連作 仏教詩 地蔵菩薩編
車に乗って旅をする
お地蔵さんにすれ違い
手を合わせてまた走る
フロントガラス
窓越しに景色を眺む
雪豹の岩山
窓越しに景色を眺む
蜃気楼に歪む灼熱の
ヒートアイランド
窓越しに景色を眺む
窓越しに景色を眺む
窓越しに…何をか眺めむ
境の景色が変われども
我が識 常に車中にあり
見つむる先は同じ窓
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我 絶望すること勿れ
往くも還るも皆同じ
此の身一つの生なれば
此の身一つを愛せよ己
孤独の闇路の只中にて
我 待ち続けるは魂魄の光
じっと 小指に目を凝らせども
見ゆることなき赤い糸
嗚呼 凡夫たる我には見えざるや
只そこに紅線の存在を信ずるのみ
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用心 用心 手放すこと勿れ
その信こそが己が真実
無明を払う光なり
無間地獄に囚われた
己が心に我は微笑む
満に分に清浄たる 鏡の如き菩薩の心
そこに映る識を見よ
地獄 極楽 なんのその
その実(じつ)たるは空(くう)と見た
実無きこそが空の実
色(しき)を染めるは己が執着
心を虚しうして染悪(ぜんま)を払え
虚しうした心を信の光明で満たせ
我 汝の地獄を統べる者
我 汝の苦悩を庇護する者
我 汝を救いに導く者
オンカカビサンマエイソワカ
我の名はクシティガルバ
光失いし人々を守護する者なり
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