種苗法改正は場外戦になってませんか?
つい最近、「種苗法改悪に反対します」というのがSNSで賑わっていたので、ちょっと種苗法改正案について勉強しています。
改悪であると言われる所以は、以下の理由かと思います。
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■種苗法改正で日本の農業が破綻しかねない
理由:登録品種の自家採種・増殖の一律禁止
→農家は毎回、すべての種や苗などを企業から購入しなければならない。
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つまり、「農家は自家採種・増殖を禁止されると、種や苗を必ず買わなければいけず、経営できない」という理由から、改悪だと言われているのかと思います。
さて、これを現場目線で考えてみます。
まず、ここで「登録品種」というのがあげられてますが、
日本では、品種は「一般品種」と「登録品種」の2種類があります。
りんごで言えば、「ふじ」は一般品種で「トキ」は登録品種になります。
リンク:主な登録品種と一般品種の例
ふじは一般品種なので、自家増殖OKです。
実際、当園でも、ふじの中から着色の良いふじを選抜し、古いふじの品種に接ぎ木して増やしています。
トキは登録品種なので、改正後は自家増殖には許可が必要になります。
また、苗は企業から購入することになります。
現在、トキは当園にはありますが、毎年苗木を購入し定植しています。
トキも接ぎ木で増やすことはできますが、苗木を購入しています。
なぜなら。
苗木を作るのは大変だからです。
りんごでは昨今、わい化栽培が主流になってきており、
わい化の苗木(台木)をつくるのは、非常に労力を要するからです。
※台木を挿し木でつくることができない。
苗木を作る手間暇があるのなら、実際の栽培に労力をつかいたいのです。
ですので、苗木は購入することが多いです。
ふじに関しても、着色の良い苗木を買うことも多いです。
当方だけではなく、苗木を購入して栽培する生産者は多いです。
自家増殖禁止になったとしても、現在の栽培工程を大きく困惑させることはないと思います。
また、改正後、登録品種で、苗木を購入しなくてはいけないとなっても。
苗木代を回収できる価格で売れる品種であれば苗木を買います。
売れない品種、見合った価格で販売できない品種は、切ってしまいます。
登録品種は、苗木代も含めた価格で売れてさえしてくれれば、生産者は困りません。
また、品種を選択する自由も生産者にあります。
一般品種だけでも良いと思います。
(実際、りんごでいれば、一般品種だけの生産者も多いです)
では、現在の問題、これから発生しうる問題はなんでしょうか?
これも現場目線での問題を考えてみます。
上記にあげた「トキ」という品種は、国内流通よりも、海外輸出が多い品種です。
なぜなら、国内よりも、海外の方が高く売れるからです。
生産者も輸出狙いで出荷します。輸出業者が競売日に出る日を狙います。
海外でも「トキ」は引き合いの強い品種です。
そういった環境の中で、一番の驚異は
「トキ」という品種が海外に盗まれ、
それが生産され、海外(あるいは日本)に輸出されること
です。
この海外流出・盗難を防ぐ手段として種苗法改正があるのであれば、
生産者として助かります。
種苗法改正の説明で腑に落ちたのは、この海外流出を防ぐということです。
現場としては、海外流出を防いでほしいのです。
(韓国のいちごや、シャインマスカットの二の舞になってはいけません)
種苗法改正について調べる限り、改悪と言っている人たちは、
現場目線からの問題点ではなく、想定しうる最大値を問題として声高らかにあげているような感じを受けます。
問題を最大化、最大想定することは必要だと思いますが、
災害ではないのだから、想定ではなく、妄想で議論するのはいかがなことかな、と思ってしまいます。
もちろん、まだまだ勉強不足で、種苗法改正について一部分しか知りません。
ただ、声の大きい人に左右されず、しっかりと議論してほしい内容であると感じました。
現場作業だけではなく、勉強しなくてはいけないことは多々ありますね。
ちなみに、種苗法改正について一番しっくりきた説明がスマートアグリさんのページに記載されていましたので、
興味がある方は読んでみるのもいいかと思います。
今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
農業に興味を持ってもらえれば幸いです。
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