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2020.9.6 FC町田ゼルビア vs FC琉球

なんかすごい試合でしたね...

前半にこんなに点取って大丈夫なの?と心配になるくらい攻めたと思えば、後半はメンバーを入れ替えながらも逆に押し込まれる展開になり、前半と形勢逆転といった感じで見てる側としては怖いなと思う試合でした。

オーナーが現地観戦していたからブーストが発動したからか知りませんが、怪我人が多くチームの総合力がゼルビアにやや劣る琉球相手だと、こうやって前半に大量得点をして後半は逃げ切るような展開も戦い方としてはアリなのかなと思いました。

それでもこれから対戦する大宮や長崎といった総合力で上回られる相手にこういう戦い方はできないと思うので、先を見据えると怖さのある試合でした。

スタメン

スタメン

ゼルビア
4-4-2
前節と同じスタメン(3試合同じスタメン!)
平均身長(GK除く):174.9cm
琉球
4-2-3-1
前節から5人変更
平均身長(GK除く):175.0cm

やりたい事ができた前半

この試合では前半に4点を取り、試合を前半のうちにほぼ決定づけることができました。なぜ4点も取ることができたのか、それはやりたい事、現状できる事のベストが出せたからだと思います。

前線からのプレス、中央を締めたブロックとサイドでボールを奪い取ってからの縦に速い攻撃、デザインされたセットプレーなどできることはすべてやったという前半でした。

具体的に見ていくと、まずは守備からです。

ケガ人が多い状況などから、本来はCHあたりで起用されている上里をCBで起用したりと樋口監督いわく『新しい組み合わせを探らないといけないタイミングだった』ということでなかなか噛み合わなかった琉球のボール保持。

そんな中、我がゼルビアは3試合連続同じスタメンで練度が高まっているプレッシングとブロック守備を使い分けながら、琉球に思うような前進をさせませんでした。

2CBと2CHの中央4枚とSBの2人の計6人で形成するビルドアップ隊に対し、ゼルビアはほぼ4人で対応できていました。これは琉球の選手同士の距離が近かったため、パスが出てもゼルビアのSHが走れば2人、3人を見ることができたからです。前線の選手は二度追い、三度追いを徹底しており、琉球の選手に時間とスペースを与えていませんでした。

3人見れる

そのため、琉球は前方へパスを出すことができず、横や後ろへのパスが多く成ってしましました。


そして攻撃です。

攻撃は縦に速く、裏を狙い続けるというのを徹底していました。これは毎試合狙いとしているところですが、この試合では決定機を確実に仕留めることができたこと、得意としているセットプレーで先制したことでチームが流れに乗れたことなどから、前半はいい意味で調子に乗っていていい流れでした。

もちろん琉球の守備の欠陥もあります。攻撃→守備の切り替えが遅く、髙江、海舟あたりがポジティブトランジションの時にノープレッシャーだったため、つまり時間とスペースがあったため、自分たちの思い通りのプレー選択ができたことがこの前半で4得点という結果に繋がっていると思います。

2点目の起点となった髙江→安藤の縦パスが時間とスペースがあれば最適・最高のプレーができるといういい例ではないでしょうか。

そして前半で特筆すべきことは攻撃のときのSBの位置です。

小田、奥山ともに非常に高い位置まで前進してプレーをしていました。これには琉球の1.5列目の両サイドである富所と風間に守備参加をせざるを得ない状況を作り、琉球の攻め残りの人数を少なくしてカウンターをさせないという思惑があったと思います。

SBピン止め

SBが高い位置を取り、相手を押し込んだことによって、琉球は縦に速い攻撃をすることができず、遅攻をするしか選択肢はありませんでした。

前節に奥山がインナーラップをしてペナルティエリアの中央でクロスを受けるシーンがありましたが、こういうプレーが今後も増えそうな気もしますね。


前半にやったことをやられた後半

前半にゼルビアがやりたかったこととは、ネガトラの切り替えを早くしてプレッシングで相手からボールを取り上げて、縦に速く裏を狙う攻撃、SBが高い位置を取って相手のSHを押し込むといった感じでしたね。

琉球とは志向するゲームモデルが違うので、違いは多少ありますが、後半の琉球は前半にゼルビアがやっていたことをそのままやっているように見えました。

後半は琉球も前線の選手がゼルビアのビルドアップ隊へプレスに来て時間とスペースを与えないようにしてきました。そのため、プレス耐性の無いゼルビアはロングボールを蹴るしか選択肢が無いので、ハーフタイムに投入されたステファンへロングボールを競る場面が多くなりました。

そして琉球は主力の田中が投入されたこともあり、SBが高い位置を取ってきたため、ゼルビアのSHが自陣に押し込まれる展開が続き、ステファンがロングボールを競ってもセカンドボールを拾う選手がいないので、琉球にボールを持たれ続け押し込まれる展開が続きました。

さらには、前半は詰められていた1m~2mの間合いが詰められなくなり、ボールホルダーに時間とスペースを与えてしまったため、相手のプレー選択に幅を持たせてしまいました。そのため、縦のパスコースを消せない、前を向かせてしまうなど相手がのびのびとプレーできるような状況になっていました。

結果、2失点してしまい、ギリギリのところで耐えることができたという後半でした。


意外とやばいかもしれない中盤以後の守備

ゼルビアは前線の選手が中央のパスコースを切ることでサイドへ迂回させ、対人の強いSBと守備にも走ってくれるSHでボールを奪いきろうという算段で守備を設計しており、ここ数試合は言い方が悪いですが、技術・精度の不足したボール保持型チームというプレス耐性の無い相性の良い相手との対戦が続いていました。

ですが、先発選手が体力的に厳しくなってきたり選手交代でメンバーが代わると、1stプレッシャーラインのところで中央のパスコースを遮断できず、SHの2度追いも見られなくなり、CHと最終ラインのメンバーが晒されてしまいます。

この主に6人が晒された状況になると一気に脆さが出ているなという印象です。特に選手間やライン間でパスを受けようとする選手を捕まえることができないので、簡単にペナルティエリアに侵入されたり、シュートを打たれる場面が後半以降に目立つなという印象です。

琉球が4-2-3-1というJ2ではあまり見られないフォーメーションを採用していて、3のところの選手が内側に絞っているのもあって捕まえられなかったというのもあると思いますが、3のところの選手が簡単にパスを受け、簡単に前線の阿部にパスをさばかれているところに危機感を感じました。

次節の金沢は4-4-2を採用していてミラーになると思うので、ミスマッチは起きないと思いますが、それでも中盤以後が晒されたときの守備は注視してきたいポイントです。


試合結果

町田 4-2 琉球
得点者:11' 佐野海舟
    19’ 平戸太貴
    26' 安藤瑞季
    30' 安藤瑞季
    80' オウンゴール
    92' 阿部拓馬

さいごに

得点が入ることに喜びを覚えながらも同時に怖さを感じるような試合でした。自分の中ではあのホーム千葉戦がかなり衝撃的でトラウマみたいになっているのでしょうね。

スペースと時間が奪われた時にどう攻めるかというのが、今後、ゼルビアが上位に留まれるのかの鍵になっていくと思うので、金沢というチームとこのタイミングで対戦できるのはとても楽しみです。個人的には勝敗にかかわらず課題が多く目に見える試合になるのではないかと予想しております。

完全にメンバーが固定され始めておりますが、交代で出てくる選手がもっとインパクトのあるプレーを見せて、ポジションを奪うようになれば競争が生まれ、もっといいチームという生き物になると思うので、5連戦の後半は楽しみです。

今節もお読みいただきありがとうございました。



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