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新事業プロジェクトリーダーに抜擢された30歳女性社員の悩み相談

先日20代後半の同僚の女性社員(仮にAさんとします)とランチに行った時、こんな悩みを相談されました。

「(新事業の)プロジェクトリーダーとして推薦されていて、推薦されるのがあと1年早ければやりたい気持ちではあったんです。
けど、来年には子供を産みたいし、自分のライフプランを考えるとお断りしようかなと思ってて」

Aさんは結婚2年目、そろそろ家族を増やしたい計画もあるようです。
そのように思っていた矢先、若手社員もどんどん育成していこうという方針で、会社から重要なポジションを任命されました。会社の中でもここまでの抜擢というのは、なかなかありません。彼女はこのオファーをこのまま受けるかどうか、悩んだ挙句、辞退したいということです。

この話を聞いて皆さんどう思いますか?
日本でも企業の女性活躍推進が重要課題であると言われ始めた2014年頃であれば、私はこう言ったと思います。

「何言ってるの!せっかくオファーされたんだから、チャレンジしなよ!子供なんていつ授かるかわからないんだし、産休に入るギリギリまで頑張ればいいじゃない。キャリアが中断するのはもったいないよ。Aさんが頑張れば、後に続く他の女性社員の活躍のロールモデルにもなるよ」と。

しかし現在の私はこう言いました。厚かましいですが、
「そうだね、Aちゃんが思い描くライフプランがあるなら、そっちを優先していいと思うよ。抜擢されたからといってもAさんに拒否権はあるわけだし、それに、チャンスなんてまた巡ってくるよ。」

過去の私と今の私、私の言っていることが全く違いますね。
ちなみに10年前、私は自社の女性活躍推進担当として、社内研修を企画・実行しており、恥ずかしながら、「自社の女性活躍ができないのは、特に自社に所属している女性のチャレンジ意欲が他社よりも低く、人事異動にも消極的だし、最初から昇進を諦めているからだ」と恥ずかしながら本気で思っていました。

ちなみに、主に50代以上の男性管理職は、今でも女性社員に対して10年前の価値観を持っていると思う。
「女性社員が活躍すればいいんでしょ、じゃんじゃんポジション与えるからさ、あとは女性社員めげずに頑張れ!」と。
しかもそれを、今も通用するの考えだと勘違いもしている。

でもね、違うんです。違うんですよ。
私は出産を一度経験し、今も現役で5歳の息子を育てながらフルタイムで働いていますが、その当事者として思うのは、頑張っているんです。別にね、ポジションに対して臆病になっているわけではないんですよ。

これはね、性別に限った話ではなく、男性にも言えることですが、ぞれぞれの能力に応じた正当な評価というのが、今求められていて、
新事業のリーダー的役割が向いている方もいれば、日々の業務をひたすら改善し効率化を推進することに向いている方もいる。
社内で採用していた派遣社員の営業アシスタントで、すごく優秀な方がいました。日々の業務はルーチンなんですけども、でもね、自動化できない部分でお客さんや営業社員とのかなり細かい調整などもそつなくこなしてくれていたんですね。社内の人間関係も良好で、とっても貴重な存在でした。
でもね、彼女は会社から正当な評価を受けることができずに、会社から去っていってしまうことになったんですよね。
なぜ「正当な評価」を受けられなかったのか?
それは、会社が画一的な評価しかしないシステムだからです。ルーチンワークをミスなくこなす人材は要らないってことなんです。本当なその下には周囲には見えない細かい調整業務がたくさん隠れているのに。

そして、個々の能力だけではなく、それぞれのライフプランも10人いれば10通りなわけです。

10人いれば10通りの働き方に応じた環境をパズルのように組み合わせて最強組織を作っていくことが今の日本の会社における課題なんじゃないかと思うわけです。


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