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平年並みの価格、と言うけれど。

よく、こちら地方紙の紙面ではりんごについての情報が載ります。

りんごの価格情報だったり、海外への輸出情報だったり。
生産者以外の「外部」の情報を得られるので
非常に助かっています。

ただ、価格情報の際に、「平年並み」という、なにか引っかかるワードがあります。
要は、平均に比べてどうか?ということです。
例年に比べて安かった、高かったという情報なのですが。

簡単に「平年並みですね」なんて言いますけども。
平年並みだと、全然駄目なんです。

生産者的には、生産コストもあがり、資材費もあがりで、平年並みだと所得が少なくなってしまいます。
果樹栽培なんて、農業の中でも効率化が難しく、ヒューマンパワーに頼らざるを得ないので、人件費上昇 (最低賃金の上昇)も生産コストを圧迫します。

もちろん、農業だろうと、人件費はあがっていくべきだし、
物価もあがってしかるべきです。
(デフレは脱却していかないといけません)

ですが、出口の生産物がいつもと同じ=平年並みでは物価上昇はただただ経営を圧迫する要因でしかありません。

消費者目線で考えると、毎年同じものが同じ値段で買えるのはありがたいことかもしれませんが。
生産原価が上がっている以上、「平年並み」じゃ駄目なんです。

また、「平年並み」が再生産価格かと言えば、そうでもなく。
基本的に、市場への出荷価格は再生産価格を下回っています。

再生産価格を上回るために、高品質のものをつくるのはもちろん、
市場への出荷だけではなく、直売も増やして行く必要もあります。

産地としてなりたつためには、大きな販売をする業者や農協がいて、そこに出荷する生産者がいる必要があります。
いままでは生産者がジリ貧で頑張ってきましたが、だからこそ、新規にやる若い人がいないという現実もあります。

「平年並み」という言葉で一安心するのではなく。
新しく農業をやり始める人も
「ごはんを食べることが出来て、家庭を持てて、家を建てられる」
仕事と思えるように。

今年より来年、来年より再来年よいものを届けて、
それに見合った収入を得る。

そういう「普通の」仕事にするべく、今日もコツコツ仕事をするのです。

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本日はここまで。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
農業に少しでも興味を持っていただければ幸いです。

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