見出し画像

【ONE】新カードの話:戦友の話

【はじめに】

 先日、ファイレクシア:完全なる統一が日本で一足先に発売され、中には既に入手された方もいらっしゃるかもしれません。出揃ってみると、今回のセットは明確にこれは使われないだろうというカードが少なく、スタンダード的には非常に探求心をくすぐられるセットな気がします。
 ところで、カードゲーム経験者なら誰しも、思い出の1枚と呼べるようなものを少なからず持っているのではないでしょうか。イラストが気に入っているから、大会を共に戦ったから、理由は様々あると思います。僕の場合は自分ぐらいしか使っていないようなカードに特に愛着を持ちますが、思い出の1枚と呼べるカードは多くありません。
 今回はそんな僕の数少ない思い出のカードと、改めてそのカードを思い出すキッカケになった新カードについて話していきます。

【機械の母、エリシュ・ノーン】

法務官の一人

 こちらはファイレクシア:完全なる統一のスポイラー最初期に公開されたカードで、既に多くの方が評価をしています。5マナ4/7に《放浪皇》対策で嬉しい警戒持ち、加えて自分のパーマネントが出たことによる誘発を追加で再度誘発することができるという強力な能力も備えています。また、相手のパーマネントが出たことによる誘発を阻害する機能まで搭載しているという派手さは何とも最近のクリーチャーらしいですね。除去耐性が無いのが弱点ですが、一度でもターンが返って来れば一気に勝ちに向かえそうです。

【冒涜されたもの、ヤロク】

 ところで、皆様はこちらのカードをご存じでしょうか?

キッカケのカード

 何を隠そう、この《冒涜されたもの、ヤロク》こそが僕の思い出の1枚なのです。《機械の母、エリシュ・ノーン》と同様の能力を持つ彼(あるいは彼女?)は基本セット2020に収録されていたカードで、僕がMTGにハマるキッカケとなったカードでした。
 MTGに触れる前から様々なカードゲームをやってきた僕は、ある日どこかで見た広告に触発されてMTGアリーナを始めてみました。中には友人に勧められてという方もいるかもしれませんが、僕は何の事前知識も無く、デュエマを少し知っている程度の状態でゲームを始めました。
 最初の頃は新しいカードゲームに挑戦するワクワク感から退屈せずに続けていましたが、過去にやりこむ前に投げてしまったカードゲームがあったのも事実で、今回もそうなるかもしれないという思いがありました。
 そんな時、僕はプレイに潜る中でに出会ったのです。最初は敵としてでした。相手のデッキはスゥルタイ・エレメンタルと呼ばれるもので、強力なエレメンタル・シナジーを持つ《発現する浅瀬》を主軸に序盤はリソース確保を行い、後半に《冒涜されたもの、ヤロク》から《裏切りの工作員》を出してゲームを決めるという派手なデッキでした。
 僕はそのデッキの持つ誘発力、もとい誘爆力にすっかり魅了されてしまいました。それに加えて《冒涜されたもの、ヤロク》の禍々しいデザインにも心を奪われ、恐らく初めてコピーデッキをしました。
 なけなしのWCで主要なカードを精製し、一部は妥協したものの、僕は晴れてスゥルタイ・エレメンタル使いとなり、時に負け、時に勝ちながら、誘発がズバズバ重なる感じがMTGの楽しさだと気付いたのです!(諸説あるとは思いますが)
 そういう意味では彼と出会っていなければ楽しさに気付かずに投げていたかもしれません。ということで、彼は僕にとって色んな意味で思い出のカードになったのです。
 スタンダードを主にプレイしている僕も、たまに彼が恋しくなり、今でも別のフォーマットで使ったりしています。

 そして、そんな僕にとって《機械の母、エリシュ・ノーン》は運命的なものを感じざるを得ませんでした。スタンダードという場で快楽物質を再度誘発することができるというのは興奮以外の何物でもありません。
 個人的には下手に除去耐性を持っていない所が良いですね。やっぱりこの手のカードはドキドキしながら相手ターンを見守るまでがセットのような気がします。

【是非とも合わせたい能力】

 ここからは《機械の母、エリシュ・ノーン》と相性が良いカード、つまり追加誘発できるとドーパミンがドバドバ出そうなカードを紹介していきたいと思います。要はここからが本番です。

▼同セット
 
まずは同じファイレクシア:完全なる統一の中からです。実は意外と数が少なかったです。

こちらも派手

 出た時にすることは派手ですが、クリーチャーを選べない点や素出しの場合も追加誘発のために墓地に一定の枚数を用意しておく必要があるという点はマイナスでしょうか。じゃあ何で紹介したんだという感じですが、これ抜きにすると単色が無くて寂しかったので……。

ド派手

 この注釈文の方に書いてあるバトルという謎のカード・タイプが話題にもなっているカード。僕も単体として注目しているカードで、本体の戦闘力もさることながら、出た時にリソースをド派手に確保する即効性は今のクリーチャーに求められているものでしょう。
 追加誘発するとただでさえド派手なリソース確保が更に派手になって宇宙というやつかもしれませんが、手札だけ潤沢になっても場には干渉できませんし、即座に勝利に向かっている訳でもありませんので、ピンチに出しても返しに除去されて普通に負けるということもあり得るでしょう。
 とは言え、楽しそうなコンボではありますね。

1枚で2体

 これが最も現実的かもしれません。アゾリウス・カラーかつ出た時に3/3のクリーチャー・トークンを展開するという非常に汎用性の高い能力を備えています。こちらも単体として注目のカードで、1枚で複数体を展開することができるカードが現環境でも有効であることは《瞬足光線の大隊》が既に証明している所でもあると思います。というか《瞬足光線の大隊》とも相性が良さそうですね。
 また追加誘発自体がこれ自身の下の能力を誘発する助けになるという点もスマートです。伝説という難点もありますが、そこを逆手に取って追加誘発型のエスパー・レジェンズなんてものが作れるかもしれません。

▼過去のセット
 まず多くの方が思い付いたのは、こちらのカードではないでしょうか。

現在も白単で活躍中

 出た時1ドローという能力はシンプルですが強力で、その上で《婚礼の発表》のようなカードで強化を受ければ、本体も1ドローの出涸らしでは終わりません。また、これに関してはエンチャントであるという点も何かと利用できます。
 主な活躍場所である白単には、同じマナ帯に《野心的な農場労働者》という同じく出た時の能力を持つクリーチャーが存在し、そちらは平地を持ってくることができます。追加誘発との相性で言えば《神憑く相棒》には敵いませんが、そういう意味では既に白単は《機械の母、エリシュ・ノーン》を迎え入れる準備を終えているのかもしれません。
 また、白には3マナで出た時1ドロー+1ゲインの《鼓舞する監視者》も存在するため、白単色でも《機械の母、エリシュ・ノーン》の恩恵は十分に受けられそうです。

一部の黒単やオルゾフで使用されているらしい

 こちらは《神憑く相棒》とは真逆で、出た時に相手に1ディスカードをさせるというクリーチャーです。また、同様の効果を持つものには《堕落した廷臣》というのもあります。
 これも追加誘発できれば嬉しいですが、ドローと違って相手の手札が少ない時は無意味になってしまうこともあります。また、出た後の本体の利用法も異なり、こちらは生け贄シナジーで運用される場合が多いようです。

緑単ランプという極めて狭小な界隈で活躍中

 色の縛りが少し厳しいですが、追加誘発自体が本体を動かすのに役立つというはスマートな点ですね。
 また、緑には他にも、

かつてジャンドで一世を風靡した子

 このような派手な能力のものもあるため、緑白で出た時シナジー+ランプなんてこともできるかもしれません。

一時期リアニメイトで活躍

 かなりの大穴感ですが、僕的にはこれも面白いように思います。リアニメイトで出すというのも賢い運用ですが、追加誘発させるというのもIQ500なのではないでしょうか。仮に成功すれば、あらゆる状況をこちらの勝勢に変えることができそうです。

エスパーやグリクシスなどで大活躍

 打ち消しのモードは追加誘発には向きませんが、意外とどちらも発動したいという場面も多いような気がします。仮にエスパー・出た時・レジェンズのようなデッキを作ろうとした場合は高確率で入るでしょう。

イゼット・アーティファクトなどで大活躍

 別にクリーチャーである必要は無いので、こちらも相性の良いカードと言えるでしょう。ドローも除去も極めて汎用性の高い能力なので、追加誘発との相性だけで言うと1、2位ぐらいはありそうです。ただ、正直これと《機械の母、エリシュ・ノーン》を合わせたデッキは思い付きません……。

 こんなところでしょうか。意外とスタンダード内で言うと少なかったような印象を受けますね。やはり《裏切りの工作員》のような絶好のパートナーはそうそういるものではないようです……。
 今回は主に”出たとき”の能力を特集しましたが、中には”出るたび”という能力もあり、これも僕の理解が正しければ追加誘発されます。そちらの方もかなりの数がいるため、《機械の母、エリシュ・ノーン》による追加誘発がメインではなく、そのカードのシナジーを強化するという役割で使われるようなケースもあり得そうですね。
 ということで、スタンダードだけでもかなりの候補があり、見落としもあるかもしれません。僕が見つけた以外にも何か見つけた方は、コメントで教えていただけると嬉しいです。

【さいごに】

 最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。今回は何だか自分の話が多かったような気がしますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。次回はONEのリミテッドや新スタンダードに関する話ができれば良いなと考えています。それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?