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【ONE】リミテッドで勝てるアーキタイプ考察

【はじめに】

 さて、ファイレクシア:完全なる統一の全カードが公開され、中にはリミテッドに関する情報集めを始めている方もいらっしゃるかと思います。ということで今回は、あくまでも僕個人の意見にはなりますが、リミテッドに関する大考察をしていきたいと思います。
 とは言っても、既に多くの方がそういった記事を書いていますので、僕の方は単純なカード単体の評価に加え、アーキタイプ毎の取り扱いにフォーカスした内容もやってみたいと思います。
 流れとしてはこんな感じで進めていきます。

1.前提
 公式からも提示されている各メカニズムやアーキタイプに関する基本的な話をします。

2.カード単体
 
アーキタイプやシナジーを問わずに、一定の活躍が見込めそうな汎用性の高いカードをピックアップして評価します。

3.アーキタイプ評価
 これが本編です。各アーキタイプがどれだけやれそうか、またアーキタイプ毎のキーカードなどを考察していきます。

 勿論、リリース前の僕個人の見解ですので、あくまでも参考程度に留めておいていただけると幸いです。それと、リリース後には実際にリミテッドをやってみて感じたこと、前予想と違った点なども、改めて話していければと思っています。
 それでは始めていきましょう。

 ちなみに、かなりの超大作になりますので「全部はちょっと……」という方は飛ばし飛ばしでご覧下さい。

【前提】

 前提として、まずは各メカニズムやアーキタイプについてまとめていきましょう。

★メカニズム

『毒性』
 ”毒性1”のような形式で存在します。毒性Xを持つクリーチャーから戦闘ダメージを受けたプレイヤーは追加でX個の毒カウンターを得ます。毒カウンターが10個以上になったプレイヤーは敗北します。また、今回は堕落という10まで溜まらなくても毒によるメリットを享受できるようなメカニズムがあるため、あらゆるアーキタイプで利用できそうです。

『堕落』
 対戦相手1人が3個以上の毒カウンターを持っている場合に、カードのパフォーマンスを向上させます。至る所に毒性があり、増殖のようなメカニズムもあるため、意外と容易かつ早期に達成できそうです。

『ミラディンのために!』
 その装備品が戦場に出たとき、赤の2/2のレベル・クリーチャー・トークン1体を生成し、その後、その装備品をそれに付けます。通常の装備品よりも安定的な運用が可能ですが、その分マナ総量や装備コストに対する効果が低く設定されているようです。

『油カウンター』
 パーマネントに置かれるカウンターで、それを消費することで能力を起動したり、置かれているだけでプラスに作用したりします。こちらは堕落よりも更に増殖との相性が良さそうです。

『増殖』
 望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、既にそこに置かれているカウンター1種につき、そのカウンターをもう1個与えます。カウンターが置かれている対象がいればいる程に強力に作用します。毒や油だけでなく、今回のセットにはPWも多数存在するため、腐ることはまず無いでしょう。

 とにかくカウンターを積むことから始め、装備品もコストが重めに設定されているとは言え、毒は回復が困難(というか不可能?)であるため、環境速度的には早めなのでしょうか。何にしても毒相手にそこまでの長期戦は挑みたくないような気がします。
 次はアーキタイプについて見ていきましょう。

★アーキタイプ

『白青:アーティファクト』
 
アーティファクトが出ることによる作用やアーティファクト自体の強化を行うアーキタイプになりそうです。

『青黒:増殖コントロール』
 
毒や油を増殖させつつ有利な状況を作っていくようなテイスト。とは言っても青は毒が弱いため、堕落条件まであれば十分でしょう。

『黒赤:油カウンターと生け贄』
 死亡時誘発で油を置くカードと赤の1/1トークンを組み合わせるというのが主な動きでしょうか。シナジーに依存する面が強いため、個人的には特に難しそうな印象です。

『赤緑:油ミッドレンジ』
 
油を戦闘力に変換する分かりやすい設計ですが、個人的には除去の脆弱性が気になります。

『緑白:毒アグロ』
 
ダニによるチクチク毒と大物によるバシバシ毒を合わせた攻めの毒。組みやすそうではありますが、毒勝利自体がどの程度のものなのかはやってみないと分からないような気がします。

『白黒:堕落』
 堕落によって有利にゲームを進めるアーキタイプ。如何にして早期に堕落を達成するかが問題でしょう。また、除去が強い色でもあるため、意外と安定的に戦えそうです。

『青赤:油カウンターとクリーチャーでない』
 クリーチャーでない呪文によって油をチャージし、プラスの効果を生み出すアーキタイプ。小回りの利く非クリーチャー呪文をどれだけ上手く使えるかが肝となりそうです。

『黒緑:毒勝利』
 黒で状況を整えながら、緑の猛毒クリーチャーの攻撃を通すような流れになるでしょうか。こちらも分かりやすい設計になりそうです。

『赤白:ミラディンのために!』
 カウンターに頼らないアーキタイプ故に、カードの選択肢が狭まりそうではあります。装備コストの重さもネックでしょうか。これもシナジーを形成できるかが特に重要でしょう。

『緑青:増殖と毒』
 前環境では除去の脆弱性によって最弱候補でしたが、今回も同様の問題がありそうです。シナジー的な方向性は弱く、毒に限らず油も使えそうではあります。

 こんなところでしょうか。こうして見ると、かなり主観的な意見が強いように感じますね……。僕個人は除去が強い組み合わせが好きなので、それ以外の組み合わせに対する恐怖心が現れているようです。
 話を戻しまして。とは言いましても、ここからが本番です。少し前のセットでは特定の色の組み合わせの強弱が明確なものもありましたが、最近のセットは調整が上手いようで、どの色にも可能性はありました。今回もその流れにあると思いますので、考察は決して無駄にならないでしょう。
 それでは、カード単体の評価の方に移りましょう。

【カード単体】

 次はカード単体の評価を話していきます。先にも述べた通り、アーキタイプやシナジーを問わず、様々なデッキで活躍できそうなカードを何枚かピックアップして評価していこうと思います。

★白コモン部門

 最近のリミテッドにおける白の例に漏れず、アンプレイアブルなカードが少なく、非常に扱いやすい。

白コモン最強

 コストの低さや対処可能範囲の広さに加え、起動型能力まで封じられるという破格の性能。コモン・アンコモン全体を通しても1、2位ぐらいの重要度はあるでしょう。下手なレアよりも勝利に貢献するレベルです。

リミテッドのために生まれたような奴

 能力的に毒性やアーティファクトなどのシナジーを得るためのカードであるかのように感じられるかもしれませんが、飛行と1枚で複数体展開はリミテッドにおいて非常に強力で、それらの複数のシナジーを構築するためにも利用できるという高度な汎用性を誇ります。

★白アンコモン部門

こちらも優秀除去

 《次元の攪乱》に匹敵する重要度でしょう。基本土地に付けるという性質もリミテッドでは気になりません。

飛行付与

 ミラディンのために!を持っていますが、装備品デッキでなくても飛行付与はリミテッドにおいて有用です。4マナのタイミングで順当に出し、終盤では大型クリーチャーを飛ばし、ゲームの均衡を崩すことが可能です。

★青コモン部門

 疑似除去の《幻惑の妙薬》や飛行クリーチャー陣はそこそこですが、特筆すべきものは無いように思います。

★青アンコモン部門

継続して増殖が可能

 飛行対策をされなければ一方的にカウンターを増やし続けることができる脅威度の高い軽量飛行クリーチャーです。増殖自体はほとんどのアーキタイプと相性が良いため、汎用性も高いと言えるでしょう。

死亡時に複数枚ドローの可能性

 6マナ4/4飛行に死亡時1ドローの時点で優秀ですが、油を増殖させることで大量のリソースを回復することもできます。4/4飛行は決して無視できない脅威度であるため、除去を吐かせつつドローができれば一気に勝利を引き寄せることができるでしょう。

★黒コモン部門

黒コモン最強

 堕落未達成でも最低限のパフォーマンスは保証されており、堕落を達成していれば極めて汎用性の高い除去となります。《次元の攪乱》と双璧を成すコモン最強除去と言えるでしょう。

増殖の鬼

 先にも述べましたが、増殖はあらゆるアーキタイプで有用で、出た時と死亡時に最大2回誘発するという点も偉いカードです。

★黒アンコモン部門

除去+増殖

 ソーサリーではありますが、除去しつつ増殖できるのは大半のアーキタイプで有用です。普段使いとしては下の《シェオルドレッドの勅令》よりも優秀で、かなり人気のカードになるでしょう。

痒い所に手が届く除去

 布告系除去の強みをキープしたまま弱点を克服した優秀除去。護法や破壊不能、PWのような脅威にも一定の効果を発揮します。リミテッドにおいてはどちらかと言うと《苦痛ある選定》や《胆液まみれ》の方が扱いやすいと思いますが、痒い所に手が届くのはこちらでしょう。

グレイブディガー的クリーチャー

 そこそこのスタッツがあって、墓地からのリソースをかなりの確率で回収できるのは偉いですね。毒性を持っていますが、下の能力だけで十分有用なので、汎用性も高いと言えるでしょう。

★赤コモン部門

 除去以外はシナジー依存が強く、汎用性という意味では紹介するカードが少ないように感じました。

ショック系インスタント

 プレイヤーには飛びませんが、2点火力は非常に使いやすく、まず腐ることはあり得ません。リミテッドにおいては毒性特効も十分効果的です。

3点火力+増殖

 3点火力と増殖を兼ねる優秀なインスタントです。増殖は多くのアーキタイプで有用で、インスタントタイミングでカウンターが増える動きは何らかの奇襲にも使えそうです。

★赤アンコモン部門

 解説からは漏れましたが《逆巻く貯蔵器》や《マグマの疾走者》のような強力な油シナジーのカードが存在し、これらは特定のアーキタイプというよりも油全体にとって効果的でしょう。

広範囲を対処可能

 親和(装備品)がありますが、普通に3マナで撃てるのならそこまで意識する程のことでもないように思います。5点ならほとんどのクリーチャーに対応可能ですし、破壊不能の貫通も助かる場面がありそうです。

シンプルさん

 5マナ5/5に威迫と到達という素で恵まれた戦闘力を誇ります。特に到達はリミテッドで暴れやすい飛行クリーチャーを咎めることができるため、いてくれると安心感がありますね。

★緑コモン部門

 緑らしく高マナ域に優れたスタッツのクリーチャーが多く、紹介から漏れた中にも単体として優秀なものがありました。

緑の基本となる除去

 普通の格闘除去ですが、緑としてはありがたいでしょう。インスタントではないため、コンバット・トリック的な運用ができない点には注意しておきたいですね。主に僕がたまにやらかすので。

汎用性の塊

 3マナ3/3という文句無しのスタッツであるにも関わらず、出た時に土地カードを手札に加えるか増殖を行えるという汎用性の塊。3マナのタイミングでストレートに出して土地安定に貢献してくれるのは安心感があり、後半には増殖で一気にカウンターを増やすこともできます。これもかなりの人気カードになりそうです。

★緑アンコモン部門

 こちらにも優秀なファッティが多いです。

1枚で複数体は強い

 油的傾向を持ちますが、単体としても1枚で3体を展開することができるのはシンプルに強いです。ただ起動コストは少し重いでしょうか。

一方格闘

 PWに飛ばないという点は少し惜しい感じがしますが、除去しつつ毒を付与できるのは便利です。修整はありませんが、同じ緑に良質なクリーチャーはたくさんいるので、そこまで気にならないでしょう。

★まとめ

 やはりここまででかなり高カロリーな記事になってしまいましたね。ちなみに、多色は色が合えば使わない理由は無く、無色は足りない所の穴埋めであったり、少し高度な判断が要求されそうなので、今回は紹介を省かせていただいています。
 色ごとの話をすると、やはり青のピーキーさが目立つでしょうか。除去大好きっ子としてはどうしても取っ付きにくい印象を持ってしまいます。とは言いましてもシナジーは強く、飛行で攻めるというのも比較的簡単かと思いますので、アーキタイプとしては決して弱くありません。
 今回はとにかくコモンの時点で除去が優秀です。除去大好きっ子であるが故の予想かもしれませんが、使う色の優秀除去を取った枚数と勝利数に相関が得られそうなレベルでしょう。
 しかし、除去して殴るだけでは高い勝率は得られません。各アーキタイプ毎にしっかりとシナジーを形成することも同じくらい重要になります。それでは、ここからが本題のアーキタイプ毎の考察になります。

【アーキタイプ毎】

 前提の方でも軽く触れましたが、ここからは更にアーキタイプについて深掘りしていこうと思います。
 流れとしては、まず最初にアーキタイプ毎の点数評価(やれそう度)を提示し、次にそのアーキタイプを作るなら是非欲しいキーカードをいくつか挙げていきます。
 ちなみに、表紙のようになっている多色のカードも当然キーカードになります。先程も述べた通り、多色のカードは色が合っていれば特に入れない理由が無いので、詳しい解説は省かせていただいています。
 そして、最後にやれそう度の評価理由でもあるアーキタイプ毎の強み弱みについて解説していき、アーキタイプ毎の注意点なんかも挙げていけたらと考えています。ちなみに、デッキの組みやすさは変動が激しいので、やれそう度の評価基準には含めていません。それでは、行ってみましょう。

★白青:アーティファクト

地のダニ、空のイカ

やれそう度:7(10段階評価)

キーカード
《切歯の滑空機》
《板金鎧の猛攻》
《金属のうろつくもの》
《アンクタスの改良者》
etc.

 白も青も飛行が得意で、アーティファクトシナジーはダニで容易に発動することができるため、青系の中では珍しく使いやすそうです。また、青における除去の脆弱性を白でカバーできれば、緑などのファッティに地上戦を荒らされずに済むかもしれません。あとはダニをどこまで有効活用できるかが問題でしょうか。
 ダニによる集団戦法で毒勝利を狙っていくというプランでは流石に緑白のような攻撃的な組み合わせに軍配が上がるでしょうし、ブロックできない性質は地上戦に不安を残します。ダニはアーティファクトシナジー誘発や堕落条件までの毒を溜めるものと割り切り、勝負を決めるのは飛行陣という設計が良さそうです。ただ、飛行クリーチャーはパワーが低く設定されている場合が多いため、十分並んだら全体強化などで支援が必要でしょう。
 使いやすくはありますが、高い勝率を目指すには小細工を用意しておく必要がありそうです。初心者から熟練者までお勧めできるアーキタイプと言えるでしょう。

★青黒:増殖コントロール

何度でも蘇るさ!

やれそう度:6

キーカード
《生体解剖医の見識》
《歪められた好奇心》
《残虐の陰皇》
《策謀の有貌体》
etc.

 青でリソースを確保し、黒の除去で盤面をコントロールするというのが基本的なプランになりそうです。アーキタイプ名の通り、増殖には触れやすそうですが、毒も油もという感じにもなりそうなので、毒勝利を狙うというのは少し難しいように思います。コントロールし切って相手が息切れし始めたら普通にファッティを展開する動きで問題ないと思います。毒は堕落条件までで十分でしょう。
 堕落条件のためにも毒の初撃を当てるのは重要で、毒性+飛行を持つ軽量のクリーチャーで初撃を与え、そこからは飛行が防がれても増殖で堕落まで行けるように設計したいです。それに加え、キーカードに挙げた《策謀の有貌体》のようなカードがあると増殖によるシナジーを強化でき、序盤からプレッシャーを掛けていけそうです。
 コントロールという性質上、少し熟練者向けでしょうか。黒の除去という美味しい所をツモれるかも少し恐いですね。とは言え、完成すれば他アーキタイプを完封するほどの凄まじい性能になるかもしれません。

★黒赤:油カウンターと生け贄

1枚で複数展開と継続的なリソース確保

やれそう度:4

キーカード
《殺しの百長》
《屍蚊》
《煙突の扇動者》
《逆巻く貯蔵器》
etc.

 赤の1/1クリーチャー・トークンと自分のクリーチャーやアーティファクトが墓地に置かれる度に油を増やす動きがメインになりそうです。除去にはかなり期待できる組み合わせですが、シナジーに依存する面が強く、加えて肝心の生け贄を必要とする能力の方がそこまで強くないというのが非常に惜しい点です。
 キーカードには黒コモンの《殺しの百長》を挙げましたが、回数制限があるため、仮に能力を起動できてもそこまで脅威を感じません。序盤に並んだクリーチャーが5だの6だのというパワーになるのが恐いのであって、4止まりでは「普通にファッティ出せばいいのでは?」となりかねません。
 要は、死亡時に油を増やす動きでその辺りの弱みを穴埋めして下さいと言っているのでしょう。つまりは、何度も申し上げますが、シナジー形成強度が物を言うということです。
 ドラフト的には不人気であれば組みやすいという事情もあり、その辺りの立ち回りが上手い人は高い完成度で仕上げられるでしょう。僕にはそこまでの自信が無いので、個人的には避けたい組み合わせですが、決して弱いとは言えません。

★赤緑:油ミッドレンジ

ダニ絶対焼き払うマン

やれそう度:5

キーカード
《焼炉の徘徊者》
《ウラブラスクの選定師》
《格子刃のカマキリ》
《進化する適応体》
etc.

 スタッツの優れたクリーチャー陣でライフを削るという分かりやすい設計のアーキタイプになりそうです。油シナジーとしては後に出てくる青赤と双璧を成すような感じで、あちらがクリーチャーでない呪文を多用するのに対して、こちらは油持ちクリーチャーを展開していく仕様なので、増殖や油を持つパーマネントを参照する能力との相性はこちらの方が良いでしょう。
 弱点としては、やはり除去の脆弱性でしょうか。これに関しては、非白かつ非黒のアーキタイプに往々にして存在する弱点ですが、青は一応バウンスという手段で一時的に何かを退かすことができるため、火力も格闘もスタッツに影響されてしまう赤緑は、対処可能範囲という意味では最も脆弱かもしれません。そのため、緑からは到達や接死などを用意しておくと良いと思います。
 分かりやすい設計なので個人的には好きですが、裏を返せば単調ということでもあり、勝ち続けるのは意外と難しいかもしれません。

★緑白:毒アグロ

ダニと相性が良い

やれそう度:6

キーカード
《信念堅い決闘者》
《顎骨の決闘者》
《疫病の看護者》
《タイヴァ―の抵抗》
etc.

 優秀な軽量クリーチャーで序盤からライフを削り、加えて毒を蓄積させていくというアグレッシブなアーキタイプになるでしょう。ダニによる集団戦法を最も有効活用でき、コンバット・トリックなどを駆使すればゲームの流れを終始支配することもできそうです。
 アグロである以上は息切れという弱点がありますが、ライフと違って毒は押し込みがしやすいため、盤面が取られた後でも増殖などで勝利に漕ぎ着けるなんてこともできそうです。
 コンバット・トリックのおかげで相手のファッティにも対処は十分可能でしょうし、攻めも単調になりにくそうなので、特にこれと言った弱点が見当たらないように思えます。組みやすさの方も問題はなさそうです。
 ただ、序盤の攻防が全てという感じになるので、ゲーム中の運次第では勝ちを重ねにくいということが大いにあり得るでしょう。そのため、土地を安定できる《伝染病のヴォラック》などが肝になりそうです。

★白黒:堕落

出たとき破壊はバケモンですね

やれそう度:9

キーカード
《肉剥ぎの猛禽》
《別館の歩哨》
《骨拾いのスカージ》
《貪欲な屍巨人》
etc.

 現段階で最強と思われる組み合わせです。アーキタイプ名の通り、堕落までの毒を溜めるのは必須になりそうですが、堕落後はかなり好き勝手できそうです。そして、何より除去が最強です。正直、それで説明は終わってしまいそうな勢いです。勝ち方としては毒勝利というのも十分考えられそうですが、基本的にはライフになるでしょうか。
 弱点はドラフトで混みそうな点くらいしかなさそうです。それでも、ドラフトで初手に白か黒のレアが取れたなら、まずは白黒を目指すのが無難と言えるでしょう。強すぎて書くことがむしろ無い……。

★青赤:油カウンターとクリーチャーでない

飛んでてドローできて火力も吐ける化物

やれそう度:8

キーカード
《胆液の合成者》
《血清の罠》
《肉体からの解放》
《マグマの疾走者》
etc.

 白黒の対抗馬になり得るアーキタイプです。かなり上級者向けなきらいがありますが、油系では最強と言えるでしょう。小回りの利くクリーチャーでない呪文を利用し、本来の能力と同時に油によるアドバンテージを得ていくという動きは、一度ハマると他アーキタイプをぶっちぎる可能性が大いにあります。
 弱点はデッキの組みにくさかもしれません。油自体がドラフトでどれだけ人気になるかにもよりますが、キーカードに挙げたものやカード単体の評価で挙げた赤の優秀除去を取れないと話にならないでしょう。加えて、人気とは違って常に問題になるのが、クリーチャーと非クリーチャーの比率になります。クリーチャーが多すぎても非クリーチャーが多すぎてもシナジーが発揮されにくくなってしまうため、各マナ帯をどんな比率で構成するかなどの高度な計算が必要でしょう。
 このような傾向は青赤としては平常通りで、僕もちゃんと組めた時は7勝まで行けますが、ツモ運に恵まれなかった時や調整が上手くいかなかった時などは1勝止まりであったり……。個人的には安定性に欠けるアーキタイプなので、お勧めかと言われれば微妙ですが、ポテンシャルは白黒にも匹敵するでしょう。

★黒緑:毒勝利

地味にタフネスが高い

やれそう度:4

キーカード
《槽の出現》
《非道なティラナックス》
《捕食の聖騎士》
etc.

 ダニのような毒性1ではなく、毒性3や毒性6とかの猛毒ファッティを黒による除去を交えつつ押し通していくというプランになりそうです。毒勝利とはなっていますが、毒もライフも攻めるというのは緑白と変わらないように思います。
 弱点としては動き出しの遅さが挙げられるかもしれません。初手から高マナ域のカードが多いとどうしても動きが硬くなり、ファッティを出せる頃には既に相手が状況を作り終えているかもしれません。加えて、地上戦ばかり気にして飛行にボコボコにされるなんてこともありそうです。
 この組み合わせを使う場合は、キーカードに挙げたもの以外にも序盤から盤面に睨みを効かせ、かつ後続を支援できる《伝染病のヴォラック》のようなクリーチャーや飛行や到達の確保も忘れないようにしたいですね。

★赤白:ミラディンのために!

これ本当にキーカード

やれそう度:4

キーカード
《レオニンの光もたらす者》
《呪い金の浮遊翼》
《刃継ぎの有貌体》
《呪い金の矛槍》
etc.

 ミラディンのために!のおかげで通常の装備品よりも安定的な運用ができるのは大きな利点でしょう。しかし、費用対効果の低さがどうしてもネックに感じられてしまいます。装備品デッキである以上はアグレッシブに攻めていきたいところですが、コスト面でどうしても動きが硬くなり、結局は他のアーキタイプよりも遅く、かつ効果も薄いということになってしまうかもしれません。
 また、シナジーとして装備品は孤立状態にあり、カウンター系で受けられる増殖の恩恵も受けにくく、特に優秀な装備品はアンコモン以上に集中しているため、ツモ運に大きく左右されてしまいそうです。結論すると、なるべくなら使いたくない組み合わせでしょう。
 しかし、白も赤も色単体として見ると強く、ドラフト的に言えば不人気なシナジーであれば逆に組みやすいということもあるため、隙を見て使ってみても良いかもしれません。

★緑青:増殖と毒

彼自体はそこまで悪くないのですが……。

やれそう度:3(下手をすると2)

キーカード
特に無し

 前予想としては最も使いたくない組み合わせです。キーカード無しというのは決して最後だから気を抜いた訳ではなく、本当に「緑青で特に!」というカードが存在しないのです。強いて言えば、緑コモンにある《油喰いのトロール》でしょうか。逆に言えば、シナジーに寄らず自由にカードを使えるということかもしれませんが、色的に除去が弱く、シナジーの恩恵も受けられないとすると、いよいよ長所が……。
 ランプ的なデッキにしても別に緑のファッティを緑青でしか使えない訳ではありませんし、毒や油を増殖したとしても「で?」ということになりかねないような気がします。
 この組み合わせを使う場合、相当な熟練度と覚悟が要求されます。もし緑青でアリーナのドラフトを7勝できた方は誇って良いです。

★まとめ

やれそう度のまとめ
白青:7
青黒:6
黒赤:4
赤緑:5
緑白:6
白黒:9
青赤:8
黒緑:4
赤白:4
緑青:3or2

 こうして見ると白が絡んだアーキタイプの評価が特に高いという傾向があるようです。また、青はカード単体として評価できるカードが少ないということでしたが、シナジーにおいては強力なので、青が絡んだからと言って評価が低くなる訳でもないようです。
 こちらの評価は、下馬評のようなものも参考にしているため、僕個人の傾向が強く出ているということではなく、ある程度、特に環境初期は当てにできる評価なのではないかと自負しております。贔屓目があったとすれば白や緑が絡んだアーキタイプについてでしょうか……。
 また、キーカードというものを挙げていますが、これは例えば、ドラフトで《次元の攪乱》があるのに《レオニンの光もたらす者》を取るようなことを推奨しているものではなく、シナジーを強化するためのものという風に考えていただけると良いと思います。あくまでも指標なので、最終的には各々の判断でお願いします。
 最後にドラフト環境の変遷を予想しておくと、初期は白黒を筆頭に白が絡んだアーキタイプが混み、逆に油などの非白系のアーキタイプが組みやすいという状況になりそうです。少し経つと黒赤や青赤のようなシナジーが強いアーキタイプが注目され始め、その辺りを使う人が少し増えますが、白系の人気は依然として高い状況が続きそうです。後期になるとアリーナにおいてはカード集めを終えたプレイヤーが離脱するため、勝ちにくい環境になるのが恒例な気がします。
 それでは、長くなりましたが、さいごのご挨拶へ……。

【さいごに】

 やはりと言いますか、凄まじく長い記事になってしまいました。とは言っても自分のために書いてる節が強いので、最後まで楽しく執筆させていただきました。長すぎるというご意見もあるかもしれませんが、何かのお役に立てれば幸いです。
 その他、ご意見ご要望などがありましたらコメントで。ちなみに、次回は新カードの話に戻る予定です。それでは、またどこかで。

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