ずっとお腹が痛かった。
前に、本当に折れているときは音楽を聞く余裕がない、と書いたことがある。
その時のことを書こうと思う。
私の前職は専門職で、同じ会社で事務として5年、専門職として10年ほど働いた。
事務の時代はパート、その後はフルタイム、専門職時代の後半は契約社員として働いていた。
電話を使ってお客さんと話をしなければならず、コミュ障な私は正直不安しかなかった。
少人数のチームでやっていたのであっという間に強火の戦力になった。年間の案件数が課で一番になった。プロと呼ばれる人になったわけだ。
繁忙期を迎えていた冬のある日、ぷつりと集中が途切れて何もかもが急に嫌になった。
私の前任者が起こしたトラブルで太客が怒り狂った。
私の疑いは晴れるのだが、会社としてはまずいことになった。
そして上司はこういった。
「林檎ちゃん。次のお仕事探したら?この仕事はできないんだから。ここにいる必要ないでしょう?」
せっかく長い期間をかけてレベルを上げて装備していた戦力もどんどん落ちていった。
何もできないダメな私。
どんどん追い込まれていった。
ずっとお腹が痛かった。
でも少人数のチームでひとりかけることは許されなかった。
お腹がいたいとトイレに駆け込み、サボってると思われてた。
ブラックだけど、居場所があった。
そう思っていた会社に、もう私の居場所はなかった。
大好きな音楽を聞いてもちっとも心が浮上することはなく。
私は音楽を聞くことをやめた。
心だけじゃなく家の中も荒れてぐしゃぐしゃ。
疲れ果てていた。
転職先を決めて辞職を願い出た。
「ご自分のご都合でご退職されるんですから
これ以上周りに迷惑かけないように」
先輩が部署の皆さんに私への餞別を募ったそうだが、全く集まらなかったらしい。
15年頑張ったってこんなものなのだ。
最終日だって涙の一滴も出やしない。
なんとなく落ち着いたある日、音楽が私の体に入ってきた。
ようやく、私は泣いた。
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