毎日「はじめる」の連続

「勉強はできるけど、勉強を始めるのが難しいんだよね」

わたしの何気ない言葉に、先輩は時間をおいて、大真面目に返事をくれた。始めるのが難しいというのは「人間の本質を捉えている」と。

わたしだけにはもったいないくらい素敵な気づきだったので、勝手に彼の言葉を引用させてもらう――

「俺もはじめるのが苦手なんだけど、毎日、『始める』の連続だからさ。朝起きるとか、勉強を始めるみたいな『小さな始める』から、世界一周の旅をするみたいな『大きな始める』まで色々あるけど、今のままの安定を心地よく思う気持ちがあるから、新しいことを始めるのが難しいんだろうね。」

「めげずに、『はじめる』をたくさんすることを大切にしてね!!」

――毎日「はじめる」の連続

その言葉が、わたしにはとても響いた。

投げ出したくなっちゃうことなんて、生きてると死ぬほどある。でも、しんどいときは、まず目の前の一番小さなことを始めればいい。

新しいことへの挑戦も、同じように「はじめる」ことが大事なんだって、思えた。

きっと、世界中のあちこちで、みんなが小さな「はじめる」をたくさん繰り返しながら生きている――うまく言えないけど、そういうことに、わたしは励まされた。

だから、この文章を読んでくれる誰かに、こっそり共有したくなった。

。o ○

ところで、友人と一緒にするとか、そういうきっかけがないと勉強を始められないのは、わたしの個人的な弱さだと思っていた。でも、彼の言葉は、わたしの問題関心の一つを思い起こさせた。

わたしは大学で政治学を学んでいる。きっかけの一つは、「どうやったら関心のない人たちを振り向かせることができるんだろう」という疑問だった。政治に限らず、恋愛や普段の生活、色んなことに当てはまる疑問なんだと思う。

政治学で言えば、選挙やデモに行ってみるだけじゃなくて、未来の子どもたちが生きる社会とか、自分とは一見関係ないような(でもきっと、そんなことのない)世界の裏側の誰かとか、さまざまなことを考える――ことを、もっと多くの人が始められたら、いいなって思う。

生きるっていうのはしんどいし、自分のことだけでも精一杯なことも多いから、毎日そうやって社会や世界の問題ばかり考える必要はない。

でも、ちょっとずつでも、みんなが考え始めたら、社会も少しずつ優しくなっていくんじゃないかな。

わたしも、みんなも、世界も、もっともっと、優しくなれるといい。

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