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【MTG】謎デッキ紹介:再誕する全て

【はじめに】

 先日のローテーション変更の件で傷付いた心が未だに癒え切っていない今日この頃です。寓話デッキや5Cにまみれた環境がこれからもしばらく続くことを考えると気が重くなってしまうのですが、そんなローテーション変更の熱も冷めぬ内に、なんとなんと今度は禁止改訂についての情報も出てしまったらしいですね。まだ内容は詳しく出ていませんが、やはり寓話ということになるのでしょうか。まあもう最近の公式に対する不満みたいなものは前回の記事でそれなりに吐き出させていただいたので、禁止改訂について改めて記事にするつもりは無いのですが、なんかこう……寓話が禁止になってくれるのなら個人的には良いニュースなのですが、やっぱり禁止にしないと調整できないんじゃんって思って……何やってんの?って感想が正直なところですかね。まあこの話題に関してはとりあえずキリが無いので、今回もめげずに楽しく謎デッキ回、やっていきましょう。

 少し前に小規模セット『機械兵団の進軍:決戦の後に』が実装され、環境にも若干の変化が見られました。ほんとに若干。僕は謎デッキを作る時に最新セットのカードを必ず使用するという縛りを設けていますが、今回に関しては流石にMOMとMATを合わせて最新セットと見做すことにしました。まあ今回に関してはちゃんとMATのカードを使用しているのですが、いつものようにリミテッドでカードを集めなかったのと、MOM直後で普通に資産が無かったことから、MATのカードは集まりが悪く、今回のテーマとなるものも実はアンコモンという感じになっています。10パック買った時のジョルレイルは嬉しいんですがね……。

 ちなみに、前回の記事の最後に『マルドゥ・バトル』という未紹介の謎デッキを雑に載せましたが、そちらの謎デッキに関する記事は延期とさせていただきました。その理由は、マルドゥ・バトル自体が次のローテーションを見越したデッキだったというのが最も大きいのですが、今回の記事で紹介する謎デッキも『元々廃案になっていたものが新カードの力で復活した』というタイムリーなものでもあったので、今回はそちらを優先させていただくことにしました。ローテーション延長で謎デッキ記事も延期せざるを得なくなるとは、何とも因果な話ですね……。
 では気を取り直して、早速お話を始めていきましょう。

【設計段階】

 設計段階では初めに起点となった謎カードを紹介するのが通例になりつつありますが、やはり今回の場合は少し毛色が違っています。つまり、この場合の起点が『廃案の起点となった謎カード』なのか、はたまた『廃案を復活する起点となった謎カード』なのか、という問題があるからです。
 一回それらを順番に解説するように記事を書いてみたのですが、何かしっくり来ないと言いますか……。そこで、今回は独立した2つの設計段階を提示するという前例のない形式で説明していこうと思います。

【廃案の設計段階】

 ではまずは廃案の起点となった謎カードからご紹介していきましょう。

癖は強いが夢もある

 この《世界の導管》はONEで登場したカードで、僕はONE環境の頃からこれを活かすデッキを模索し続けていました。4マナのアーティファクトで出た時の仕事がほぼ無いという点は、言ってしまえば『スタンダードにおいて弱いことしか書いていない』と揶揄されても仕方ないと言えます。が、それ故に謎指数が高いというのも事実で、機能してしまえば様々なコンボを生み出し、単体として見ても夢のあるカードであり、何故か4枚揃っていたこともあって、当時はこれを活かすことに執着していました。
 そして、実際に当時は以下のようなカードたちを特に相性の良いものとして挙げ、試験運用を繰り返していました。

導管があれば何度も利用可能
導管で何かを使う度に強化
土地が出る度に誘発する
神話だけど使用率が低いカード

 白状すると、実は《斡旋屋一家の潜伏先》と《咆哮する大地》を《世界の導管》の下で運用するコンボに関しては、他の方の発想を拝借したものになっているのですが、最終的にはその上でも高度な独自性が確保されていると判断したため、こうして謎デッキとして紹介しています。当時は本当に導管を上手く利用することに難儀していて、その果てに外部の発想に頼ったという切実な背景もありました。
 簡単に説明すると、まずフェッチ土地である《斡旋屋一家の潜伏先》は土地が出る度に誘発する《咆哮する大地》と相性が良く、またフェッチ土地は使えば自動的に墓地に送られるため、導管で墓地から土地をプレイする際にわざわざ墓地肥やしを行う必要がありませんし、結局フェッチ土地は再び墓地に送られるため、デッキの基本土地が枯れない限りは無限に土地を使い回すことができるという訳です。また《柳の霊》に関しても墓地からカードが離れる度に自己を強化できるため、これも導管があれば何かのついでに打点を挙げてくれます。
 最後の《浄化の刃、シャナ》に関しては、当初はバントだったという点のみで仮採用したもので、導管との相性はそこまで考えていなかったというのが正直な話なのですが、実はSNCのフェッチ土地には基本土地タイプが3種に限定されている代わりに、地味な1点ゲインが備わっており、それによってシャナの能力を即座に運用することもできます。よって、これも間接的に導管と相性が良いと言えるものになりました。

 しかし、既にご存知の通り、この案は最終的に開発段階で没となってしまいました。その理由は多々ありますが、特に大きかったのは『デッキとしてのパワー不足』と言えるでしょう。これは謎デッキ的にはあるあるな弱点と言えるもので、要するに、シナジーによって得られるアドバンテージとシェオルやアトラクサを出すだけで得られるアドバンテージに大した差が存在しない、あるいは後者の方が大きいということでした。
 このようなテーマ性の強いデッキ、つまりシナジー傾向の強いデッキというのは、理想的な駒が揃わなければ始まりません。その時点で昨今のミッドレンジやアトラクサなどを終点とするランプやリアニメイトより再現性の面で劣っていることは明白です。それでも、仮に爆発すればシナジー傾向の弱いデッキたちを圧倒できるという強みがあるから、そのようなデッキにも組む意味がありました。少なくとも以前までは。しかし、昨今のカードにはそのような爆発を意図的に抑えるような調整が見受けられます。具体的に言うと「この能力は、毎ターン1回しか誘発しない」や「起動はソーサリーとしてのみ行う」などのテキストです。それなのに、それとは反対の再現性を向上させる要素に関しては加速度的に増加しています。寓話がその最たる例と言えますが、5Cランプのようなものが環境で支配的になっている状況から見ても、現在の優秀過ぎる土地基盤も再現性を大きく助けていると言えるでしょう。
 要するに、このようなシナジーを追求するデッキであっても、爆発よりも再現性を強化するのが賢明になりつつある訳です。しかし、この時点のラインナップではどうしても導管の存在なくしてはデッキが立ち行かず、仮に望む動きが出来たとしても4、5ターン目にアトラクサを出されてしまえば逆転はほぼ不可能、というかそれができるのは環境デッキたちだけなのかもしれませんが、とにかくONE時点でそれ以上の進歩は見込めず、計画は頓挫してしまったのでした。

【廃案を復活させた理由】

 では、何故そのような案を改めて再利用することになったのか。その理由がこちらのカードになる訳です。

アンコモンだけど色んなデッキで使えそう

 《星界の再誕》はMATで登場した3マナのインスタントで、マナ総量が3以下のパーマネントをリアニメイトするのが主な使い方ですが、それ以上のマナ総量であっても手札に戻すことはでき、加えて3点の回復も並行して行うことができます。また、よくある「土地でない」の記述がないため、墓地から土地を再利用することも可能で、この点が既存の案と相性が良いというのは言うまでもないことでしょう。
 確かに、これがあるからと言って導管コンボの爆発力が増すということはありませんが、カウンターを置く先であるクリーチャーを場に保持することに加えて、カウンターを置く機会自体も増やすことができ、インスタントという性質も導管コンボをトリック的に扱えるようにした点から画期的な変化を齎したと言えます。また、おまけのように思われがちな回復も、シャナのような回復に反応するクリーチャーがいれば、最大限に有効活用することができます。

 このように、再誕によって導管デッキの再現性は大きく向上することになりました。元々が導管でしか墓地の再利用ができなかったのですから、そこから見れば非常に大きな進歩と言えるでしょう。しかし、導管デッキには他にも弱点、というか詰め切れていない部分がありました。
 特に問題だったのがカードを墓地に送る手段で、確かにレア以上にも切削を行えるものはありますが、どれもコントロール向きのもので、導管コンボと相性が良いとは言えません。求められているのは軽量のクリーチャーでそれが行えるもので、ONEまでのラインナップではそのようなカードに恵まれていませんでした。
 そんな中、MOMで登場したのがこちらのカードでした。

こちらも様々な面で好相性

 《深根の道探し》は2マナ2/3のクリーチャーで、戦闘ダメージを与えることで諜報と墓地からの土地の再利用を誘発することができます。元々は切削で相性の良さそうなものが見つからないから諜報で探してみようと軽い気持ちでやっていたのですが、こちらのカードは墓地からの土地の再利用まで行えるため、トップが土地だった時に土地加速が行えるのは言うまでもないことですが、既に墓地にフェッチ土地があればそれを再利用することでトップに関係なく何度でも土地加速が行えるという凄まじいシナジーを持っていたのです。逆に当初の墓地を肥やす動きについては条件付きの諜報1はやや弱いようにも思えたのですが、そもそも導管も再誕もそこまで一度に大量の再利用を可能にするものではなかったため、これぐらい慎ましいものでも十分だったというのが最終的な事実でした。
 特に2ターン目にこれを展開し、3ターン目に《咆哮する大地》を出しつつフェッチ土地を出して、スタッツを4/5まで強化する動きが強力で、そこで更に相手に攻撃が通れば、それだけでまた土地とスタッツが強化されるというブン回りケースも存在します。正直、再誕だけでは紹介に値するほどのものでもなかったので、これの存在は非常に大きく、真の革新は道探しであると言わざるを得ません。実際、このデッキの試験運用中、デッキ自体は異なるものでしたが、同様にフェッチ土地を道探しで再利用するというコンボでデッキを作っている方にも遭遇し、少し嬉しい気持ちになりました。

 再誕と道探し、これらの加入は廃案になったものを再利用する理由として十分すぎるもので、そのシナジーの濃さはエンタメ性の高さに大きく寄与しており、プレイしていて楽しいというゲームにおいて最も大切な要素の獲得にも繋がるものでした。

【開発段階】

 僕の記事で言う開発段階とは基本的に仮デッキを作る段階で、具体的に言うとメインデッキ60枚を選出する段階になります。しかし、最終的に没になったとは言え、廃案の方で既に開発段階は終えており、そもそも先の設計段階で挙げたものの時点でデッキの形はほぼ決まってもいました。
 よって、ここから更にデッキの完成度を挙げる要素というのは決して多くなかったのですが、特に注目すべきカードとして挙げられるのは、やはりこちらのカードでしょう。

チャンドラは大活躍していますが……。

 《レンと次元壊し》はMOMで登場したPWです。既に同じMOM出身PWのチャンドラはラクドスで大活躍していますが、エルズペスとレンに関しては特に注目されていないように感じます。そして、そんな状況にあるものを救ってあげたいと思ってしまうのが、やはり謎デッキ研究員の性というものなのでしょう。まあ3テフェやオーコ以降の3マナPWというのは非常に難しい立場にあり、これに関しても暴れないように細心の注意を払った形跡が見受けられるのですが、それでも神話レア相当のものとして十分な能力を備えているように思いますし、特に今回のようなデッキとは相性の良いものでもありました。
 フェッチ土地やシャナの存在から分かるように、最終的にバントとして完成することを目指してはいましたが、基礎となるカードはほとんどが緑に偏っているため、シンボル面でも特に問題はありませんし、これ自体が多色化を大いに助けてくれます。また、切削や墓地のパーマネントの再利用などの導管的な能力も搭載しており、こちらも捨てるところがありません。

 他には《離反ダニ、スクレルヴ》や《放浪皇》のような言わずと知れた強豪カードも採用しており、これらも確かにデッキのパワーを上げてくれているのですが、改めて語る必要もないかなと。

【調整段階】

 では満を持して、今も調整中のデッキの方を。

 名前は『バント再誕』にしました。導管じゃないんかいっていうのは本当にご尤もなご意見です。まあ個人的に最新のカードをメインに据えたデッキ名にしたかった、という単なる見栄ですね。それと導管よりも再誕の方が内容を直感的に理解してもらえるという狙いもあったりなかったり。
 それでは実際の試合での手応えを話していきましょう。

1.実際の試合

VS赤単アグロ 相性:△
 地味に《柳の霊》もゲインを持ってたりして、回復を積み重ねればどうにかなりそうだったのですが、カード・プールの拡大によって赤単も速度を増してきたらしく、何らかのコンボが機能する前にやられるというケースもしばしば。ただシャナを超強化するところまでいければ流石にいけます。

VS青単テンポ 相性:△
 こちらは墓地対策も少なく、飛行を止める手段というのも無いに等しいものなので、こちらがブン回って相手を置き去りにしない限りは空から殴られて終わりです。

VSセレズニア毒性  相性:×
 色が近いからか高確率で当たりました。毒は回復ではどうしようもないですし、こちらには有効な除去も少ないので、中でも特に苦手な部類になるとは思います。

VSミッドレンジ系  相性:△
 やはり相手の再現性は高く、1ターン目にスクレルヴを貼って殴り役を守り続けなければ順当な処理だけで厳しくなります。あとシェオルを抜くのにも難儀しますね。

VSランプやリアニメイト  相性:×
 アトラクサやエターリの時点で9割負けです。まあそれを言えばほとんどのデッキがそうでしょうけど……。

2.試合を通じて

 まず一見して分かるように、このデッキと相性の良いデッキは、恐らく環境デッキの中には存在しないでしょう。まあブン回りとか相手の事故とかで勝つことはありますが、それを相性とは言えませんし。こちらも確実にデッキとしての完成度を上げているつもりでしたが、やはり大手のデッキには敵いませんね。挙げ出せばキリが無い程に至る所でシナジーを発揮できるデッキだったのですが、そんなことするよりもアトラクサ1匹出した方が遥かにコスパが良いっていうね……。まあ分かっちゃいましたが、何ともやるせない気持ちになります。同じ独自デッキ勢との対戦は楽しいですが、そんなのも極稀なケースですし。
 ただ、設計段階の方で述べたように、このデッキの根幹は使っていて楽しいというところにあり、その点だけは環境デッキに負けていないと自負しております。使っているカード的には古いものも多く、気軽に組めるものでもないとは思いますが、気が向いたら使ってみてください。

3.まとめ

謎指数:8(10段階評価)

★再利用と回復のシナジー二刀流!
★再誕と導管による高度な再現性!
★シャナやPW陣がフィニッシャーかな?
★勝率のことは聞かないで……。

【さいごに】

 少し間が空いてしまいましたが、今回も読んでいただいて、本当にありがとうございました。
 正直、現在の僕はMTGに対するモチベーションが下がっており、新規の謎デッキについても全く進んでいない、というか禁止改訂が出るまでは手の付けようもないので、とりあえずそこまでは様子見して、それから気が向いたら再開しようかな、という感じです。なので、珍しく2、3週間が空くことも想定されますので、それまではしばしの別れですね。まあ今までも色々あった上でなんだかんだMTGは続けているので、記事の方も必ず帰って来るとは思います。それでは、また次の記事で。

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