チーズ

定期的にチーズを送ってくれるご婦人がいる。

友人から一杯チーズをもらうからと言って、うちら家族にお裾分けしてくれる。きれいに梱包してくれて、郵便局に行って、と、とても手間のかかる作業だ。

次女と同じ亥年生まれの80代の素敵なご婦人。

そのチーズが届くやいなや、それをきっかけ(言い訳?!)にそのご婦人に電話をするのが、私の楽しみの一つ。

「チーズを送っていただき、ありがとうございます。」はもちろんだが、その後に続く会話が嬉しくて仕方ない。

年齢は親子以上に違うけれど、毎回話が弾む。

その中に一つ。ご主人とのエピソード。

3日間、2人の出会いを振り返り、語り合い、その後、ご主人は息を引き取られた、とのこと。

ご主人が通われていたデイサービスでの食事の席で、他の同席者達よりも先に食事が終わったので、「お先に。お先に。」と挨拶して、それが本当に「お先に」となったこと。

ご臨終にこそは立ち会えなかったが、思う存分語り尽くしていたので、ほぼ思い残すことはなく、ご婦人自身すっきりしていらっしゃったということ。

何もかも予定されていたかのような流れ。

ご主人の最後のご婦人への一言が「あんた、おもろい女やったな。」

一つ一つのお話に、すごいなあと思うことが一杯一杯ちりばめられている。

死んでいくことも、またよし、って心から思えた。そんな別れ方が出来たら良いなと思う。

どんな形で死んでいくにせよ、日々の心がけを忘れないでいたい。

もし、70代、80代で生きているとしたら、そんなご婦人みたいになりたいと思って、私はいまのときを積み重ねている。

ご婦人が「チーズって、写真撮るとき、チーズ言うやんか。ほんまにチーズやな、○○ちゃん。」と幾度となく言ってくれる。

無理に笑顔作って、ってしなくても、その話を思い出すだけで自然と口角が上がる。

再度、素敵な人だな、と思う。

出会えて本当に嬉しいです。ありがとうございます。


追記:投稿するに当たり、ご婦人に許可を得るためメールを送った。ご婦人からの返信のメールを見るやいなや、ただただ暖かさに包まれている感覚だった。本当の喜びって、奪い合ったり、勝ち取ったり、分け合ったりするものじゃなくて、広がっていくものだって、感じた瞬間だった。



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