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【MTG】此度の禁止制限告知について思うこと

【はじめに】

 モチベーションの低下に伴い、久し振りにデイリーを消化するだけの作業に従事していた今日この頃です。とは言っても、僕は研究の一環としてしか環境デッキを使用しないので、デイリー消化であっても自作の謎デッキで回っています。加えて、僕は自分の流儀に沿わないものをなるべく視界から消そうとするらしく、そのような研究の一環としてコピーした環境デッキも数回の運用を経るとデッキ一覧から削除してしまうので、僕のデッキ一覧には本当に皆様に紹介した謎デッキしか存在しません。
 何故そこまでするのか、最早その理由さえ自分自身でも分からないレベルなのですが、確かに言えることとしては『寓話のようなカードを使って負けた時の自己嫌悪が凄い』ということでしょう。基本的に謎デッキ研究は失敗の連続ですし、正直に言ってしまえば、成功しても環境デッキに敵う訳ではありません。要するに、僕は謎デッキを突き詰める過程で環境から否定され続けている訳で、その上で環境デッキを使ってまで負けると「じゃあ貴様には何ができるんだ」と言われてるような気がしてしまうっていうね。別に環境デッキを使えば誰でも100%勝てる訳じゃないってことぐらい流石の僕も分かってはいるのですが、だからこそ理性的なものとしての理由は自分でも分からないんですよね。まあ最も可能性のある答えとしては、大きい声では言っていませんでしたが、寓話のようなカードに対する嫌悪感が行く所まで行ってしまっていたということかもしれませんね。

 そして、そんな中で発表されたのが此度の禁止制限告知、今回の本題になる訳ですね。前回の記事で派手に小休止宣言をしてから結局そこまで時間は経っておらず、完全に恥ずかしながら帰って参りました状態になっているのですが、僕としてもローテーション変更や禁止改訂を乗り越え、心機一転して新しい謎デッキ研究に乗り出したいとは思っており、そのためにもまずは改めて此度の件について好き勝手に話し、ここを新たな起点にしたいと考えているのです。なので、今回も個人的な意見が満載の語っちゃう系の記事になるとは思うのですが、どうか温かく見守ってやって下さい。
 それでは、始めていきましょう。

【発表の内容】

 以前のローテーションの件について書いた記事と同様に、今回もまずは公式発表の内容を軽くまとめていきたいと思います。改めてですが、これはあくまで僕が勝手に要約しているものなので、正確に知りたいという方は公式発表の方を。

 要するに、こんな感じのことを言っていると思います。

 今回は紙のスタンダードに活力を取り戻すという目標に向かっての第二歩目について発表する。

※ちなみに、第一歩目はローテーション変更のことだと思います。

 まず、プレイヤーが禁止について議論する時、そのスタイルに関わらず挙がる不満点として『禁止の唐突さ』というものがあった。そのため、今後はあらゆるフォーマット、特にスタンダードにおいて、その変更のほとんどを年に一回のものと定めることにした。これは秋のプレビューが始まる前に行われる。
 また、年に一回の告知に加え、致命的な環境の崩壊に特別に対処する禁止改訂は各セットの発売後3度目の月曜日に行うものとする。但し、この特別対処は非常に稀なものであるべきと考えている。

 とは言え、今回に関しては変化を促すために3枚のカードを新たに禁止にすることにした。この禁止は、現在のスタンダードに漂う禁止に関する話を無くし、まっさらな状態で新時代のスタンダードを始めるために重要であると考えている。

・《鏡割りの寓話》//《キキジキの鏡像》禁止
・《絶望招来》禁止
・《勢団の銀行破り》禁止

 これは既存の黒赤系の勝率を下げ、夏の『エルドレインの森』に先立った参入の機会を生み出す助けになると考えている。

1.《鏡割りの寓話》//《キキジキの鏡像》について
 このカードは黒赤系の根幹であり、長らくスタンダード最強カードの一角とされてきた。リソースとカードの回転を生み出し、3マナにしてマスト除去レベルの重大な脅威となり、加えてこれに対処する手段も少なく、あったとしても3マナを遥かに超えるものばかりである。
 よって、黒赤系の勝率を下げると同時に、欲しいのは脅威なのかカードの回転なのか、はたまたカードを墓地に送ることなのかという意味深い選択肢が生まれることを願い、それに加えて使用率の高さも鑑み、これを禁止にするものとする。

2.《勢団の銀行破り》について
 このカードはスタンダードの多くのデッキでアドバンテージ・エンジンとして使用されてきた。無色であるが故に幅広いデッキに簡単に組み込むことができ、その普遍性と単純な強さから、他のカード・アドバンテージ獲得手段を押し退けてしまっている。また、これはクリーチャーのサイズにも圧力をかけており、これに搭乗できるクリーチャーが他よりも優先される傾向を生み出している。多様性の発展と他の同様の用途のカードに力を取り戻すために、これを禁止にするものとする。

3.《絶望招来》について
 このカードは長らく黒系のマナ・カーブの頂点に置かれてきた。強力な戦場対処能力とカード・アドバンテージ生成に加え、黒の弱点を幾つか補うことができるため、伝統的に単体除去を多用するデッキに対して有利だった幅広いパーマネント・タイプを扱うデッキの有用性を下げ、黒の戦略に対する十分な対抗策を見つけることを難しくしている。そのパワー・レベルと多様性に対する悪影響を理由に、これを禁止にするものとする。

 件の年に一回の禁止制限告知の初回は2023年8月7日に、『エルドレインの森』のプレビューに先駆けて行われる。

だいたいこんな感じ。

 所々に表現の変更はありますが、公式が伝えたいことをなるべくそのまままとめたつもりです。

 まあやっぱり「うーん」という感じの内容ですね。寓話の禁止に関しては予想通りでしたが、結論から言うと、この程度の変更でスタンダードが面白くなるとは僕には思えないんですよね。
 そんな訳で、早速ですが色々と突っ込んでいきたいと思います。

【新時代のスタンダードの在り方】

 まずは年に一回の告知と特別対処の部分についてですが、これは公式が環境を調整する能力に関して、その限界を示したものであるとも言えるのではないでしょうか。
 特にスタンダードにおいての話ですが、これは要するに「年に一回は必ずと言って良いほど禁止が出ます」と言っているようなもので、それをさも当然のことのように告知する態度には、やはり公式の面の皮の厚さが窺い知れるといったところでしょう。恐らく、これは全く新しいスタンダードの在り方を明確にしたもので、ローテーションが延長される代わりに、本来であればローテーションがあったタイミングで大規模な禁止改訂を行い、それによって環境を動かそうとしているということだと思います。ローテーションの件は紙のための変更で、今回のものも恐らくは同質なんでしょうが、やはり公式もローテーションを延長することで環境の制御が困難になるということは自覚しているらしく、それに加えて結局は特別対処も存在すると言っている訳ですから、なんかもう、ね。もうどうやっても禁止無しではやっていけないんで、むしろ禁止を前提にした枠組みを作っちゃえ的な、ね。しかしなんで公式は正直に「禁止無しでは無理です」と言わないんでしょうか。今までは禁止を明確な調整ミスと説明してきたんですから、その認識が変わったことは明言した方が良いと思うのですが。
 加えて、タイミングを固定するという話ですが、さも禁止の問題はそれが唐突に出てしまうことだという風に言っていますが、そんなものは禁止が出ないようにすれば良い話なのではないでしょうか、と言うともう時代遅れなんでしょうね。恐らく、これは完全に紙のためのもので、公式は「禁止の可能性があるものはプレイヤーの側で何となく察してもらって、固定された告知のタイミングまで購入の判断を待ってもらいたい、あるいは相応のリスクは覚悟してもらいたい」と言っているのだと思います。要するに、禁止は環境の健全性を維持するための当然のオプションと位置付けられ、それでも発生してしまう禁止による被害に関しては、プレイヤーの側の譲歩によって軽減されることを期待しているという訳です。まあ確かに禁止で最も被害を被るのは紙のプレイヤーなので、禁止関連の決定を紙寄りに調整するのは正解だとは思います。しかし、それでも禁止で被害を受けるプレイヤーが消える訳ではないのですから、当然のようにというのは流石に気持ちの良い態度ではありません。

 前々から言っていますが、僕は紙でもデジタルでも、競技でもカジュアルでも、ゲームとして面白くなければ意味は無いと思っています。その意味で言うと、崩壊した環境に禁止で手を加えることも止むを得ないことだとも思っています。禁止は出すべきではありませんが、禁止が出ないからといって面白い環境とは限りませんから。しかし、これらの一連の変更で本当に面白さを取り戻すことができるのでしょうか。

 こちらの記事で詳しく話していますが、今のスタンダードが面白くない原因は最早そんな単純なものではないのです。どれだけ禁止を繰り返しても問題を先送りにすることしかできないでしょう。寓話が消えれば次、それでも面白くないなら次、これでは根本的な解決にはなりません。

 では新規獲得や活力を取り戻すという目標はどうでしょうか。まあ結論から言うと、その点もそこまで期待はできません。まず、そもそもがカジュアル勢にはアリーナという手段がありますし、僕も一時期は紙でリミテッドとかをやっていましたが、最近は休止していますし、結局は構築の方にも行きませんでしたから、アリーナから紙に行くという人はやはり稀であると言わざるを得ないでしょう。それに加えて、これらの変更にも相応の問題点が存在します。まずローテーション変更ですが、これはスタンダード特有の環境の新鮮さを損なう可能性があり、そこを求めていたプレイヤーが寄り付かなくなる可能性もあります。そして禁止の仕様変更ですが、これも禁止が当然のものになったことで、紙をプレイするハードルを上げることにもなりかねません。いくら禁止のタイミングを固定しても、要はセットが実装される度に禁止はあり得る訳ですから、その不安感は拭えないでしょう。

★まとめ
 禁止とプレイヤーの側の譲歩を前提とした新時代のスタンダードの在り方を改めて明確化。しかし、活力を取り戻すこと、ゲームとして面白いものにすることを考えると逆効果になる可能性も十分ある。特にアリーナの速度感では一瞬で停滞感が出ると予想。

【3枚の禁止カードについて】

 まあそんなこんなで結局は禁止にしないと環境を健全化できないということになった訳ですが、この「禁止に関する話を無くす」とか「まっさらな状態で新時代のスタンダードを始める」とかも、どう考えてもローテーションを変更しなければ良かっただけだと思うんですよね。一瞬でも禁止を出さずにどうにかできる算段があると思った僕が愚かでした。

 ということで、寓話、禁止になりましたね。まあこれに関しては禁止改訂の予告がされた時点で禁止が確実視されていましたし、ローテーション変更の時点でも声が上がっていたものなので、特に意外なものでもありませんでしたね。それ故に、紙の方でも「改めて買って損した」という人はそこまでいないでしょうし、これが公式が求めているプレイヤーの側の譲歩ということなんだと思います。禁止理由に関しては、流石によく理解しているといった感じでしょうか。特に、意味深い選択肢の話は本当にその通りで、とりあえず寓話という風になっている現状をきちんと説明しています。まあそれに関しても禁止と決まった途端にこき下ろしているようで個人的には気分の良いものではありませんが、それでも寓話が消えたこと自体は前進と言えなくもないです。しかし、何度も言いますが、ローテーションを通常通りに行っていれば良かっただけのことなので、これはローテーション変更によってマイナスとなった地点からの前進でしかありません。

 そして、なんと《勢団の銀行破り》も禁止になりました。まあ正直これ自体は僕的に禁止にする程でもないと思っていたので、どちらかと言うと他の禁止によって黒赤系が弱体化した後の環境を見据え、その他の中速以降のデッキを最小限の禁止枚数で満遍なく弱体化させるために選ばれたという節が強いのではないかと思っています。勿論、これの強さに関しては僕も認めていますが、実際4積みされることは稀なカードですし、別にテーマ性のあるカードでもないので、特定のデッキを弱体化させようという意志は感じられません。逆に言えば、そんな汎用性だけの無色のカードが暴れていた状況は確かに良くなかったのでしょうが、これからは特定のデッキというよりも特定の戦略を弱体化させるケースも増えると考えると、ますます紙をプレイするリスクが高まりそうではあります。

 最後は《絶望招来》ですね。これも僕的には意外なもので、黒赤系を弱体化させるなら寓話だけで十分な気もしますし、黒系全般を弱体化させるといっても最近の黒単はそこまで結果を出せていませんから、どうしても二度手間な印象を受けてしまいます。ただ、禁止理由に関しては非常に納得できる部分が多く、確かに僕もPW主体の4Cランプを使っていた時に壁に感じることは多かったです。しかし、最近はむしろエンチャント系デッキが流行りつつあるため、別に残留させても面白かったようにも思います。寓話がいなくなれば4ターン目に招来も難しくなる訳ですし。

 こんなところでしょうか。まず3枚という数ですが、これは予想通りだった方も多いのではないでしょうか。僕もだいたいそれぐらい、あるいは大穴で寓話のみってことも考えましたが、やっぱりローテーションが延長されたことで相当の膿が溜まってしまっているため、複数枚の禁止は避けられないというのが本音でしょう。
 しかし、それで言うと、この3枚だけで環境に面白さや新鮮さが帰ってくるとは思えないのです。中には三色土地の禁止を訴えているという方もいますが、確かに盤石すぎる土地基盤はこれからも問題になる可能性は大いにありますし、単色にしてもカード・プールが拡大すればダイレクトに強化されてしまいます。つまり、この3枚が消えたことで、パッと見では多様性が生まれたように見えるのかもしれませんが、その実、今までの寓話デッキと同様の流れを継承し、内容を少し変えてグルグルと回ってくるだけのデッキが増えるということなのではないでしょうか。勿論、それがメタであるということも分かってはいますが、例えば《運命に導かれし者、ケイリクス》の登場によって再び現れたセレズニア・エンチャントですが、それに新鮮さを感じるプレイヤーがどれだけいるでしょうか。確かに、新しい動きも搭載されてはいますが、根幹を成すカードの多くは本来はローテーションされるはずだったものばかりで、そういう意味では飽き飽きしているものでしかないのではないでしょうか。
 別に過去のアーキタイプが復権すること自体を悪く言っている訳ではありません。ローテーション後に全く新しいエンチャント系デッキが出てくるのであれば、それは歓迎されるべきものでしょう。しかし、見飽きたものが帰ってくるのであれば話は違います。正直、そのような過去のカードたちが帰ってくる動きを求めているのなら下環境をやれば良い訳で、スタンダード独自の楽しさとは相容れないと僕は考えています。
 まあ中には全く新しいテーマで結果を出しているものもあり、環境デッキの全てが面白くないとは言いませんが、それでもやはりシナジーを形成するよりもカード単体として強いものを使った方が勝てるという個人的に最も改善してほしい点は、寓話が消えても残りそうではあります。

【さいごに】

 ちょっと間が空いたからか、何か取り留めも無い文章になってしまったようにも思いますが、とにかく、最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
 今回も毒を吐きましたね。まあ今回のは言いたいことを言って踏ん切りを付けようという狙いのものなので、手加減抜きで、当たり障りしかない内容でやらせていただきました。
 とは言え、とりあえず今は寓話が禁止になったことを素直に喜ぶべき時なのかもしれませんね。まだ希望の光は見えませんが、これから環境がどうなるのかは誰にも分からない訳ですから。
 てな訳で、今回も皆様からのご意見ご感想、そして良識ある反論などもお待ちしております。次回に関しては、依然として謎デッキのモチベーションが上がらないので、未定、となっております。そもそもどうせなら今回の3枚が無くなってからの環境の動きがだいたい判明してから研究に取り掛かりたいですね。一応は謎カードで環境デッキに勝つことを目指すのが謎デッキですから。
 それでは、またの機会に。

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