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【MOM】新カードの話:女性陣、襲来。

【はじめに】

※全カードが公開されたのはさいごにを書いている最中だったので、それまでは全カード公開前の感じで進めています。

 そろそろプレビューも終了しそうな今日この頃です。しかしまだコモンの方があまり公開されていないようで、リミテッド記事の方は大忙しで書くことになりそうです。まあ好きでやってるんですけどね。

 さて。そんな今日の新カードの話は、皆様お待ちかねのPWを特集していこうと思います。バトルの裏面で登場するテフェリーを除くと、今回のPWは女性で統一されているみたいで、それに加えて、上の画像を作っている時に「何かに似ているな」と思ったのですが、これ完全にイタリア国旗の配色ですよね。ということで誠に勝手ながら、僕は彼女たちをイタリア三姉妹と呼ぶことに致しました。

 まあしょーもない話は置いといて。それでは早速、本編の方にいってみましょう。

【大天使エルズペス】

 まずは白のPW《大天使エルズペス》から。

白らしい堅実な性能

 大天使になって登場した今回のエルズペスは、能力にも天使関連のものがあり、少しアグロ向けに調整されている印象です。それでは、詳しい能力を見ていきましょう。

 +1能力は絆魂を持つ白の1/1の兵士・クリーチャー・トークン1体を生成するというもので、+能力で自分を守るトークンを生成できるのは防御力という面で優秀です。しかし、同様に4マナかつ+1能力で1/1のトークンを生成できる《焦熱の交渉人、ヤヤ》がそこまで活躍していない点を踏まえると、このエルズペスにも若干の不安を覚えるという方も、それなりにいらっしゃるのではないでしょうか。
 確かに《絶望招来》のようなカードが存在する現環境で忠誠度での防御力にどれだけの意味があるのかは議論の必要がありますが、やはり-能力で壁を展開する《不笑のソリン》なんかと比べると堅牢であるのも事実で、具体例を挙げると、ソリンが-で出したトークンが除去で普通に捌かれて、ソリン自体も既に展開されているクリーチャーに簡単に落とされる場合が多いのに対し、ヤヤは壁を出しつつも本人は忠誠度を増やしているため、そう簡単に落ちるものではありません。
 ということで、個人的には今回のエルズペスの防御力についても、一定の評価ができるものであると考えています。

 -2能力はクリーチャー1体に+1/+1カウンター2個を置き、それを他のタイプに加えて天使に化けさせ、飛行も与えるというもの。どうやらこれは半永久的に天使になるようなのですが、どうせ飛行カウンターとかを作っているなら全部まとめて天使化カウンターとかにしちゃえば良いのにとも思ったのですが、そういう安易なことをすると、反ってデザイン領域を狭めることにもなるのかもしれませんね。
 基本的には攻める系の能力で、飛行付与というのも現環境では意外に刺さるのではないでしょうか。天使化に関しては、スタンダードでは目立った利用法は無いように思いますし、天使デッキを作るならわざわざ天使以外を入れる必要も無いでしょうから、そういうデッキでも基本的には自分で生み出した兵士を天使にするぐらいになるでしょう。

 最後に-6の奥義ですが、今回のエルズペスは初期忠誠度が4で上げ幅が1なので、比較的容易に奥義まで辿り着けるでしょう。しかし、その内容自体はマナ総量が3以下の土地でない全てのパーマネントを戦場に戻すというもので、かなりアグロ向きになっています。そのため、自由度はそこまで高くないように思えます。

 また、白の4マナPWという点で言えば、《放浪皇》という強力なライバルが存在するのも懸念事項です。現時点では、ミッドレンジ以降のデッキで使う場合、圧倒的に《放浪皇》の方が適しているように思えますが、バトルの登場で赤の火力呪文が流行った場合、相対的にPWの忠誠度的な防御力の評価が上がる可能性もあり、そういう意味では大きな可能性を内包しているカードと言えるでしょう。

【希望の標、チャンドラ】

 次は赤のPW《希望の標、チャンドラ》について。

久し振りな気がする赤の重量級PW

 6マナの重量級PWとして登場した今回のチャンドラは、VOWの《勝負服纏い、チャンドラ》と比べると、インスタント&ソーサリー支援に特化している印象を受けます。

 まず常在型能力ですが、なんと立ってるだけでインスタントやソーサリーである呪文をコピーしてくれます。まあ回数制限はありますが、イゼット天啓でコピーの恐ろしさは身に染みているため、これも工夫次第で凄まじいことになりそうです。

 そして、+2能力はそんな自身の常在型能力を有効活用する上で非常に有用なものになっています。望む色の組み合わせのマナ2点を加えるというのは見た目は地味ですが、出した2マナで赤の火力除去をコピーするような使い方は容易に想像できますし、出たターンに直ちに常在型能力を活かせるのは良いデザインと言えるでしょう。また、呪文のタイプを縛るような制限も無いため、コントロール系のデッキで後続のPWを出すのに利用するなんてこともあり得るでしょう。
 また、勿論+2の上げ幅自体も評価できる点で、初期忠誠度5と合わせれば出たターンに忠誠度7まで漕ぎ着けることもできます。
 まあコピーまでをフル活用できなければ6マナPWの出た時の動きとして流石に弱いため、やはりある程度はインスタント&ソーサリーに寄せた構築は必須でしょう。

 次の+1ではライブラリーのトップ5枚を追放し、それらのカードの中からインスタントやソーサリーである呪文1つをターン終了時まで唱えられるようにしてくれます。
 +でリソースを確保してくれるのは流石は6マナPWという感じで、追放する枚数も5枚と多めです。しかし、それでも不確定なリソース確保手段ではあるため、過信は禁物でしょう。
 また、こちらの能力に関しても自身の常在型能力と相性が良い点は忘れてはいけません。マナは自前で用意する必要があるため、出た時に使うことは無さそうですが、《大勝ち》のようなカードを引き込んでコピーまでできれば滅茶苦茶できますね。

 最後に-X能力ですが、これは奥義という奥義ではないものの、圧の強い能力であるのは事実で、出たターンに即座に最大で5点、現実的には4点の火力を2つの対象に撃てます。また、勿論+2能力から入った次のターンには更に高火力で撃つこともできるため、かなり広範囲の脅威に対処可能でしょう。複数の対象を除去できるため、低レベルな範囲除去のような使われ方をすることもありそうです。

 能力は夢のあるものが揃っていますが、6マナという重さは素直にネックですし、重量級かつインスタント&ソーサリー特化であるため、基本的にはコントロール系のデッキでの利用に限定されそうです。
 個人的には、こういうPWの方が謎デッキ的な余地を感じるため、是非とも使ってみたいカードです。

【レンと次元壊し】

 最後は緑のPW《レンと次元壊し》です。

調整の難しい3マナPW

 3マナのPWに関しては、エルドレイン期にとんでもない失敗が存在するため、こちらの《レンと次元壊し》についても慎重に評価する必要があるでしょう。

 まず常在型能力ですが、自分の土地全てに好きな色のマナ1点を出せる能力を与えるというもので、特にぶっ壊れの匂いはありません。確かに便利な能力ではありますが、そもそも現環境は土地基盤が盤石なため、多色デッキを作るにしてもそこまで必要性の高いものでもないように感じます。

 次の+1能力は、自分の土地1つをターン終了時まで3/3の警戒と呪禁と速攻を持つエレメンタル・クリーチャーに変化させるもので、警戒を持っていながら土地としてのタイプも残っているため、殴りつつマナを出すこともできます。
 出した時に土地が全てタップされている場合、そのターンにこれを起動するのは意味が無さそうなので、扱いは少し難しいかもしれません。それでも能力自体は強力なので、土地やマナに関連するサポートを加えることで幾らでも化けそうではあります。

 -2ではリソースの確保が可能ですが、カード3枚を切削し、それらの中からパーマネント・カード1枚を手札に加えるというものであるため、不発になってしまったり、スペルが欲しいのに土地しか落ちなかったなんてこともあるでしょう。
 また、今回のレンは初期忠誠度が4ということで、-2能力に何度も耐え得るものではありません。

 最後に-7の奥義ですが、発動までそれなりに距離はあるものの、墓地から土地やパーマネント呪文が使えるようになる紋章が得られるのは確かに強力です。また、緑では増殖の利用が比較的容易なので、その辺りと合わせることもできそうです。

 やはり3マナPWにはウィザーズも慎重になっているようなので、そこまで壊れそうな要素は無さそうに思います。それにオーコが強かったのはガチョウという相棒の存在による面もあったため、自由度の高い1マナのマナ加速が無い現環境ではオーコ級のカードであってもパワーは制限されそうではあります。
 逆に言えば、現環境の2マナのマナ・クリーチャーと合わせれば3ターン目に+1を上手く使えるため、ギリギリのラインを攻めようとする意志も少し感じられます。

【まとめ】

 イタリア三姉妹、いかがでしたでしょうか。個人的には3枚ともそれぞれアグロ、コントロール、ランプと使用されるレンジを上手く絞っているような気配を感じ、これらの中からあわよくばミッドレンジの対抗馬が出れば良いなとかそういう魂胆なのかなと思いました。良いと思います。
 PWというカード・タイプ自体に賛否両論があるという話も聞いたことがありますが、一時期の大暴れに比べると、ウィザーズ側にもPW調整に関するノウハウが蓄積されてきたように感じます。何より、僕個人はPW大好きなので、このまま堅実な調整を続けて欲しいです。もう昔の話ですが、NEOで《放浪皇》が公開された時に、若干ヒヤリとしたのは僕だけじゃないはずです。
 まあでも本当にカードの調整って難しい作業でしょうから、これからもそんなカードたちを余すことなく楽しむために、謎デッキ研究を続けていきたいと思います。

【さいごに】

 今回も並盛程度のボリュームになってしまいましたが、最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
 実は、この部分を書いている今、どうやら全カードが公開されてしまったみたいです。早い。しかし、折角のライブ感なので、はじめにで書いた挨拶はそのままに、本文の前に注釈を入れることにします。これで自分で読み返した時に当時のてんやわんや感を再生できますね。
 ということで、次回はリミテッド大考察の回になると思います。今回のセットは予想を当てられるように頑張りたいと思います。それでは。

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