不細工だったらよかったのに、なんて
noteをちっとも更新しないわたしは、物書きに向いていないのではと、通りすがりの誰か、さらには自分自身が思ったりしていることでしょう。
が、様々なことが日常生活で起これば起こるほど、書きたい言葉が溢れ出して大洪水になってしまい、どんなに「タイピングが早いねえ」と言われたって、所詮物理的に指を動かすことでしか、もしくは紙の上でペンを走らすことでしか、その言葉たちを留めておくことができないわたしは、
「ああ、ちっとも追いつかない、もういやだ」
と、半泣きでそれを放棄してしまうのです。
なるべく溢さないように書き留めたいのに、脳内、もしくは心の中、もしくは身体の中を流れる気持ちや言葉や感覚たちは、人間の対応できるスピードを遥かに超えてしまっている……それが悔しくてたまらないのです。
さて、これには一抹の嘘もないのですが、更新を怠る言い訳にすぎないこともまた、真なのです。
。o ○
と、そんなことはどうでもよくて。
ただ今こそは、その溢れんばかりの思いを綴りたいと思い、久しぶりにパソコンを開いた次第です。
世界で一番すきな男の子のお話です。
。o ○
この間、初恋の人に会った。自分でも驚くほど、会えたことが嬉しかった。俗世間で言われる「イケメン」に該当するかはさておき、わたしは
「もっと不細工ならよかったのに」
と思ってしまった。「そうすれば、わたしだけが彼に恋をしていたかもしれないのに」なんていう、勘違いもいいところのわがままを、思いついたから。
それくらい、わたしにとってはいつまで経っても魅力的で、その後、どんなに違うタイプの人に恋をしたって、何度でも「いいなあ」「すきだなあ」と思ってしまうような人―――。
そんな彼が、わたしのよく知っているエリアでアルバイトをしていると言うから、「そのお店ならよく通るけど、まだ入ったことがないし、せっかくだから遊びに行くね」という趣旨のことを伝えた。すると彼は快く「是非」と言ってくれた。
もちろん、これが社交辞令の一環であることを、わたしはよーく知っているし、そうじゃなくとも、別にバイト先を訪問することを許されたからって、女の子として特別扱いをされているわけではないということだって、重々承知だ。
それでも。
それでも、わたしは、飛び上がってしまいそうなくらい嬉しかった。
もう少し具体的に言えば、「この勢いなら空も飛べそうなので、ここはせっかくだし飛んでみようかしら」なんて思うほど。
こんな、傍から見たらどーうでもいい、言ってしまえば最高に「くだらない」ことに、これほど喜べてしまって、さっきまでの憂鬱が全て吹っ飛んでしまって、「あ~人生ってどうしてこんなに素晴らしいんだろう。だから生きるのってやめられないんだよなあ」とつくづく思わされてしまう。
―――恋がこんなに楽しいなんて!
最近はすっかり忘れていたような気がする。こんなに楽しいなら、一生片思いでもいい。誰かに一生片思いをしながら、好きなタイミングで子どもだけでも授かるような、そんな人生があるなら、それはとても素敵だなと思う。
とにかく、この小さな小さな幸せの出来事のおかげで
「世界がわたしに微笑んでいるようにしか思えない。どっかにいるかもしれない神様さんきゅー!」
と盛大な勘違いをしているご都合主義なわたしは、深刻に思った。
―――なにやってるんだろう、わたし。
こんなに純粋に、疑うこともなく、何度でも「すき」と思える人がこの世にいるのに、どうしてわたしは別の人を好きになろうとしているんだろう。どうして、別の人をなかなか好きになれないことに対して申し訳なく感じたり、好きになる努力をしなきゃと思うたびにストレスを感じる必要があるんだろう。
ちっとも、ないじゃない。
いつだって直感で生きてきたのに、どうして「なんとなく違う」という感覚に背く行動を、こんなにしてきたんだろう。
結婚が目的であり、ゴールなのならば、ある程度は頭を使った、打算的な部分も必要かもしれない。妥協も必要かもしれない。
たしかにわたしは、できるなら結婚をしたいけど、それは子どもがほしいからであって、条件がいい人と一緒になる契約がしたいわけではない。
何度も何度も、気づくきっかけはあったのに、それを「でも、相手に失礼だから」と言って、退けてきた。でも、初恋のあの人が、またわたしの前に現れてしまった。この先交流があるかなんてわからないし、そもそも、わたしたちの距離はちっとも近くない。正直、気まずくなって会いにくくなるくらいなら、一生この気持ちを隠し通したいと思う。
だとしても!
だとしても、「本物」の気持ちがどんなものか、身体の内側から思い出してしまったわたしは、もう後戻りはできない。
もちろん、「恋がいつもこうあるべき」だなんてこれぽっちも思っていない。
でも、今度こそ、言い訳をなくしたしまったような気がする。
本人には言えずとも、
「わたしのすきな人は彼です」
と、迷わず、笑顔で言えるような、そんな人がこの世にいる限り、下手に正直者なわたしは、別のところで恋なんかできない。そう思った。
わたしは最高に不器用だから。
―――そうして、タイトルへと再び戻る。
世界で一番すきなあの人が、せめて、あとほんの少しでも不細工だったら。そんな、誰も嬉しくない不純な願いさえ思いついてしまう―――それほどすきな人が、その気さえあれば、会いに行ける距離、関係性にいる。
わたしは、なんて素敵な世界に生まれてきたんだろう。
そう思わずにはいられない。
そんな興奮を書き留めるための、noteでした。
<関連のある記事>
初恋の彼について、書いてあります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?