶。

しかし監督交代で生まれ変わった京都をそう簡単に倒せるはずもなく、サポーターにとっては不満の募る一戦となりましたが、できる限り感情を無にして振り返りたいと思います。


スタメン

スタメン

前節にチームの核である髙江麗央が負傷交代。そのため今節は長谷川アーリアジャスールがCHに入る。

一方の京都は4-3-3を採用し、一億円でも獲得できなかったピーターウタカが最前線で得点を虎視眈々と狙う形。


攻守において苦しんだウタカ+6

京都の基本陣形は4-3-3であるが、攻撃時には両SBがかなり高い位置を取ることで5トップのような形で5レーンを埋めてきた。また最前線のウタカが自由に動き、敵の基準点を狂わせながら局面局面で数的優位を作り、少タッチでゼルビアのスライドの逆を突くという攻撃をやってきた。基本的にウタカ番は深津康太がやっていたのだが、ウタカは自由に動くため列落ちされるとそれに付いていくようなことはせず、基本的には4-4-2のブロックを保つ形となった。

ただ、京都の両SBがかなり高い位置をとるため、ゼルビアの両SHが守備に回らざるを得ず、守備を得意としない太田にとってはかなり苦しい時間が続いた。実際、太田のいた右サイドは前半かなり狙われており、荻原拓也と松田天馬、武田将平のコンビネーションで突破されるシーンが何度かあった(28分まではアーリアがCHにいたから余計に)。

失点シーン

SHが自陣深くまで守備に戻ったことで、前線は中島裕希1人になり、いざロングボールで陣地回復をと思っても対人に優れた麻田将吾やヨルディバイスに潰され、カウンターが不発というシーンが何度も見られた。いざ敵陣に侵入しても両翼が上がってくるまでに時間がかかり、相手が陣形を整えてしまい崩すのが難しく、前半はほとんどシュートが打てなかった。

さらにポジトラ時に繋ぐことを試みても、ウタカ+6が網のように外切りをしながら襲い掛かるため、中央の狭いスペースに誘導されて佐野海舟が危険なエリアでボールを奪われシュートまで持っていかれるシーンもあった(12分)。この時中央でボールを受けた時にターンやトラップで前を向ける選手が海舟しかいなかったというのも、相手のプレスがハマりやすくなっていた要因であろう。サイドでも前を独力で向けるのが三鬼海だけで、基本は左サイドでレイオフしてようやく前を向けるという感じだった。ここはもう個人戦術なので個々が取り組んでいくしかない。

12分被カウンター

後半に入ると相手の足が止まり始め、ウタカの背後でボールを持てるようになり、中央でもサイドでも時間とスペースが生まれてゼルビアの時間が続いているように見えたが、実際には引き込まれてカウンターを狙われていたような気がする。実際に試合後コメントで曺貴裁監督は前プレもやりつつ引き込んでカウンター狙っていた(意訳)と言っていたし、じゃあ引き込まれた時に点取れるようにしましょうね、理詰めでどうやって再現性を持って崩していくのかというのが今の課題なのかなと思う。昨シーズンから逆転勝ちが少ないのもこれに尽きる。


アーリアボランチ起用の意図とは

前節に髙江が負傷交代したことを受け、今節のボランチは誰になるのかと注目していたが、蓋を開けて見るとアーリアが海舟の横に並んでいた。しかし28分を境に平戸とアーリアはポジションを入れ替えた。試合後コメントでポポヴィッチ監督はその意図についてこう述べている。

–スタートのポジションは長谷川アーリアジャスール選手がボランチで、平戸太貴選手を前のポジションで起用しました。チーム全体にこんな化学反応が起これば良いな、と期待していたことを聞かせて下さい。
「相手の背後を突く時に、よりスピーディーな選手を前に置きたいという意図がありました。単純に太貴の方がアーリアよりもスピードがありますし、背後に抜けていく動きは彼の方ができるので、太貴を前のポジションで起用して、相手の背後を取ることが狙いでした。試合の入りの部分は非常にうまくいっていましたが、時間の経過とともにボールを奪って繋いで前へ出ていく場面でミスが増えたため、ボールをより落ち着かせたいという意図の下、アーリアを前に配置して、太貴をボランチのポジションに置きました。ポジションを入れ替えた後は、落ち着いて効果的にボールを動かせるようになったと感じています」

このコメントから察するに、試合前は中島にボールを当てて平戸に裏を狙わせようとしていたが、そもそも地上戦でミスが多発してそこまで辿り着けなかったから、アーリアにポスト役を中島に裏を狙わせようとしていたのではないか。また守備面でアーリアが穴になっていたこともあって、より守備で頑張ってくれる平戸を中盤にということになったと思う。

まあ要するに試合前の想定よりも相手のハイプレスに飲み込まれてしまったということだろう。そのため中・長距離のパスに優れた平戸に中盤を任せて、相手のプレスを剥がそうとしたということか。

次節までに髙江が戻ってこれなかったら平戸ボランチ、アーリアST継続かな。それとも森下とか奈良坂入れたりするのだろうか。


試合結果

町田 0-1 京都
得点者:21' ピーターウタカ

さいごに

サッカーは相手よりも多く点を取れば勝つスポーツなので、やはり点を取りたいですね。惜しい形は作ってるけど、どれも再現性の無い偶発的なモノだし、ペナ内の中央レーンでシュートを打つことなんてほとんどないし、フィニッシュワークを早く構築して欲しいなと。

あとこの試合で特に思ったのは、選手たちが与えられたタスクと得意としているタスクの間にジレンマみたいなのを抱えているなということ。特に岡田はフィニッシャーというタスクが一番ハマると思うけど、この試合だと通常平戸やアーリアが担っている、運ばれてきたボールを叩いて中央へ通すタスクで、後半はペナ周辺でプレーする機会も増えたけど本人は不完全燃焼なんだろうなと。あとは太田も。甲府時代の彼をよく知らないけど、今みたいなボールを運ぶところは彼の能力を潰してしまっている気がする。

そして疑問に思ったのが、高橋→マソビッチの交代で海舟をCBに置いたとこ。4-4-2を維持したいなら高橋→水本、森下でいいし、マソビッチ入れたいのなら岡田とかと変えればいいんだし。チームマネジメントとして上手くないなと。交代でピッチを退く時の高橋の反応を見れば明らかだけど、指揮官への信頼度は下がるし、ベンチにいるディフェンダーはさらに不満が募ると思う。そのあおりでボランチやらされる晴山も可哀そうだし。なんだかね。


今回もお読みいただきありがとうございました。


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